第162話

〔大西風雅〕ずっと一緒に居たい人
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2021/05/03 08:53


GWも後半に差し掛かる今日。




学校から出された大量の課題をやり進めながら、のんびーり過ごしていると…





『ふーが!!!!』




「、、、。……は、?」




『あれ?久しぶりに会ったっていうのに、なんか風雅、反応薄ない?笑 もしかして緊張してるん?笑』




「え、いや、、は…? なんであなたがここに居るん?」




『ん~、GWやし、私も帰って来たから?笑…って、あっ!!! これ!! 前に2人でやってたゲームの新作やん!! 私これやりたかったんよね~!』




「え、? …って、ちょっおい! あなた!!!」






…なんて、俺の言葉には一切耳を傾けずに。




俺の部屋に入って来て早々、何の躊躇いもなく、人のベットの上にダイブしたままゲームを始めたのは




俺よりも1つ年上の幼馴染である、あなたで。







『…で、? 最近どう?』




「どうって、、、。別に普通にやけど?笑 あなたの方こそ、大学どうなん?」




『うんっ、楽しいよ! 友達も沢山出来たし! 風雅は知らないと思うけど、私結構モテるんやで?笑 だから、次こっちに帰って来る頃には私にも彼氏居るかもな~?笑』





「え、あなたが?笑 ないない!! こんな女子力皆無なやつがモテるとか、皆見る目無さすぎやろっ。笑」




『ちょっと風雅! それどーゆー意味よ!!笑』




「そのままの意味やけど?笑 だって、いくら幼馴染とはいえ、男子の部屋にズカズカ入ってきてベットの上に寝転がるとか、女子として絶対ありえへんからっ、笑」




『えーのっ!! こんな事風雅の前でしかせえへんし?笑 風雅は弟みたいなもんなんやから、今更女の子っぽくしてる方が気持ち悪いやろ!笑 あっ、それよりさ!』




「…っ、、、。」






" 弟 " みたい、…なんて。




そんなあなたの言葉に、俺の心は簡単に傷ついて。




…わかってたつもりやったのに。




もう、諦めたはずやったのに。




あなたが大学に行くからと、地元を離れてから、たかが1ヶ月。




たかが1ヶ月なのに、前よりも断然可愛く、大人っぽくなったあなたを。




…ましてや、17年間も想い続けていた相手の事を。




そう簡単に、忘れる事なんか出来なくて…。







『…風雅、、、?? 大丈夫、? なんか今日、様子変やない?』




「…別に、、。いつも通りやからっ。…っていうか、いつまでここに居るん? せっかく帰って来たんやったら、こんな所じゃなくてもっと他に…『ごめんっ、。』




『やっぱり、、迷惑だったよね…! こんないきなり押しかけて…。ごめんね、風雅!! じゃあ、私そろそろ帰るね! 課題頑張ってね、、!』




「…え、、? …ちょっ、!!」






あなたの事を、傷つけたい訳じゃないのに。




告白する勇気なんて、どこにも無いくせに。




あなたが、これ以上俺から離れて行ってしまうのが怖くて。




少しでも自分の傷を浅くするために




結局最後は、あなたの事を傷つけて…。





「…あなた!!! 待ってて、!! 別に誰も迷惑だなん、、て、。…え、、なんっ、、、。」






このまま、またあなたと会えなくなるなんて、そんなの絶対嫌で。




咄嗟に、部屋から出ていこうとするあなたの腕を掴んで引き止めれば。




…あなたの目からは、涙が溢れていて。






『…ごめんっ、なんでもないからっ。』




「でもあなた、泣いて…!『……………からっ。』




『私だけやから、、! 風雅に会いたいって思ってたのも、もっと一緒に居たいって思ってるのも。』




「…っ、!」




『ずっとずっと一緒に居て、これから先だって、私はずっと風雅と…、っ!?、、、。』







目いっぱいに涙を浮かべてそう言うあなたに、我慢出来なくなって。




気がつけば俺は、泣いているあなたを。




ぎゅっと、抱き締めていて。






『ふうっ、、、。』




「…あなただけ、ちゃうからっ。」




『…え、?』




「だから、、、。ずっと一緒に居たいって思ってるのは、あなただけやなくて、俺も…、同じやからっ!」




『…っ、!!』




「俺年下やし、子供やし…。頼りないかもしれへんけど、、。でも、あなたの事を好きって気持ちは、絶対誰にも負けへんからっ! だから俺と…。俺と、付き合って下さい…!!」




『…っ、うんっ、、。はいっ、お願いします!』








やっと。




やっとの思いで伝えることの出来た想いを、お互い確かめ合うように。




これでもかってぐらい、ぎゅーっと抱き締め合って…






「絶対誰にもあなたの事、譲ったりなんかせえへんからっ。だから、これから先も。ずっと一緒に居ってな?」




『…ふふっ、笑 うんっ!』








…なんて。




幸せやなっ、…って。




そう2人で笑い合いながら。





俺たちは、甘い甘いキスをした。
















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