気づいたら夜の1時を過ぎていた。
こんなにも初めて出会った人と話が途切れず話せた事は"久しぶり"かもしれない。
中学生でもこんな時間に外にいたら流石に家まで送ってあげた方がいいよな。
いや、そもそもこんな時間に出歩いていても親は心配しないのだろうか。
……本当かな?
話している時間楽しかったな。
そう思いながら宙に手を振った。
突然、宙が僕を引き止める。
もう、僕に用なんて無いはずだ。
たった数時間話しただけの仲。
それだけの関係なのに何故かまた宙と話せると思うととても嬉しかった。
ぎこちなかったけど宙ににっこりと笑ってみせた。
バイバイと2人手を振ってサヨナラを交わす。
君がきらめく星達のせいで髪や目が青く染まっているように見えた。
宙からは、僕は眩しく光る月の色で全身が染まっているように見えているだろう。
宙と話す事が待ち遠しい。
また鈍い金属の音を奏でながら階段を降りていく。
廃ビルの上から見る東京の景色といつもの視点から見る東京はなんだか違う気がして。
何となく、歩いていたら家に着いていた。
今までだったら、鍵を開けて乱暴にバックを置いてベットに飛び込んでいた。
だけど今はやりたい事があるから。
急いで作業用のパソコンを開いてログインする。
書き途中の作品のキャラクターの設定のページを開いて、主人公の名前を涼風 宙に。
サブ主人公の名前を佐藤 黒斗に変更してEnterキーを押した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。