流星side
バァァーーーーーーンッ!!!
ピーーーッ
僕がボールを打つと会場中に響き渡る歓声。
そして今は…Aブロックのトーナメント戦。
これに勝てば準々決勝出場を決める事ができる。
そのために…僕は今日もコート上を飛んで舞って…天使となる。
だって今度こそ、あなたと一緒に戦いたいから。
僕の魔法使いさんと。
…。
僕がバレーを始めたきっかけは、小学生の時に出会った魔法使いさんに憧れた事。
魔法使いさんと一緒に試合がしたい。その一心でここまで来た。
だが…もう魔法使いさんなんて、存在しなかった。なぜなら“魔法使い”から“悪魔”へと姿を変えてしまっていたから。
大阪難波学園3年背番号4。
西畑大吾。
この人が僕の憧れの魔法使いさんだった。
けれど…。
今は冷徹で蔑むような目。
あの笑顔は消えて…明るかった面影もない。
プレイの姿勢や攻撃方法から
僕は“コートの天使”
西畑さんは“軟打の悪魔”
関西のバレーボール界では、そう呼ばれている。
そのため2人が揃うと“天使と悪魔の戦い”と注目を集めるのだった。
この前も練習試合でかなりの人を集めたが…
僕が体調不良のため、コート上で倒れてしまった。体調管理を怠った結果…そのまま選手交代。
せっかく難波学園の“悪魔”西畑さんと戦えるチャンスだったのに。
僕のせいで。
白熱の戦いの末、難波学園が勝利を収めたが、
僕らの戦いは…決勝戦まで持ち越しとなってしまった。
お互い負けずに勝ち進んで、決勝戦でまた会う約束をして。
だからどうしても…勝たなきゃいけないんだ。
そして…
西畑さんを“悪魔”から笑顔で明るい“魔法使い”さんに戻すために。
そしてAブロックのトーナメント戦も次の試合を勝てばストレート勝ち。準々決勝出場が決まる。
だから…今日も僕は本気で挑む。
この2人は僕の同級生。
謙杜とみっちー。
謙杜は田舎の中学から来たらしく、バレーボールではなくてよく浜辺でビーチバレーをしていたみたい。
だからコート上でのバレーボールは初めてと言っていた。
みっちーは中学からバレーを始めて、持ち前の高身長でミドルブロッカーとして活躍している。低身長の僕から見れば羨ましい限りだった。
まだ2人はレギュラー入りはしてないものの、同じ一年生の中ではかなりの腕前。
だから来年は一緒にレギュラー入りしよう!と約束をしていた。
このよく僕らの試合を見にくる人は
スポーツ用品店で働く店主藤原さん。
夜遅くまで開いているため、僕らは部活終わりに立ち寄る事が多い。
必要な物品はもちろん軽食なども売っているため…いつのまにか溜まり場となっていた。
そんな藤原さんは大阪難波学園の卒業生で元バレー部。
だから、昔の西畑さんのこともよく知っていた。
僕も正直驚いたが…それよりもびっくりしたのは、書かれた記事の内容だった。
……
“天使と悪魔の戦い持ち越しへ”
…西宮は“コートの天使”不在で片羽を失った中、同じ強豪難波学園と戦う。お互い接戦を繰り広げたが、白星を挙げたのは王者難波学園。
羽がない西宮を悪魔難波が襲い掛かり…なんともハンデがありすぎる中での勝ち星となった。
この戦いを決勝で見る事ができるのか…
……
こんな書かれ方…僕だって嫌だよ。
僕らは真剣に試合をしているのに。
気を抜いて戦う暇なんてないのに。
お互いが必死に勝つために、努力してるのに。
そんな試合を…ハンデをもらったから勝てたなんて。
西畑さん…嫌な気分にならないといいなぁ。
とにかく今は試合に集中!!
僕の目標を叶えるために。
大吾side
俺らが見ていたのは、某スポーツ雑誌。
先日行われた西宮VS難波学園の練習試合の記事が載っていると聞いてページを開いたが…
まさかこんな事が書かれているとは。
呆れてものが言えない。
こちらがどんなに汗を流して必死に試合をしても、全ては結果。
プレイをする姿や戦略、攻撃方法なんて…一般の人にとってはどうでもいい事。
その事がはっきりとわかるように書かれていた。
ハンデをもらって難波学園が勝てただと…?
ふざけるな。
ハンデなんてもらった記憶はさらさらない。
むしろ、あの“天使”がいた事で、試合の風向きがどう変わったのかさえ分からないのだから。
俺のいちばんの心残りは
“コートの天使”と戦えなかった事。
俺は軟打撃を打ち込む姿勢とその冷徹な表情から“軟打の悪魔”と呼ばれるようになった。
昔は楽しかったバレーも、全ては結果なのだと分かってからは、勝ちにこだわるようになってしまい…
笑顔で試合なんてできなくなった。
勝たなきゃダメなんよ。
そんな時に現れたのが
西宮高校1年背番号4番
大西流星
通称“コートの天使”
悪魔の前に現れた天使の存在。
普段は自信がない顔をしているのに。
コートの上に立つと…
表情や姿勢が一気に変わっていく。
天使のように飛んで舞い上がるプレイ。
明るい笑顔と勝ちに来る真剣な表情。
その全てが俺を腹立たせた。
まるで天使が悪魔を浄化させるかのように。
同じエース4番を背負う身として負けられない。
あんな奴がエースなんて認めたくない。
…決着をつけるためにも
俺はこいつと決勝戦で必ず戦う。
だから…だからっ…!!!
こんな俺をいつも宥めてくれるのは、チームのキャプテン大橋和也。俺ははっすんと呼んでいる。
同じ学年クラスで部活動も3年間一緒に過ごしてきた仲だった。
はっすんには、俺にはないパワーと持ち前の明るさでチーム全体をまとめてくれる。
そしてサーブの威力は類をみないほどで…
正直物を破壊するレベルの強さだった。
…
俺らに情報を教えてくれるのは
2年のマネージャー高橋恭平。
相変わらず情報収集力はすごいもので…
相手高の情報も全てお見通し。
頭もキレる頭脳派で新しいフォーメーションも直ぐに思いつく。
ピーーーーッ!!!!!
西宮高校と難波学園。
お互いが準々決勝へと進む事ができた。
このままいけば、準決勝、決勝…と。
最後の戦いで顔を合わせることになる。
それまで俺は…悪魔として羽を磨く。
天使なんて…そんな平和の象徴なんて必要ない。勝ち負け、それが全てや。
最後の大会。何としてでも勝ちに行くからな。
まってろよ。
“コートの天使”
始まりました!
よろしくお願いします🙇♀️
登場人物の説明やパラメーターは
また別で載せていきます〜
🏐🪽🪶











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。