第16話

15話
715
2021/07/24 12:43
佐藤 黒斗
宙まだかな……
ここは○○駅の前。

約束の時間から5分が過ぎた。
涼風 宙
ごめん〜
遅れちゃった!
タッタッタッと宙が走ってくる。
佐藤 黒斗
全然大丈夫だよ。
それより今日はどこに行く?
そう言って僕は周りを見渡す。

正面にはショッピングモール、ちょっと離れた所には遊園地、後ろには水族館。

どこに行っても楽しそうだな。
涼風 宙
暑いし、涼むためにも水族館とかどう?
8月の中旬、しかも10時頃だから凄く蒸し暑い。

確かに水族館だと涼めるし良いかもしれない。
佐藤 黒斗
じゃあ水族館行こっか。
そう言って僕と宙は水族館の方に足を向けて歩き出す。
涼風 宙
黒斗、すっごい観光客の数だね〜
こんなにも楽しめる設備が整っている町だから当たり前かもしれないけど、思っていた以上の人の数。

ちょっと目を離した隙に宙とはぐれてしまいそうだ。
佐藤 黒斗
あっ。
水族館見えてきたよ。
大きくてちょっといびつな形をした建物。

しかも魚が外から見えるように壁ががガラス張りになっている。
涼風 宙
すっごい綺麗〜!
涼風 宙
ねぇっ!はやく水族館入ろーよ!
そう言って宙が僕の手を引いて入場ゲートへと向かう。

こうして話しているとまるで宙が弟みたいに思えてしまう。
佐藤 黒斗
僕が奢るよ。
僕はバックから財布を取り出す。

一様僕の方が年上だし、こういうのは奢った方が良いよな。
涼風 宙
いや、僕は自分で払うから大丈夫だって!
宙は素早く財布からお金を取り出した。
佐藤 黒斗
宙がそういうなら……
僕はちょっと残念な気持ちで自分用のお金を出して財布をしまった。
水族館スタッフ
何名様ですか〜!
店員さんが僕達ににっこりと笑いかける。

作り笑顔だったとしてもやっぱりこうやって誰かが笑っている所を見ると自分も嬉しくなる。
佐藤 黒斗
高校生1名、中学生1名です。
笑い返せるような人間じゃないからこういうの慣れないんだよな。

どうやって返事したらいいのか分からないし。

笑ってくれたら笑い返せるような人間に僕もなりたいな。
水族館スタッフ
ではお値段2750円です。
まぁ、妥当だとうの値段だな。

僕と宙は財布から1000円札と小銭を取り出してトレーに置いた。
水族館スタッフ
ありがとうございます〜
それでは行ってらっしゃいませ!
ニコニコ笑いながら僕と宙に手を振ってくれた。
涼風 宙
行ってきます〜
宙はスタッフの人に笑顔を向ける。

……僕もこんな感じだったら良かったのかな。
涼風 宙
黒斗!
水族館楽しみだね〜
佐藤 黒斗
うん。
素っ気ない返事しか出来ずに僕は入口の方に足を進める。

僕と宙は、棚に並べられているパンフレットを取って水族館の入口に入った。

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