第64話

〔藤原丈一郎〕久しぶり
9,562
2020/08/20 10:24


『丈くん、暑いし危ないし、そろそろ離れてくれへん…?』



「んー?もうちょっとだけ。」



『えー、それもう何回も聞いたんやけど。笑』



「ええやん、たまには。久しぶりなんやし。」




今日は丈くんと、久しぶりのお家デート。



最近、丈くんのお仕事が忙しくて、なかなか会うことも出来ていなかったから



こうやって、2人でのんびりすること自体久しぶりで。



さっきから、何をしていてもずーっと、私にくっついてくる丈くん。



普段、こんな風に丈くんが私に甘えてくれることはほとんどないから



私だって、この状況は嬉しいけれど…。




『ねぇ、丈くん。このままじゃご飯作れないよ?』




私がご飯の支度をしようとキッチンに移動しても、ずーっと。



丈くんが後ろから抱きついてくるから、一向に料理なんて出来ないまま。



『夜ご飯、無しになっちゃうよ?』



「…んー、それは嫌かも。」



『でしょ?じゃあ、「でも今は、こーゆー気分やねん。」



『えっ、?ちょっ、丈くん…!!』




やぁっと離れてくれるのかと思ったら、私の腕をぐいーっと引っ張って



リビングのソファーの方へと向かう丈くん。




『丈くん…?』



「お願いあなた、少しだけやから。」




なんて2人でソファーに座れば、結局さっきみたいにぎゅーっとくっついてきて。



まぁ、こんな事滅多にないし…?



甘えたさんの丈くんは、何だか私には可愛く見えて。



『ふふ、わかった。笑 丈くんがそんなに言うんだったらええよ。』



そう言いながら、私も丈くんのことを優しく抱きしめ返せば



「ん、ありがと。」




返事は少し素っ気ないけど、明らかに嬉しそうにしている丈くんは、やっぱり可愛くて。



『可愛い。笑』



ついつい、そんな本音を私がぽつりと呟くと




「…可愛いじゃなくて、カッコイイって言って欲しい。」



『えっ、?』




「この間も、一緒にテレビ見てた時。他のメンバーのことはカッコイイって言ってたのに、俺には言ってくれへんかったし…。それにさぁ、」



『…??』



「いつの間にメンバーと仲良くなったん?連絡先交換してたとか、俺聞いてへん。」



なんて、ちょっと拗ねたようにそう言う丈くん。




でもさ、丈くん。それってもしかして…




『嫉妬…?』



「なっ…!はぁ?、べ、別にそんなんちゃうし…!」



『ふふ、そっかぁ。丈くんメンバーさんに嫉妬してたんや~。笑』



なんて、私が少しからかうと



「…っ、俺やって嫉妬ぐらいするねん…っ!」




そう言いながら、丈くんは今以上にぎゅーっとしてきて。




「…なぁ、なんで笑うん?別に俺面白いこと言ってないねんけど。」



『だって、丈くんが可愛すぎるんだもん!笑』



もしかして今日丈くんが甘々だったのも、そのせいなのかなぁって思ったら



可愛すぎるし、何だか嬉しくて。



「ほら、また可愛いって『ねぇ、丈くん。』



『そんなに心配しなくても、私の中で1番カッコイイのは丈くんだよ?』



「…っ!!」



『でもね?1番可愛いのも丈くんなの。』



「何それ、意味わからんやん。笑」



『ふふ。まぁ、どんな丈くんでも私は大好きって意味…かな?』



「…っ!そんなん言うたら、俺の方があなたのこと好きやしっ!」



『えー、絶対私の方が丈くんのこと好きだよ?』



「んーん、絶対俺の方が好きやもん。」




なんて2人でそう言いながら、顔を見合わせて笑いあって。



『丈くん、大好き。』



「うん、俺も。あなたのこと大好きやで。」



吸い込まれるように、キスをして。



久しぶりの丈くんとのキスは、今まで1番




甘くて優しくて。



とろけるような、キスだった。







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