第168話

夢の中迄(アルハイゼン)
4,615
2023/02/11 12:54
目の前の光景に危うく花を落としそうになった



私は止まった足と呼吸を静かに動かして

花瓶の中に花を刺す
あなた

…、

同居人は午後の陽射しに照らされている



持っている本の上


誰か来たら起こしてくれという文字
あなた

…ねぇ

私が驚いたのは彼が寝ている事ではなく



その横に置かれた大量の包み
あなた

アルハイゼン

アルハイゼン
……、ん
今日は彼の誕生日


だからプレゼントを貰うのはおかしくない
あなた

座れないからこれ退けて

でもその量が異常だ


バレンタインも近いし

それも混ざってるとはいえ多すぎる
アルハイゼン
すまない
小さな声で言えば、寝ぼけ眼で私を見て

言った通りに荷物を退かしてくれて
アルハイゼン
座ってくれ
あなた

ありがとう

そうやって自分の隣に座らせてくれた
あなた

その荷物開けないの?

アルハイゼン
今必要なものは無い
あなた

お菓子があった

アルハイゼン
君が欲しいなら食べてくれ
彼はまた眠るつもりなのか、肘掛けで頬杖をつく


先程目に入ったお菓子はどうやら璃月のもので

私はありがたく頂くことにする
アルハイゼン
それはクラクサナリデビ様から頂いた物だ
あなた

ハスの花パイ…?だっけ

アルハイゼン
海灯祭とやらの土産らしい
ふーん、なんて生返事を返して口に運ぶ


サクサクとした食感と甘い香りが心地良い
アルハイゼン
…俺の分も残しておいてくれ
あなた

わかってる

アルハイゼンとこうして

他愛のない会話ができるようになったのはここ最近の話




遠慮も気遣いも無く、ただ妙な緊張感が

私の中に張り詰めている
あなた

そういえば、カーヴェは?

アルハイゼン
俺に合う酒を買ってくると言って出て行った
あなた

いつの話…

アルハイゼン
3時間前だ
カーヴェはきっと、試飲などと勧められて

ベロベロに酔って帰ってくるに違いない



美味しい酒が飲めるなら別にいいけど
アルハイゼン
……少し、休んでいいか
あなた

あぁ…邪魔してごめん

いつの間にか彼の瞳は長いまつ毛に隠されている



私は口を紡いで静かに花を見つめた






夢を見るくらいなら

ずっと──だけを見ていてほしい







アルハイゼン
…、あなた
あなた

は、ぇ

どれくらいの時間が経っていたのだろう


窓の外はもう暗く、暖かい日差しは消えている
あなた

いつの間に…

アルハイゼン
俺が寝始めたのは2時間前だ
彼の時間を元に軽く見積もれば1時間半


肩に残った温度が明らかに彼のもので困惑した
あなた

ごめん私、肩借りちゃった

アルハイゼン
問題ない
彼は隣で背中を伸ばす


ページが進んでいる本と食べてあるパイが

先に起きていたことを表している
あなた

ねぇアルハイゼン

アルハイゼン
なんだ?
あなた

私が寝てる時なにか言った?

なんとなく気になったこと


夢かもしれないけど、私に囁いた声は
アルハイゼン
…気のせいだろう
怪訝そうに眉を顰める彼では無いらしい
あなた

そう、ごめん

私は少し傾いた花を直して立ち上がる



カーヴェはまだ帰っていないのか

夕飯の支度も急がないと
アルハイゼン
あなた
あなた

ん?

アルハイゼン
…今からティナリとセノも来るらしい
あなた

それ、早めに言ってくれない…?

アルハイゼン
すまない
私が嫌そうな顔をして返事をすれば彼は目を逸らす



それに少し笑う私は

もう彼のことが好きなのかもしれない
あなた

急いで準備しよ

アルハイゼン
俺もやるのか?
あなた

1人とか無理、手伝って

アルハイゼン
…わかった
ため息を吐きながらも嬉しそうな彼


この気持ちはまだ暫くしまいこんで



今を楽しもう、なんて思った










ーーーーー

どうも、お茶です🍵

アルハイゼンおめでとう
忘れていたわけじゃないの、思いつかなかっただけなの。それもダメか。
お茶の第2の相棒として活躍してくれてるアルハイゼン
これからもよろしくね

🍵お粗末さまでした🍵

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