第148話

〔道枝駿佑〕卒業しても
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2021/02/24 10:33


『…卒業しちゃったなぁ、、。』




今日は、高校の卒業式。



3年間、一日も休まずに通い続けた学校とも、今日でお別れで。



卒業式が終わって、皆が自由に写真を撮ったりしている中



少し離れた所で、私が1人、校舎を眺めていれば…




「あなたっ!!」



『…っ、! 駿くん!』




ふと、誰かが私の名前を呼ぶ声が聞こえてきて。



声がした方を見てみれば、大きく手を振りながら、元気よくこっちに向かって走ってくる



同じクラスで、彼氏の道枝駿佑くん。




「ごめんっ、あなた! 色んな人に捕まっちゃって、少し遅くなっちゃった、、。」



『ふふっ、ううん。笑 全然大丈夫だよ! あ、でも駿くん制服…』



「…あー、えっと、、。なんか気付いたらボタンとか色々無くなってて、、?」



なんて、少し困ったようにそう言う駿くん。



駿くんは、カッコよくて、優しくて。



学年問わず、学校中の人気者。



だから、何となく予想はしていたけれど…。



駿くんが私の所へやって来た時には



制服のボタンもネクタイも。既にぜーんぶ、無くなっていて。



…今更どうにかなる事じゃないし、仕方がない事だとはいえ



これでも一応、駿くんの彼女は私やし…?



せめて、駿くんの制服のボタンだけでもええから、欲しかったなぁ、、



なんて、そんな事を私が思っていると、、、。



「あなた、こっち! 少し俺に付き合って!」



『…へっ、、? えっ、駿くん、!?』



ニコニコしながらそう言って、戸惑う私の手を取りながら



どこかに向かって、一直線に進んで行く駿くんの後を、何とか私がついて行けば…




『…えっ、駿くんここって、、。』



「ふふっ、ここに来れるのも今日で最後かな~って思ってさっ! あなた、好きやろ? 屋上!!」




辿り着いたのは、学校の屋上。



駿くんの言う通り、私の1番のお気に入りの場所で。




『懐かしいな~、駿くんが私に告白してくれたのも、ここだったね!』



「うんっ、笑 あの時俺、めっちゃ緊張してて、大事な所で噛んじゃって。笑」



『そうそう!笑 可愛いかったもんっ!笑』



なんてそんな思い出話なんかをしながら、2人で笑いあって…。




「あっ、そうだあなた! これっ。」



『…えっ、?』




「学ランじゃないから、1番心臓に近いって訳じゃないけど…、ブレザーの第2ボタンと、ネクタイ。」



『…っ、!!』



「もしかしたらあなた、欲しいかなって思って、これだけは誰にもあげへんかったんやけど…。あっ、別に要らなかったら無理にとは『いる!!』



『駿くんのボタンとネクタイ、欲しいっ。』



「…ふふ、うんっ、笑 どーぞ!!」




はいっと、駿くんから手渡された、制服のボタンとネクタイ。



もちろん、ずっと欲しいって思ってたからって言うのもあるけれど。



私の為に、駿くんが誰にも渡さないようにしてくれていたことが、何よりも嬉しくて。




『駿くん、ありがとうっ! すっごく嬉し、、…っ、わぁっ、!』




私が駿くんにお礼を言えば、全部言い終わる前に



これでもかってぐらい



ぎゅーっと、駿くんに抱きしめられて。




『…しゅん、、くん、?』



「あなた、好きだよ、大好きっ。…卒業しても、、ずっと俺と一緒にいてくれる…?」



『…うんっ、もちろん!私も駿くんのこと大好きだもんっ!! だから、こちらこそ、ずーっと一緒に居てくださいっ。』




なんてそう言いながら、私も駿くんと同じように、ぎゅーっと抱きしめ返す。




「…あなた。」



『ん、?』



「大好きだよっ。」



『っ、! …私もっ。大好きだよ、駿くんっ。』




これからも、ずっと。



大好きな駿くんの隣で、笑って居られますように。







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みちなが

高校卒業おめでとう🌸


近々長尾くんバージョンもあげる予定です😌







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