今日は彼氏の皇輝くんとの初デートの日。
私よりも1つ年上の皇輝くんに、少しでも大人っぽいって、可愛いって思われたくて
悩みに悩んで決めた取っておきの洋服と
いつもより手の込んだヘアアレンジ。
『やっば…!もうこんな時間…!!』
完璧に支度を終えて、ふと時計を見ると、もう約束の10分前。
急いで待ち合わせ場所まで向かうと
「あっ、あなた~!」
笑顔で私に向かって手を振る皇輝くん。
それだけでも、私の胸は充分高鳴るけれど
今日は普段目にする制服じゃなくて、初めて見る皇輝くんの私服姿。
細めのジーンズを完璧に着こなす皇輝くんは、いつもの何百倍もカッコよく見えて。
『皇輝くん!ごめん、少し遅くなっちゃった…!』
ドキドキしているのがバレへんように、私がそう言うけれど…
皇輝くんからの返事はない。
やっぱり少し遅くなっちゃったこと、怒ってのかな…?って恐る恐る私が顔をあげてみると
『えっ、皇輝くん…?』
私の予想とは大きく反して、顔を真っ赤にしている皇輝くん。
「あっ、いや…、その…。今日、いつもと雰囲気違うんだね。」
『えっ?あ~、うん!やっぱり変、かな…?』
「ううん、似合ってる。可愛いよ。」
なんて、少し照れたようにそう言う皇輝くんに
私の顔も一気に赤くなっていて
私たちの間を流れる何とな~く気まづい、無言の時間。
そんな沈黙を破るように
「じゃあ、行こっか…!」
なんてそう言いながら、スマートに私の手を取って、デートをエスコートしてくれる皇輝くんに
ドキッとして、私の心臓はうるさいくらいに鼓動して。
皇輝くんに着いていくだけでも、私は精一杯。
そんな私の様子に皇輝くんも気づいたのか
緊張をほぐすように、いつも以上に優しく、私に寄り添うように接してくれるから
私の緊張も次第に解けていって。
あっという間に過ぎていく、楽しいデートの時間。
「そろそろ、暗くなってきちゃったね。」
『だね…。楽しすぎて、なんだか一瞬だったな~。笑』
「俺も。笑 時間のことなんて忘れたもん。笑」
最初はあれだけ緊張していたけれど、頼れる皇輝くんのおかげで
すっごくすっごく楽しくて。
気づけばもう、辺りは暗くなっていて。
今日の思い出話をしながら、私を家まで送ってくれる皇輝くん。
そんな紳士的な所も、やっぱり好きだなぁ
なんて思っていれば、家までの道のりも一瞬で。
『皇輝くん、今日はありがとう。凄く楽しかった!』
「俺も、めっちゃ楽しかった!あなたの意外な一面もわかったし?笑」
『そ、それは言わない約束じゃんっ…!笑』
「ごめんごめん!笑 でも、俺はあなたのこと、もっと知れて嬉しかったよ?」
『…っ!そんなの、私だって…!』
このまま皇輝くんと別れるのは、なんだか惜しくて、1分1秒でも長く一緒に居たくて
家の前で、ちょっぴり立ち話なんかをして。
「じゃあ、そろそろ俺行くね。」
『うんっ。』
「あっ、待ってあなた。1個、忘れ物。」
『えっ、?』
帰ろうとした皇輝くんが、くるっと振り返ってそう言いながら私の方に戻って来て。
何を忘れたんやろう、なんて思っていると
唇に当たる柔らかい感触。
「じゃあ、また明日。」
普段は頼れる年上彼氏の皇輝くん。
そんな彼が耳まで真っ赤になっていたのは
午後7時。
街灯の明かりだけが綺麗に灯るこの場所で
初めてキスをされた時間。
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リクエストありがとうございました🍀
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。