第79話

〔大西流星〕可愛い年下
8,991
2020/09/03 14:25


『流星、暑い…!!いい加減離れて…!』



「いーやーだっ!絶対離れないもん!」



『もぉー、これじゃ何も出来ひんやんっ!』



「ええやん、何もしなくても。俺とイチャイチャするだけじゃ、あかんの?」



こんなやり取りをし始めてから、もう少しで1時間。



大きくて、ぱっちりとした瞳を潤ませながらそう言ってくる流星。




『あかん…訳じゃないけど…!』



「じゃあ、ええやんっ!ちょっとだけやから。」



『…わかった。でも、本当にちょっとだけだからね?笑』



なんて、結局流星の可愛さに負けて、私がそう言えば




「あなたちゃん、大好きっ!」




そう言いながら、ぱぁっと嬉しそうな顔をして



今まで以上にぎゅーっと抱きついてきて。



私よりも、4つ年下の彼氏の流星は



普段は、周りの人からよく頼りにされるぐらい、しっかり者。



だけど、実はしっかりしているように見えて、ちょっと不器用だったり。



天然で、抜けてる所があったり。



何より、私の前ではものすごーく甘えん坊。



『ふふ、可愛いっ。』




そんな、"可愛い"流星に甘えられるのを、私は嫌だと思ったことは1度もないし



むしろ甘えたがり屋の流星は、すっごくすっごく可愛いから



私は好きなんだけど…




「あっ、あなたちゃん、また俺のこと可愛いって言った…!」



『だって流星、可愛いんだもんっ!笑 しょうがなくない?笑』



「しょうがなくない!可愛いは嫌って俺、前にも言ったやんっ!」



最近の流星は、私が"可愛い"って言うと、少し不貞腐れながら



決まったように、"可愛いは嫌"って、そう言ってくる。



『えー、でもやっぱり流星は私からしたら、可愛いのっ!それに、先に甘えてきたのは流星でしょ?笑』



「むぅっ。またそうやって俺のこと、子供扱いするんやっ。」




なんて、頬をぷくって膨らませながら、少し拗ねたようにそう言う流星。



わかってる。年下だからといっても、流星だってもう19歳。



"可愛い"って言われたり、子供扱いされるのは嫌だって思う気持ちがあるのも、当然のこと。



そんなことは私だって、ちゃんとわかってる。



だけどやっぱり、甘えん坊の流星は私からしたら、とても可愛いくて。



ついつい、子供扱いしてしまう。




『ごめんね?流星。楽しくて少しからかいすぎちゃった。笑私が悪かったから、機嫌治してくれる…?』



「…じゃあもう、ぜーったい、可愛いって言わへん…?」



『んー、それはどうだろう。笑 だって私、可愛い流星、好きだもん。』



「…っ!!」



"好き"



私のその言葉に、ピクっと反応を見せる流星。



『もちろんカッコイイ流星のことも好きだけど、私は可愛い流星も大好きだよ?』



なんて、私がそう言えば



不貞腐れて、下を向いていた流星は、ゆーっくりと顔をあげて。



「それ、本当…?」



『うん。笑 本当。』



「俺が…、年下だから、まだ子供だからじゃない…?ちゃんと、あなたちゃんは俺のこと好き…?」



『うん。ちゃんと、流星のこと大好きだよ。それに、好きじゃなかったら付き合わないでしょ?笑』



「…っ、俺やって、あなたちゃんのこと、好きだもんっ!」



そう言いながら、流星はこれでも勝手ぐらい、ぎゅぅーっと抱き締めてきて。



『ふふ、うん。知ってる。笑』



私も、そんな流星のことを優しく抱きしめ返す。



そのまま、しばらく2人で抱き締め合っていると



「俺な?あなたちゃんは、俺のこと好きじゃないのかもって、ちょっと不安だった。」



『えっ、?』



なんて、突然そう言ってくる流星。




「友達にね、社会人の彼女がいるって言ったら、どうせ遊ばれてるだけや~って言われて…。」



ここまで言われて、ようやくわかった。



流星が、最近"可愛い"って言われたり、子供扱いされるのを嫌がる理由。




『ふふ。大丈夫だよ、流星。私には流星だけやから。』



「俺も、あなたちゃんだけっ!」




なんて、2人で顔を見合わせながら、笑い合って。



お互い、吸い込まれるように、ひかれ合うように



私たちは優しいキスをして。




「あなたちゃん、大好き。」



『私も。大好きだよ、流星。』





年下で甘えん坊の可愛い彼氏。



そんな流星のことが、私は



世界で1番"大好き"だ。






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