第54話

〔道枝駿佑〕可愛い彼氏
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2020/08/12 06:26


「あなたちゃん!こっち、来て?」



時刻は午後9時。



お風呂から上がって、リビングに向かうと



ドライヤーを手に持って、ニコニコしながら私のことを待ってくれている、彼氏の駿くん。




『駿くんが乾かしてくれるん?』



「うん!!ほら、あなたちゃん早く!!こーこ、座って?」



『ふふ、うん。笑』



元気いっぱいにそう言う駿くんに誘導されるがまま、私が駿くんの脚の間に座ると



「じゃあ、乾かしてくな!」



なんて、ご機嫌に私の髪を乾かし始める駿くん。



駿くんは、私より2つ年下で、まだ高校3年生。



そのせいもあってなのか、普段の駿くんはまだまだ子供っぽい所があったりして



私にとっては、ものすっっごく可愛い彼氏。



今だってそう。



鼻歌を歌ったりなんかしている駿くんは、一緒に居るだけでも、私を充分癒してくれる。



『やっぱり、可愛い。笑』



「ん??あなたちゃん、今何か言った?」



『ううんっ、何も!』




だけど、最近駿くんは私が"可愛い"って言うとちょっと、むすっとする。


まぁそんな所も、私からしたら可愛い要素のひとつやけど



駿くんだって、高校生の男の子。



"カッコイイ"って言われたいらしい。



だから、私が駿くんのことを可愛いって思っていることは、駿くんには秘密。



「はい、あなたちゃん!乾いたよ!」



『ふふ、ありがとう駿くん。』




なんて、そんな事を考えているうちに、私の髪はいつの間にか乾いてて。



『喉乾いたでしょ?私お茶入れてくるね!』



そう言って、私が少し駿くんの元を離れようとすると



「ダーメ。あなたちゃんは、ここに居て。」



『えっ、?わぁっ、ちょっ、駿くん…!』



ぐいっと駿くんに引っ張られて、私はいとも簡単に元いた場所まで戻されて



そのまま駿くんに、後ろからぎゅーっと抱き締められる。



『しゅん、くん…?』



「ねぇ、あなたちゃん。今日何してた?」



『今日…?えっと…、いつも通り大学行っただけだよ?』



「嘘、つかんといてや…。」



『嘘じゃないよ?本当に大学しか「でも俺、見ちゃったもん。」



『えっ、?』



「あなたちゃんが、仲良さそうに男の人と歩いてた所…!」




なんて、そう言って。



さらにぎゅーっとしてくる駿くん。



でも、駿くん。それ、勘違い。笑



『もしかして駿くん。嫉妬、してくれたん?』



「だ、だって…!あなたちゃん凄く楽しそうにしてたから!俺みたいな年下じゃ、やっぱりあなたちゃんは嫌なのかなって…!」



『ふふ、大丈夫だよ駿くん。私が好きなのは駿くんだもんっ。』



「でもっ、!」



『それにね、駿くんが見たのは、私が道を教えた所やと思うな~笑』



「へっ、?」



『大学まで案内して欲しいって言われたから、一緒に歩いてただけで、駿くんが思ってるようなことは全然ないよ?』



「じゃ、じゃあ、全部俺の勘違い…?」



『うん。笑 だって私には駿くんだけだもん。』



なんて、私がそう言うと



「あ~も!!俺カッコ悪っ!」



駿くんは少し照れくさそうに、頭を搔いていて。




『やっぱり駿くんって、可愛いよね。笑』



「むぅっ、またあなたちゃん可愛いって言った!!俺は可愛いんやなくて、カッコイイの!!」



『え~、だって駿くんが可愛すぎるんだもん!笑』




ぷくっと頬を膨らませて不貞腐れてる駿くんは、やっぱり凄く可愛くて。



そんな可愛い駿くんを、私が少しからかったりなんかしていると




「もうっ!あなたちゃんは、油断しすぎ。」



『えっ、…っ!!』



突然、駿くんから降ってくる優しいキス。




「俺やって男やもん。これくらい出来るしっ…!」




だけど、そう言った駿くんの顔は、耳まで真っ赤になっていて。



やっぱりまだまだ子供っぽくて可愛いなぁ。



なんて思ったことは



私だけの、秘密にしておこう。







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