目を開くと真っ白い壁が目に入ってくる。
多分、帰って来てからすぐに寝てしまったみたいだ。
残っているのは昨日とは違う小説のキャラ設定の画面。
僕は小さな5歳ぐらいの男の子と一緒にいて、いっぱい話して、いっぱい笑いあっている夢。
その男の子はそらがキラッキラに笑っているみたいな笑顔で僕を導いてくれるんだ。
まるでその子は僕の理想そのものみたいで。
自分でもなんでこんな夢見ているか分からない。
でも、現実より夢の方が幸せだったな。
なんて思ってしまった。
宙だって小説面白いって言ってくれたんだから。
はやめに小説の指定の場所まで書き終わらないと。
それに、どうせなら楽しんで読んでもらえる人に読んで欲しい。
これはちょっとした願い。
寝間着からいつもの服に着替えて朝ごはんのしたくをする。
ご飯を作っている時も、ずっとこんな感じで小説の事ばかり考えてしまう。
それが小説家としては一般的なのかは分からないけど。
白いお皿にトーストと出来上がったばっかりの卵焼きをのっけた。
一人暮らしだからご飯は全部一人で作っている。
家事は出来る男子だったし別にご飯ぐらいで困る事は無いけれど。
パチンッと手を合わせた。
そして、黙々とご飯を食べる。
ほんの少しだけど、いつもより美味しい気がする。
次からはこの甘さで卵焼き作ろ。
なんて事をボソボソと口にしながら食べる。
手を合わせてそう言った。
すぐさま食器を持ってキッチンの方に向かう。
スポンジに泡をつけてお皿を洗う。
洗い終わったら食洗機に入れてスイッチを押した。
ググッと背伸びをして作業部屋に向かう。
作業部屋は主に大きなテーブルにパソコンが3つ並んでて、座るようの椅子が1つ、部屋の隅っこに観葉植物が置いてある。
ガタンと音を出しながら椅子に座った。
パソコンをつけて書き途中の小説の画面を開く。
何かいいアイディアが思いついた訳では無いけれどただひたすらキーボードを叩き続けた。
窓の外を見ればもう夕焼け空。
僕は、専属の編集者の人に出来上がった小説を送った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。