『駿佑くん、お疲れ様!はい、これ。』
「あなた!いつもありがとうな!」
『ふふ、うん。笑』
部員「あー!また道枝だとマネージャーがイチャイチャしてる!!やっぱりお前ら付き合ってるんやろ!」
「バカ、そんな訳ないやろ?部内恋愛禁止!」
『そうだよ!しかも別に、イチャイチャなんてしてへんし…!』
部員「えー、怪しすぎ!まぁでも、少なくとも道枝は、マネージャーのこと好きやもんな?笑」
「おい、余計な事言うなって!それにほら、早く練習戻らんと監督に怒られるで?」
部員「やっばっ!それだけは勘弁や…!!」
「ったく…。笑 あ、そうだあなた。」
『ん??』
「練習終わった後、部室で待ってるから。」
なんて、他の人に聞かれないように私の耳元でそう言って
何事もなかったかのように、練習に戻っていく駿佑くん。
駿佑くんは、私がマネージャーを務めるサッカー部の部長で、我が部のエース。
そして私の、彼氏でもある。
だけど、昔からずーっと続いている部活のルールで
"部内恋愛禁止"って、そう決められているから
私たちの関係は、他の人には絶対内緒。
『ごめん駿佑くん、少し遅くなっちゃった…!』
「ううん、全然!ほらあなた、こっちおいで?」
練習が終わったあと、マネージャーの仕事を早めに片付けて
言われた通り私が部室に向かうと、他の皆が帰って静かになった空間で
1人、私のことを駿佑くんが待ってくれていて。
ニコニコの笑顔で駿佑くんに手招きされて、2人並んでベンチに座ると…
「やぁっと、これであなたと2人きりや…!」
なんてそう言いながら、ぴとって私にくっついてくる駿佑くん。
『ふふ、珍しいね。駿佑くんが学校で私に甘えてくるの。』
今まで私たちが付き合ってる事は、絶対バレちゃいけないからって
学校にいる間は、極力部活以外では、会話だってしないようにしてたのに
急に甘えてくる駿佑くんに、ちょっとビックリして。
だけど、やっぱり何だか嬉しくて。
こんな些細なことでも幸せだなぁ~、なんて思っていると
『えっ、わぁっ…!、駿佑くん…?』
突然駿佑くんが、ぎゅーっと抱きついてきて
「本当はな?俺やって、教室でもあなたと話したいって思ってるんやで?でもさ、バレたらあかんのやもん…!」
なんて、普段はクールな駿佑くんが、ちょっと拗ねたようにそう言う様子が
小さい子みたいで、可愛くて。
「むぅっ、なんで笑うねん。」
『だって、駿佑くんが可愛いすぎるんやもん!笑』
ぷくっと頬を膨らませながら、拗ねている駿佑くんは、やっぱり可愛くて
私は思わず笑ってしまう。
「もう!笑い事やないの!俺心配なんやから!!あなたが、他のやつに取られちゃうんやないかって!」
『そんなに心配しなくても、大丈夫だよ?』
「でも、心配なの!部活やと男ばっかり居るし、それにあなた可愛いし、クラスのやつだって、皆あなたのこと狙ってるんやから!」
そう言いながら駿佑くんは、さらに強く抱き締めてくる。
「あっ!そうや、いい事思いついた!」
『えっ?、しゅんっ…っ!?』
"いい事思いついた"
そう言った駿佑くんが、私の首に顔を埋めたのと同時に、首筋に走るチクッとした痛み。
「ふふ、出来た!!これであなたは俺のものってわかるやろ?」
『そうだけど…!ここじゃ皆にバレちゃうやん…!』
「いーの!わざとやから!絶対絆創膏で隠しちゃダメやからね!」
なんて満足そうにそう言って、笑顔で私の方を見つめる駿佑くん。
そんな駿佑くんを見ていたら、何だかもう、皆にバレてもバレなくても
どっちでもいいのかも、ってそう思えてきて。
「あなた…?」
私も、駿佑くんの綺麗な首筋に吸い付いて、印をつける。
『さっきの仕返し!笑』
なんて、そう言いながら2人で顔を見合わせて、笑いあって。
次の日。
私たちが付き合っていることが、皆にバレてしまったことは
きっと、言うまでもない。
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リクエストありがとうございました🍀
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。