第6話

4 天使を囲む集団
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2024/11/10 11:00 更新
流星side
謙杜
流星くん!早くっ!始まっちゃうって!
流星
はあっ、はあっ。

待って!!

今日は高校バレー全国大会の準々決勝。
僕らの試合を明日に控えて、今日は大阪難波学園の試合が行われる。

その試合を見に、午前中だけ
謙杜とみっちーと会場へと来ていた。

合宿が終わって2週間後、久々に西畑さんのプレイが見れると思うと、ワクワクが止まらない僕。
会場周辺はすごい人で賑わいを見せており、この人だかりで少し試合が遅れているみたいだった。
謙杜
…なんや、30分押してるのか。
道枝
これなら明日のうちの学校も遅れそうだね。
人がすごすぎる…。
道枝
…って、流星くん?!
どこ?




ザワザワ…
流星
あ、あれ?
みっちー!謙杜っ!

…逸れちゃった?みたい。

周りを見渡しても、知らない人ばかり。
試合はまだ始まらなそうだから
どこか人混みを避けて、連絡を取らないとっ。

そう思ってスマホを取り出すと…


バッ


誰かにスマホを取られてしまった。


えっ、なに、泥棒さん!?
そう思って上を見上げると…

九州高校
久しぶりだなっ。

この人たち…あの合宿で戦った、九州高校の人達だっ。

僕と西畑さんが2人で戦って…勝ったとはいえど、
今は1人だし…。

あんまり関わりたくない…。
九州高校
しずかにしろ。
ちょっと顔貸せ。
流星
えっ。
やめてっ。離してよっ!!
んっ…ぐっ。
九州高校の生徒数人が僕を取り囲み…
人混みに紛れて、僕はそのまま会場とは離れた場所へと
連れて行かれてしまった。

力も強くてビクともしないし、
口を押さえられて助けも呼べない。


そして、狭い空き地のような所へと投げ飛ばされる。


どさっ…!!


九州高校
俺らさっき試合終わったんだよ。
見事に負けたけどな笑
流星
だったら早く帰ったら良いじゃん!
僕に何の用が…
九州高校
…だからもう何をやっても良いってわけ。
大会終わったんだから、こっちのもんなんだよ。
この前の、恨み。覚悟しろよ。

う、恨みって…
そっちが先に謙杜を捕まえて喧嘩を仕掛けてきたんじゃないかっ!ズルすぎるっ!!


流星
意味わからないからっ!!
僕、西畑さんの試合見たいからもう行くね!
さよならっ!

そう思って立ち上がると
九州高校の生徒達は大きく腕を振りかぶって
思い切りボールを僕に向けて投げつけてきた。
流星
…っ!?

バァァァァァァンッッッ!!!!!


咄嗟にギリギリで避けられたけれど…
こんな球が当たったらもう、明日使い物になんてならない…。
九州高校
逃げられないって言ってんだろ?
怪我したくなければ取れよっ!!

バァァァァァァンッッッ!!!

えっ、そんなっ。
っ…!!!


バァァァァァァンッッッ!!!


あ“っ…!!!



…バァァァァァァンッッッッッ!!!!
流星
ゔっあ“っ…!!

相手は笑いながら数人で僕にボールを打ち込んでくる。僕はそれを必死に受け取るだけ。

次々とボールを受けるけれど力が強すぎで…
もう、ボール…取れないって!!!
ど、どうしようっ。こんな所に誰も助けにはきてくれないしっ。

そう思った瞬間、2方向から同時にボールが向かってくる。

流星
えっ、!?無、無理だって!!!
九州高校
ざまあみろっ!

もうダメだっ…身体が壊れるっ!!!
頭を守ってしゃがみ込む僕。
明日の試合も…もう…っ。

そう思った時。


バァァァァァアアアアンッッッ!!!!!


僕じゃない誰かが、強力なボールを跳ね返してくれたのだった。
身体は痛くないし、どこも怪我してない。

流星
えっ…助かった…?


そう思って顔を上げると
目の前に立っていたのは、知らない3人の男の人たち。
僕よりも大きくて、大人だと思うけれど…誰だろう。
そして、ボールを跳ね返す威力も、九州高校の人たちよりもかなり強力だった。

小瀧
なんや、こんな可愛い子を大人数でいじめて楽しいか?
可哀想に。
桐山
そっちがその気なら、俺らで相手するけど。
どーすんのや?あぁ?

目の前の人たちは…バレー部?
いや、でもスエットにかなりラフな格好。
バレー部というよりは、地元の暴走族団みたい…。
逆にこっちの人たちの方が数倍怖く見えてくる。

そんな圧力しかない様子を見て、九州高の人たちも後退りを始めだした。
九州高校
いや…そんな事は。
元はと言えばコイツか。
流星
ぼ、僕なにもしてないって!
小瀧
…ったく。こんな小さい子いじめて。
重岡
“おかみ”呼ばれると厄介やからな。
俺らがやってやるしかないか…。

そう謎の男性達が殴りかかろうとすると…
九州高校の人たちは、すごい速さでその場をさっていったのだった。




一体何だったんだろう。


…。
取り残されたのは僕と3人の男性。
あっ、この人たちにお礼を言わないと!
流星
あ、あのっ!
ありがとう…ございました。
小瀧
ん?あっええねん、ええねん!
アイツらが悪いんやし。
それに!未来のバレー選手を潰させるわけにはいかんからな。

そう言ってニコッと僕に向けて笑顔を見せてくれた。頭に手を置いて…わしゃわしゃと髪を撫でてくれる。

よかった、この人たち…悪い人たちじゃないみたい。すごく明るくて、親しみやすいっ。
この人たちもバレーやるのかな。

色々聞きたかったけど、
こうしてる場合にも試合が始まっちゃう!
流星
ご、ごめんなさいっ!
僕…難波学園の試合を見なきゃで…。

するとお兄さん達も驚いた顔をする。
小瀧
難波?あっ、難波学園?君も見るのか!
俺らも行こうとしてたんよ。
でも道に迷ってな笑
桐山
よかったら…案内してもらえたりする?
流星
はいっ!助けてもらったので!
案内させてくださいっ!

そう言うと、お兄さん達は僕と一緒に会場へと歩いていったのだった。
向かう間にも沢山話をしてくれる。
助けてくれたのは、小瀧さん、桐山さん、重岡さん。お兄さん達は7人組でバレーをしているらしい。ここには3人しかいないけれど、あと4人仲間がいるって。

小瀧さんはブロッカー、重岡さんと桐山さんは僕と同じスパイカーだった。
きっと実業団とか、市のバレーチームとかかな。スエットに派手な服装、怖そうな金属アクセサリーなど…どう見ても高校生には見えないから。

でも、僕を見つめる目はすごく優しくて。
次第には僕も心を開いていったのだった。
小瀧
名前なんていうん?
流星
大西っていいます!
大西流星!
桐山
…なら、おおにっちゃんやな。
うちにも流星いるんよ。
ほんまに可愛いなぁ。

わしゃわしゃ…っ
重岡
お前、可愛いからって舐められるだろ?
ちゃんとこれからも自主トレするんやぞ?
なんかあったら俺らを呼べ。
流星
はーいっ!

3人はすごく僕を可愛がってくれて
こんな素敵な出会いもあるんだなぁって嬉しくなっちゃった。

会場に入り、お兄さん達について行くと…

“こっちこっち!!”

とお兄さんの友達らしき人4人が待っていてくれた。他の4人もちょっと怖そう。
僕も謙杜とみっちーと逸れちゃったし、この人混みで電波も悪く連絡もさっきから付かないし。
小瀧
どうや?俺らと見るか?
流星
えっ、良いんですか!

そう誘われて…お兄さん達と試合を見ることとなった。

試合が始まるまで、残りのお兄さん達も自己紹介をしてくれた。
僕と同じ名前の藤原さんはブロッカー。
少し背の低い神山さんはリベロ。
優しそうな濵田さんはセッター。
そして自称ブレイン(司令塔)の中間さん。

すごく面白い人たちだった。
そうしていると…コートに選手が入って来る。

遠目だけれど、あの姿は
流星
あっ、西畑さん!!

今日もすごく怖い顔をしてる。
でも、僕たちあれだけ合宿で練習したんだから、きっと大丈夫なはず!

そう思って、邪魔にならない程度に声をかけて応援することにした。
流星
西畑さーん!頑張ってー!
大吾
!!??!(ぎっ…!!)
大橋
大西くんやん!
おーーいっ!!

ふふっ。気づいてくれたっ。

照れてるのかな?笑
僕ここで見てるからねっ!
小瀧
…。なんや、おおにっちゃん。
難波の生徒と知り合いか?
流星
えっ、うん。そうだよ。
知り合いというか…それよりも仲が良い感じかな。
試合もよく見てるし、戦ったことも…。
桐山
ふーん。ちょっと兄ちゃん達よく分からんから、難波について教えてくれへんか?

難波学園のこと知らないのかな?
結構有名だけど。
なら、知ってた方が試合も楽しめるよね。
流星
いいよ!教えてあげる!

そう言って僕は西畑さんの軟打撃プレイのことや、大橋さんのパワーの事、高橋さんの頭脳がすごい事など、沢山沢山教えてあげた。
西畑さんの軟打撃について語ったら、つい止まらなくなっちゃう僕。だって凄い勢いなのに、あまり力を入れずに攻撃を打つ。そして狙ったところに必ず落とす。
あのプレイをできるのは、西畑さんだけ。

お兄さん達は、そうなのか!、すごいなぁ〜!と沢山反応してくれるから、僕も嬉しくなっていろんなことをお話ししちゃった。

そんな話もしつつ、応援もして…
気がつくと難波学園のストレート勝ちで試合が終わっていたのだった。

嬉しくなった僕は、また西畑さんに声をかける。
流星
西畑さーんっ!!
お疲れ様でしたーっ!

僕も頑張りまーすっ!
大吾
ビクッ…!!
(し、静かにしやがれっ!)

…?
大吾
(えっ、何でアイツ…あんな奴らと…!?)

今日の試合、すごく楽しかったなぁ。
お兄さん達と沢山お話しできたし!

…でも、あんまり僕のこと話せなかったなぁ。
ちゃんと自己紹介もしてないのに。
そういや高校名も伝えてなかった。
流星
今日はいきなり助けてもらって、
すみませんでした。それに一緒に観戦まで…。
僕まだちゃんと自己紹介が…
小瀧
ええんよ!俺らも色々説明聞いて
すごく勉強になったわ!!
またすぐ会えるって。

勉強なんて…。僕が一方的に話しただけで
そんなことないのにっ!
重岡
良かったら…またお話しせーへんか?
おおにっちゃん、可愛いし。
ほれ、これ連絡先!
流星
あ、ありがとうございますっ!

そう言って連絡先を交換して
今日はこれで!と挨拶をして別れることに。
お兄さん達は僕が見えなくなるまで、大きく手を振って見送ってくれたのだった。










小瀧
今日は収穫がいっぱいあったなぁ。
おおにっちゃんのお陰で、
難波の情報をかなり手に入れられたわ。
桐山
ほんまにええ子や。
あの子はこれからも仲良くしてあげようや。

…。
重岡
…ま。これで、準決勝も行けるんちゃう?
悪魔の倒し方も分かった事だし。
小瀧
あの“天使”ちゃんは。
これからも俺らのお姫様という事で。
守ってあげないとな。

…西宮。良い子を入れたなぁ。







西畑side


なんで、あの天使がアイツらと一緒に試合を見てるんや?!

あの…高槻第二高校とっ!


あのバレー部はあまり良い噂を聞かない。
かなり治安の悪い学校で、関西では底辺校扱いされてるくらいや。
警察沙汰も数えられないくらい起こしている。


その中の高校三年生7人で構成されるバレー部。
近づいたら、まず喧嘩で消されて、目をつけられた者は表を歩けなくされるという…絶対に関わってはいけない奴ら。

そして運が悪いことに、俺らの準決勝の相手。

天使の事だから
もしかして…また変に首を突っ込んだのか?!
それが心配で心配で…。
俺は試合が終わるとすぐに天使のを探し始めたのだった。

探して数分、ニコニコとロビーに降りて来るアイツを見つける。
大吾
おいっ!天使っ!!
流星
あっ!西畑さん!
お疲れ様ですっ!

そんな笑ってる場合ちゃうねん!!
大吾
お前…さっき一緒にいた奴ら…
流星
あっ、小瀧さん達ですか?
すごく良い人で!僕のことを守ってくれて。
試合も一緒に見たんです!
流星
西畑さん達のことも教えてくれって言われたから…。沢山解説しながら観戦してたんですよ!


…やっぱりコイツ何も分かってないんやな。
大吾
アイツら…高槻第二高校の生徒やぞ?
何もされなかったのか?

…目を丸くする天使。

はぁ。まったくお前は。
流星
高槻第二…?
えっ!高校生なんですか!
あんなに大人なのに!?
大吾
それに…俺らの準決勝の相手や。
偵察目的で試合観戦してたんやろ。
そんなことも知らずに、お前は…
大吾
俺らのことも話したのか。

まあ、話したからって警戒する事もないだろうけど。

なんせ去年もアイツらと戦って。
ストレートとはならなかったが、まあ勝つことができた。

でも今年はお互いが3年生。

アイツらも俺らに恨みがあるだろう。
手を抜く暇は…ない。
流星
えっ…そ、それなのに。
僕難波学園のこと沢山話しちゃった…。

ごめんなさい…。
大吾
まあ、言ったからって何も変わらへんよ。
とにかく…アイツらには気をつけろ。
いいな?


流星side


僕は“気をつけろ”と忠告を受けて…
西畑さんはチームへと戻っていった。


そんな…あの人たち、高校生だったなんて。

そして難波学園の準決勝の相手。



もしかして、僕から情報を盗むためにあんなに仲良くしてくれたの?
…でも、そんな事あの人たちが狙って声をかけるとは思えないし。

…。
謙杜
あっ!!いたーーっ!
道枝
流星くんっ!!
どこいたの!?


僕はやっと謙杜とみっちーと合流できて、そのまま学校へと戻っていった。

僕だって明日、準々決勝があるんだから、人のことなんて心配していられない…。そうなんだけど。

午後の練習はどこかあの学校のことが
離れなかった。



もしかして、明日の試合でも会えるかな。

高槻第二の人達に。

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