第95話

〔西畑大吾〕屋上
8,788
2020/10/04 09:33


『それでね!その時に… "キーンコーンカーンコーン"…』




お昼休み。



雲ひとつない、青空の下。



彼氏の大ちゃんと、学校の屋上でお弁当を食べるのは、私の毎日の日課でもあり



私の、"1番大好き"な時間。



今日もいつもみたいに、お弁当を広げて



のんびーり大ちゃんと、お話しながら過ごしていれば



あっという間に、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴って。



『…チャイム、鳴っちゃったね…。そろそろ、戻ろっか?』



大ちゃんとは違うクラスで、階も別。



だから、一旦教室に戻ってしまえば



もう放課後までは、会えなくて。



午後の授業なんて、大して長い訳ではないけれど



やっぱり少し寂しいなぁ、なんてそう思うながら



屋上の出口に向かって、私がゆっくり歩き出せば…



「…あなた、こっち。」



『…えっ、?わぁっ…、ちょっ、!大ちゃん、!?』



突然、ぐいーっと、大ちゃんに腕を引っ張られたかと思ったら



そのまま私は元いた場所まで引き戻されて、後ろから、大ちゃんにぎゅーっと抱きしめられていて。



『大ちゃん、早く戻らないと授業…!』



「ええやん、そんなのはサボっちゃえば。どーせ1回ぐらいなら、バレへんやろ?」



『そ、そういう問題じゃ…!!』



「大丈夫やって!たまにはええやん。俺はここであなたと一緒に居たいんやもん!あなたは、嫌…やった…?」



なんて、甘えたようにそう言われたら…




『ううんっ、嫌やないよ?私も大ちゃんと一緒に居たいもんっ。』



私だって、嬉しくて。



「ふふっ、じゃあ決まりやな!」



くるっと大ちゃんの方を向いて、私がそう言えば



ぱぁっと、嬉しそうな顔をした大ちゃんは、今度は向き合うように



そっと、抱きしめ直してくれて。



そんな大ちゃんの背中に、私も腕を回して



幸せだなぁ、なんて。



お互いの体温と、屋上に吹く心地いい風感じながら、しばらく2人で抱きしめ合っていると…



「…あなた、こっち向いて?」



『えっ、?……っ、!!』



ふと、大ちゃんに言われたその言葉。



言われた通りに顔をあげてみれば



優しく、キスをされて。



『だい、っ……、んっ、、。』



1度、離れた唇。それで終わるのかと思いきや



今度は、さっきよりももっともっと、深くて、長いキスをされて。



苦しくなって、大ちゃんの背中を軽くとんとんって叩けば



やぁっと、唇を離してくれて。



「ごめんごめん、ちょっとやりすぎた。笑」



『っ、、…。』



そう言いながら、優しく私の頭を撫でてくれる大ちゃんに



何だか私は、とっても恥ずかしくなって。



顔を隠すように、ぎゅっと大ちゃんに抱きつけば



「ふふっ、どうしたん急に。笑 もしかしてあなた、照れてるん?笑」



『…っ、照れてなんかないもんっ…』



「えー、でも顔真っ赤かやで?笑」



『…こ、これは違うもん…!』



「違うん?笑 じゃあ……。キスの続き、したくなったん?」



『っ!?!? …な、なな何言ってるん大ちゃん…!そんな訳…!!』



「えー、それも違うん?笑 まぁ、俺はいつでもその気やけどなぁ~?笑 なんなら今からする?」



『…!?な、何言ってるの!する訳ないでしょ!!授業中…!!』



「ふはっ、笑 あなためっちゃ必死やん。笑」



『だ、だってそれは、大ちゃんが…!!』



「大丈夫やって。冗談やから、じょーだん!笑 流石に俺やって、ここじゃそんな事せえへんから。笑」




なんてそんな冗談を言いながら、くしゃっと笑う大ちゃんは



やっぱり、私の大好きな大ちゃんで。




『ねぇ、大ちゃん。』



「んー??」



『…ちゅー、して…?』



「…っ!!」



なんて、私がお強請りをすれば




「ふふ、ええよ。笑 今したる。」



『…ぅんっ…、っ、ん…。』



大ちゃんは、優しく応えてくれて。




『…好き。大ちゃんのこと、大好き。』



「うん、俺も。あなたのこと、大好きやで。」




いつもより、ちょっぴり長いお昼休み。



2人っきりの屋上で、大ちゃんと一緒に居られる、この甘々な時間が



やっぱり私は、1番好き。







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