『丈くん、暑いし危ないし、そろそろ離れてくれへん…?』
「んー?もうちょっとだけ。」
『えー、それもう何回も聞いたんやけど。笑』
「ええやん、たまには。久しぶりなんやし。」
今日は丈くんと、久しぶりのお家デート。
最近、丈くんのお仕事が忙しくて、なかなか会うことも出来ていなかったから
こうやって、2人でのんびりすること自体久しぶりで。
さっきから、何をしていてもずーっと、私にくっついてくる丈くん。
普段、こんな風に丈くんが私に甘えてくれることはほとんどないから
私だって、この状況は嬉しいけれど…。
『ねぇ、丈くん。このままじゃご飯作れないよ?』
私がご飯の支度をしようとキッチンに移動しても、ずーっと。
丈くんが後ろから抱きついてくるから、一向に料理なんて出来ないまま。
『夜ご飯、無しになっちゃうよ?』
「…んー、それは嫌かも。」
『でしょ?じゃあ、「でも今は、こーゆー気分やねん。」
『えっ、?ちょっ、丈くん…!!』
やぁっと離れてくれるのかと思ったら、私の腕をぐいーっと引っ張って
リビングのソファーの方へと向かう丈くん。
『丈くん…?』
「お願いあなた、少しだけやから。」
なんて2人でソファーに座れば、結局さっきみたいにぎゅーっとくっついてきて。
まぁ、こんな事滅多にないし…?
甘えたさんの丈くんは、何だか私には可愛く見えて。
『ふふ、わかった。笑 丈くんがそんなに言うんだったらええよ。』
そう言いながら、私も丈くんのことを優しく抱きしめ返せば
「ん、ありがと。」
返事は少し素っ気ないけど、明らかに嬉しそうにしている丈くんは、やっぱり可愛くて。
『可愛い。笑』
ついつい、そんな本音を私がぽつりと呟くと
「…可愛いじゃなくて、カッコイイって言って欲しい。」
『えっ、?』
「この間も、一緒にテレビ見てた時。他のメンバーのことはカッコイイって言ってたのに、俺には言ってくれへんかったし…。それにさぁ、」
『…??』
「いつの間にメンバーと仲良くなったん?連絡先交換してたとか、俺聞いてへん。」
なんて、ちょっと拗ねたようにそう言う丈くん。
でもさ、丈くん。それってもしかして…
『嫉妬…?』
「なっ…!はぁ?、べ、別にそんなんちゃうし…!」
『ふふ、そっかぁ。丈くんメンバーさんに嫉妬してたんや~。笑』
なんて、私が少しからかうと
「…っ、俺やって嫉妬ぐらいするねん…っ!」
そう言いながら、丈くんは今以上にぎゅーっとしてきて。
「…なぁ、なんで笑うん?別に俺面白いこと言ってないねんけど。」
『だって、丈くんが可愛すぎるんだもん!笑』
もしかして今日丈くんが甘々だったのも、そのせいなのかなぁって思ったら
可愛すぎるし、何だか嬉しくて。
「ほら、また可愛いって『ねぇ、丈くん。』
『そんなに心配しなくても、私の中で1番カッコイイのは丈くんだよ?』
「…っ!!」
『でもね?1番可愛いのも丈くんなの。』
「何それ、意味わからんやん。笑」
『ふふ。まぁ、どんな丈くんでも私は大好きって意味…かな?』
「…っ!そんなん言うたら、俺の方があなたのこと好きやしっ!」
『えー、絶対私の方が丈くんのこと好きだよ?』
「んーん、絶対俺の方が好きやもん。」
なんて2人でそう言いながら、顔を見合わせて笑いあって。
『丈くん、大好き。』
「うん、俺も。あなたのこと大好きやで。」
吸い込まれるように、キスをして。
久しぶりの丈くんとのキスは、今まで1番
甘くて優しくて。
とろけるような、キスだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!