ﾋﾟｯﾋﾟｯﾋﾟｯ

ｼｬｰｰ

容体はあまり悪くないのに

ウィーン

確かに今日はテスト週間明けの祝日で、学校は休みだが

今日は久々の豪雨だ

長靴で来ないと中に水が入ってしまうくらい

しかも、水影さんの靴はスニーカーで、泥で汚れており、よほど急いで来たのが読み取れる

視点チェンジ

大好きなのに、お見舞いにも来ずに合わせる顔が無いよ…

ｶﾞﾗﾗﾗ

煌哉はビジネスカップルYouTuberをやっている

お互いの利益の為に誕生したカップル

恋をしたりは契約書に禁止と書かれており、自分の意思で判を押してもらう

キスなどはもってのほかだ

その相手が美弥こと、みりぃ。

何度か殴られ、『好意が無いとて、カップルなんだから！こーくんに近付かないでよね！この事話したら、慰謝料と出演料。あんたからたぁっぷり搾り取ってやるから！』などと、理不尽な罵詈雑言を浴びせられた事もしばしば。

ずぅっと我慢してきたけど。よっぽどな事がない限りは加害者にならないようにしてきたけど。

私の目の前には、帯を軽く解かれた煌哉と、包丁を持った下着姿のみりぃちゃんしか見えない

すぅっと頭の中が真っ暗になるのを感じた

これはなんなんだろう？

今はみりぃちゃんを止めなきゃ。

ああ、でも色んな事が混ざって何も分からない

『思考放棄』

そんな甘い言葉がﾁﾗﾁﾗと頭をよぎった

耳にも蜜のようにあま~い声が囁いてくる

〝もういいじゃん。あなたは頑張ったって〟

そんな聞き慣れた声がやんわりと耳の奥まで届く

反対の耳からもキンキンする声が脳内いっぱいに溢れてくる

《加害者になったら、もう二度と会えないかもしれないんだよ？》

そんな忠告が、私の馬鹿げた考えを遮った

正直完全に正気の沙汰ではない。

今の私は確実に狂っている

分かっていても、反論してしまう

だって、誰よりも

『煌哉の事が好きだから、』