第149話

〔長尾謙杜〕3年分の想いを込めて
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2021/02/26 10:07


友達「長尾~、この後皆でカラオケ行くことになったんやけど、長尾も一緒に…」



「あ~、ごめんっ!! 俺、行かなあかん所あるからパス!! じゃ、また!!」



友達「え、ちょっ!!…長尾、!?」



高校の卒業式。



もちろん、高校の友達とこんな風に毎日会えるのも、今日で最後やけど。



それよりも、僕にとって大事なこと。



それは…




「あなた先生っ!!!」



『…っ、! 長尾くんっ!』




この学校の、保健室の先生で




僕が3年間想いを寄せていた、あなた先生。



『卒業おめでとう!!』



「うんっ、ありがとう。」



『早いなぁ~、長尾くんももう卒業か~』



「えぇー、早くないよ!! 俺にとってはすっごく長かったんやからっ!!」



『そう?笑 でも、長尾くん3年間毎日保健室に来てくれてたから、これからちょっと寂しくなっちゃうかも。笑』



なんてそう言って、少し寂しそうに、でも優しく微笑むあなた先生。



…あなた先生との出会いは、高校の入学式。



入学式の途中で貧血になって倒れた俺が、保健室に運ばれた事がきっかけで。



目が覚めて、初めてあなた先生を見た時



あぁ、この人だって、直感でそう思って。



そこから3年間。



1日も欠かさずに、僕は毎日あなた先生に会うために、保健室に通ってた。



もちろん、何度か告白した事だってあるけれど



" 生徒とは付き合えない " とか " 卒業したら考る "



とか、いっつもちゃんと相手にして貰えなくて。



だから、、、



…最後にもう一度。



振られてもええから、せめて、自分の気持ちだけでもあなた先生に伝えたくて。




「ねぇ、あなた先生。」



『ん、?? 何、どうしたの?笑 あっ、もしかして卒業するの、嫌になっちゃった??これから楽しいこといっぱいあるんやから「あなた先生。」




『…っ、! ね、長尾くん近い…からっ、!』



「本当は先生だって、俺が言いたいことわかってるやろ?」



『…っ、、。』



「先生、俺もう卒業したよ? もう、生徒じゃないんやで?」



『…っ、長尾くん、、。』



「あなた先生、1年の時からずっとずっと大好きでした! だから俺と、…付き合って下さいっ!!」




精一杯の告白。



…これが最後やから。



あなた先生と会えるのだって、きっとこれが最後やから。



…男なんやし、最後ぐらいは振られたって、泣かずにいようって



そう覚悟をきめて顔を上げたはずだったのに…




「…えっ、なん、、で…。あなた先生、、?」



『…ごめっ、、、。』



泣いていたのは、俺じゃなくて、あなた先生の方で。



「先生…、俺の告白そんなに嫌やったん、、? ごめん…。だったら今の全部忘れ『違うの、!!』



『…違うの、、。嫌だったんじゃなくて、嬉しくて、、!』



「っ、!!」



『私もずっと、長尾くんのことが好きだったからっ!…でも、長尾くんは生徒だから。ここは大人の私が我慢しなくちゃ、、って、、…っ、。』




目一杯に涙を浮かべながら、必死にそう言うあなた先生に


俺も、我慢出来なくて。




「…あなた先生、それほんま?」



『こんな時に嘘つく訳ないやろっ、、。』




これでもかってぐらい、ぎゅーっと抱き締めれば



あなた先生も。



同じように、俺の事を優しく抱き締め返してくれて。



「あなた先生、大好きです。俺の彼女になってくれますか?」



『…うんっ、、…はいっ!』




なんて。



2人でお互いの気持ちを確かめ合いながら、笑いあって。




高校の卒業式。



雲ひとつない青空が広がる、この最高の日に。



3年間、ずっと想い続けたあなた先生は



俺の、" 彼女 " になった。









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