無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第8話

File:07
電流ショックの後、ぼくは結局実験室には行かず家に帰り、サキの帰宅を心待ちにしていた。

サキのおかげでぼくは今こんなに幸せ(さみしい)

殴られた時のサキの顔を思い出したら、

それさえも愛しい(つらい)と思う気持ちが込み上げてきた。

気づけばサキは、困惑した様子でぼくのいる部屋の入り口に立っていた。


「ねえ……どうして笑っているの」


「わからない。でもぼく、さっきからずっと幸せな気持ちなんだ。」


サキの顔がさっと青ざめた。

そして、ごみくずを見るような目でぼくを見た。


「博士は私に嫌がらせをしているんだわ。」


こんなはずじゃなかったと嘆くサキを、ぼくは慰めようとして彼女に近づいた。

その結果、ぼくはサキに殴られた。

さっきぼくがサキを殴ったみたいに。

その衝撃からぼくが感じたのは、喜び(いたみ)だった。


「私はつらい過去と、その時の心の痛みを誰かと共有したかったのに。もうあなたはそんな私に同情してくれなくなったのね。」


ぼくは、ツライ、イタイという感情を想像することができなかった。

電気ショックを受ける前までは、そんなような陰性感情を理解できていたし、自分がそういう感情になったこともあったかもしれない。


「もう、なんでもいいや。」


サキは全てを諦めたように見えた。

ぼくはますます幸せな(かなしい)気持ちでいっぱいになった。