第13話

〔高橋恭平〕お兄ちゃん(R)
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2020/07/03 13:51


母「あなた~、ちょっと出かけて来るから恭平くんとお留守番しててくれへん?」



『は~い!』



母「恭平くんが優しいからって、あんまり迷惑かけちゃダメよ?」



『わかってるって!大丈夫やから!』



母「そう?じゃあ、よろしくね!」



『うん!いってらっしゃい!』





親の再婚で、兄妹になった私とお兄ちゃんの恭平くん。



周りの人から見たら、私たちはとても仲のいい兄妹で、羨ましがられる事だって少なくない。



だけど、そんな私たちの関係は普通じゃない。





『んっ、お兄ちゃん…っ』



「あなた、その呼び方はダメ。ちゃんと恭平って呼んで?」



『恭平っ、お願いもっと…、もっとキスして…?』



「ん、今したるから。」





本当は、こんな事ダメだってわかってる。



わかっているけど、それでも私は"お兄ちゃん"としてじゃなくて



一人の"男の人"として恭平くんのことが好きで



恭平くんも、同じように私を求めてくれる。



だけど…




「あなた、泣かんといてや。あなたが泣くと俺も辛くなるねん…。」





恭平くんに触れられると、身体がどんどん熱を帯びていって



名前を呼ばれれば、それだけで胸が高鳴って。



嬉しいって、そう思うのに



恭平くんに優しくされればされるほど、恭平くんを好きになればなるほど



その嬉しさと同じぐらい罪悪感でいっぱいになって、苦しくなる。




『あっ、んぁっ、きょへく…っ!』





恭平くんと身体を重ねる度に、これで最後にしよう



もう、恭平くんの事は諦めようって思ってるのに



結局最後は、恭平くんを求めてしまう自分がいて、諦めるなんて出来なくて。



その変わりに込み上げてくるのは、もし恭平くんと"兄妹"じゃなかったら



もし、恭平くんが"お兄ちゃん"じゃなかったら。



なんて、今更どうする事も出来ない事実を、ただただ嘆くだけ。





「な、あなたもうええ?俺もう、限界…っ…!」



『ぁんっ…!はぁっ、やぁ…っ!!』



「っ締めすぎ、や、から…!」





恭平くんと繋がって、激しい腰の動きに身を任せて、ただ快感を求めるこの瞬間だけが



私にとって、恭平くんと"兄妹"である事を忘れられる、唯一の瞬間で。



どんどん加速していく腰の動きに加えて、奥の方を突かれれば



お互い、限界で。





『恭平っ…!も、イっちゃ、っ!』



「俺も、イきそうや…っ…!」



『きょへ、好きっ、大好き…っ!!!』



「あなた大好きやで、っ…!!!」




お互いの愛を確かめながら、2人で果てた。








『恭平くん…っ…。』



行為後、上がった息を整えながら、縋るように恭平くんの名前を呼ぶと



「大丈夫、大丈夫だよ。」




そう言って、私の事をそっと抱きしめて、安心させてくれる恭平くん。




そんな恭平くんに対して込み上げてくるのは



やっぱり、"兄妹"としての感情ではなくて。




たとえ、私たちの関係が報われることのない禁断の恋だとしても




もう少しだけ。



もう少しだけでいいから



この恋に溺れさせて…。







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