第120話

〔正門良規〕優しい時間を
7,459
2020/12/05 11:48


時刻は日付が変わる、10分前。



今日は彼女のあなたと、久しぶりのお泊まりデートの日。



最近お互い仕事が忙しくて、なかなか会えてなかったら



凄ーく楽しみにしていたはずなんやけど…



『良くん!!はいっ、これ!コーヒーどーぞっ!』



「ん、ありがとう、あなた。」



『ふふ、うんっ!…お仕事、まだかかりそう??』



「そうやなぁ、、。今日中に終わらせておきたいから、もう少しかかるかも。」



『そっかぁ…、、。』



こんな日までも、要領の悪い俺は、結局仕事に追われていて。



「ごめんな…?あなた。構ってあげれんくて。眠いんやったら、先に寝ててもええんやで?」



『ううんっ、良くんがお仕事終わるまで、私も待ってるっ!』




…なんて、そんなやりとりをしてから30分。




「よしっ!終わり!!あなた、待たせてごめん!今終わったから…って、やっぱり寝ちゃったか。笑」




何とか仕事を終わらせて、あなたの方を見てみれば



ソファーの上で、すやすやと気持ち良さそうに眠っているあなた。



「ふふっ、可愛いっ、。」



そんなあなたの姿は、とっても可愛くて。



きっと、あなただって疲れてたやろうし、ぐっすり寝ているあなたを起こすのは



何だかとっても悪い気がして。



とりあえず、風邪をひかないように、ブランケットをかけてあげていると……



『…んっ、、。…よし、くん…?』



「あ、ごめんあなた。起こしちゃった?」



『ううんっ、大丈夫。…良くんは、お仕事もう終わり…?』



「うん、あなたのおかけで、何とか終わったで。」



『へへっ、良かった~』



なんて、ふにゃっとした笑顔を見せながら、嬉しそうにそう言うあなた。



「ふふっ、まだ眠そうやな。笑 ベッド行こっか?」



『…ううんっ。…ねぇ良くん、、ぎゅーってして…?』



うるっと瞳を潤ませながら、甘えたようにそうお強請りしてくるあなたに



もちろん俺は、断る理由なんかどこにもなくて。



「ええよ。笑 じゃああなた、ここおいで?」



なんて、俺が手を広げれば、これでもかってぐらいあなたはぎゅーっとくっついてきて。



「ふはっ、笑 なんか今日のあなた、いつもより甘々やな。笑」



眠たくなるとあなたが甘えたさんになるのは、いつものこと。



そんなあなたは可愛いし、彼女に甘えて貰えるのは、俺からしても嬉しいし?



…だけど、、



『ね、良くん…。…ちゅー、して?』



「…っ!!」



それにしたって今日のあなたは、いつにも増して甘々で。



「ん、今したる…、っ。」



なんて、あなたの唇に、優しくキスを落とせば…



『……んっ、、良くん…。』



あなたから漏れる甘い吐息と、唇を離せば、とろんっとした顔をしているあなたに



…ちょっとだけ。やましい考えが俺の頭の中を駆け巡る。



でも、、流石に、、な…?



いくら会うのが久しぶりだとはいえ、あなただって疲れてるやろうし?



第一、あなたがこんなに甘々なのやって、眠いからやし…?



なんて、何とか自分にそう言い聞かせて、必死に煩悩と戦っていれば、、、



「…っ!!、、…あなた、??」



『…やっぱり、、落ち着く。こうやって良くんに、ぎゅーってするの。』



なんてそう言いながら、もう一度。あなたはぎゅーっと抱きついてきて。



「寂しかった…? 俺と会えなくて。」



『当たり前やんっ。良くんに会えなくて、寂しくない訳ないやろ…?』



「ふふっ、それもそうやな。笑 俺も寂しかったもん、あなたに会えなくて。」



『うんっ、笑 …ねぇ、良くん…?』



「ん??」



『好きっ。』



「…っ、!、、。」



『…大好きだよ、良くんっ。』



なんて、飛びっきりの笑顔で、でも少し照れくさそうにそう言うあなた。



あぁ、もう、、。ほんまにっ…。



「…なぁ、それわざと?」



『、、へっ、?何が…?』



「…いや、何でもない。…ってあなた、何笑ってるん?」



こっちは必死で我慢してるっていうのに、あなたは呑気に笑ってて。



『んー、良くん可愛ええなぁって、思ってさ。笑』



「何それ、、笑 ほら、する事ないんやったらもう時間も遅いし、そろそろ『…ねぇ、良くん。』



『…全部、わざと…って言ったらどうする…?』



「…っ、!?、……ほんまにっ、、。これ以上は我慢出来なくなるから、あかんって…。」



『ん、ええよ…。良くんなら、、。』



なんて上目遣いで、そんな風に言われては、こっちだって。



…我慢の限界で。



「…ったく、、。…明日、どうなっても知らんからな、?」



『…ぅんっ、、。…んっ、、良くん…、、。』



そのまま、あなたに覆い被さるように、そっと、優しくキスをして。



久しぶりの、お泊まりデート。



…それは、いつもより、ちょっぴり甘くて、長い夜。





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