第4話

2 偶然の夏合宿
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2024/10/26 13:15 更新


【西宮高校】


流星side
流星
えっ…合宿…ですか?
監督
そうや。毎年恒例の夏合宿を行なう。

季節は夏になり、高校も夏休みに突入していた。夏休み中はやはり部活三昧。来月行われる準々決勝にむけて…朝から晩までコートに立って練習に励んでいたのだった。

そんな時に監督から集合をかけられて、告げられた合宿の開催。

中学校では合宿というものを経験してこなかったため、初めての部活の合宿に少しドキドキする気持ちもあった。
監督
特に一年生。今回が初めての合宿になる。
マネージャーや先輩からきちんと話を聞いて、準備する事。
監督
参加はレギュラーメンバーは全員参加。
その他の部員も、今後レギュラーを目指すのなら参加を薦めておく。


合宿…。
流星
なんか、夏って感じだね。(わくわく)
謙杜
ついに来たなぁ…。地獄の夏合宿。
流星くんさ、凄く嬉しそうじゃん。
流星
えっ、朝から晩までバレーできるんだよ?
嬉しく無いの?
謙杜
…。
道枝
さすがだね笑
でも西宮の夏合宿は結構キツイって有名だよ?
流星
そうなの?
ならなおさら上手くなるじゃん!
楽しみーっ!


みんなは大変、大変って言うけど…。
“大変”って言う漢字は“大きく変わる”って意味だから、きっと僕も今以上の自分に変われるはず。

その自分に出会える事が…

凄く楽しみでもあった。






【大阪難波】




大吾side
恭平
おーっと。あれやなぁ…
大橋
どうしたん?何か悩んでる?
恭平
いや、今度の夏合宿場所の予約を確認してたんですけど。かなり混んでて、コートの取り合いなんですよね。
恭平
宿舎も希望が通らずに、第三希望の大部屋で雑魚寝になりそうです。
大吾
そんなん、朝から晩までバレーするだけなんやから。コート以外の場所でも練習できるやろ。
寝るのも外だってええわけやし。
大橋
(…さすがスポーツ脳や笑)

夏恒例の合宿が始まろうとしていた。
俺ら3年生にとっては3度目の合宿であり、最後の合宿でもある。
高校生の合宿と言うとどこか“夏の思い出”を作るというイメージがあると思うが…
そんなものいらない。

寝て起きてバレーをして、己の技量を磨く。
この環境があればいい。
来月の準々決勝に向けての準備なんやから…そんな楽しい事やってる暇なんてないんよ。
大吾
はっすんは合宿のタイムスケジュール組めたのか?
大橋
おう!大ちゃんのお望み通り、かなり練習時間を追加して…

特により一層、今年は妥協は一切許さない。

まあ、俺の前に現れたあの一年が
その原因となっているのだが。



この合宿で磨いて磨いて…驚かせてやる。







大西side


あれから僕らは合宿に向けていろいろ準備をして。あっという間に当日を迎える。

場所は山奥にある関西スポーツ生涯学習センター内。
この時期は複数学校がこの施設を使うらしく、今日も僕らの他にも様々な高校、部活が合宿へと訪れていた。



ブロロロロロ…


…。

謙杜
つ、ついたーっ!!
山奥!もう逃げ場もない!泣
道枝
ここで2泊3日…バレー三昧か。
流星
もう楽しみで昨日早く寝ちゃった!
とりあえず、荷物置いて監督のところに集まらないとだね。
謙杜
ここで流星くんとは夜までお別れや…、
お互い頑張ろうな。
流星
うん!!
お互い頑張ろ!

タイムスケジュールも事前に組まれていて、その時程に沿って僕らの合宿は行われていく。
僕はレギュラー組はまずは敷地内を走ってウォーミングアップをし、その後Aコートでパスやスパイク、サーブのプレー練習。午後の最後は試合形式の練習。

それを全てこなして行く。
いつもなら時間に追われて行なう練習も、今日は夜まで気にせずにできる事がすごく嬉しかった。
流星
はああぁぁっ!!!

バァァァーーーーンッ!!!
先輩
いいサーブやん。合宿満喫してるな!
先輩
じゃ、流星。次俺の相手よろしく!
流星
はいっ!喜んでっ!!

そんな感じで…僕と先輩たちは休憩をとりつつも、思いっきり気の済むまで練習に取り組んで行った。本当に高校生の部活動って楽しいっ!


そして…あっという間に夕飯時。
道枝
流星くーん!こっちこっち!

レギュラー組は他の部員よりも遅れて夕食に合流する。

謙杜とみっちーは先に会場に着いていて、僕の夕飯も準備してくれていた。
流星
あっ!謙杜!みっちー!
お待たせっ!

えっ…謙杜大丈夫?
謙杜
あっ…お疲れ様…。
もう疲れすぎて…。
謙杜
流星くんは元気やなぁ。
流星
うん!すっごく楽しかった!
明日も朝から先輩たちと街まで走るんだ!
流星
ちょっと辛いけど…やっぱり自分が変われる気がして…。それが楽しい!
謙杜
はぁ…!!眩しっ!!

そんなことを話しながら夕飯を食べる僕たち。

その後のお風呂も、夜のミーティングも、寝る部屋も。同級生のみんなと一緒に過ごす僕。
普段は先輩とばかり一緒にいたから、同級生と一緒に過ごす時間が…すごくすごく楽しかった。

多分合宿って練習以外にも沢山いい意味があって。こう言う共同生活でしか分からない、みんなの良さにも気づけるし、そしてその良さを…プレイに繋げていける気がしたんだ。





次の日…


2日目の合宿が始まって行く。
朝食会場にて今日のタイムスケジュールが伝えられた。
監督
さ!じゃあ朝食を食べたらまずはウォーミングアップから。
レギュラー組は宿舎内でステップ練習。
その他の部員は街までランニング!
監督
…準備ができたものから開始!
謙杜
えええええっ…
街まで走るの!?
流星
僕…朝行ってきたけど、ざっと1時間あれば行って帰ってこれるよ?
道枝
それなら俺でも行けそう!
謙杜
(えぇ…無理やって…あっ、待てよ?)

…





プロロロロロ…




大橋
さ!着いたで?
関西スポーツ生涯学習センター!!
じゃあ、レギュラー組は集合!!


…







謙杜side



タッタッタッ…
謙杜
そんなこんな暑さの中街まで走ったら死んでしまうって!

高校のバレー部ってこんなに辛いのか?
俺、中学の時ビーチバレーしかやったことないから分からないって…。

確かにバレーは楽しいけれど…こんなにも体力のいるスポーツだなんて知らなかった。

俺はただ、早く楽しく試合がしたいだけなのに!
走ってばっかり!
謙杜
俺1人くらい、いなくてもバレへんやろ。

どうしても走るのが嫌な俺は…
宿舎の裏で壁打ちの自主練をする事にした。

そう思って体育館裏にバレぬよう一目散に走って行く。
謙杜
はぁっ…ここまで来たら…

すると




バァァンッ!


うわっ!!!



いきなり向こうからガタイの大きい人たちが俺にぶつかって来た。
あまりの強さに跳ね返されてしまう僕の体。
謙杜
いったぁ…。
九州高校
おい…ちび。誰にぶつかってんだよ。
中学生か?

!!??
謙杜
えっ…ええええっ…

大きい…大きすぎる…。とても高校生とは思えない…。
九州高校バレー部って書いてあるジャージを着てるし。
ここで合宿してる人達!?
謙杜
俺は高校生です…
ご、ごめんなさい!

そう逃げようとしたら…

ガッと腕を掴まれてしまった。
九州高校
逃げるんじゃねぇよ。
お前から喧嘩売って来たんだろ?
なら…かってやるよ。

け、喧嘩なんて売ってなしっ!!!
そっちから、ぶつかって来たのに!!


どどうしよう…。

誰か助けてっ…!!







流星side

朝食後、ウォーミングアップ前に昨日忘れたタオルを取りに体育館へ向かうと…
何やら騒がしい。

ガヤガヤしてる…。

喧嘩?


そう思って覗いてみると…
流星
えっ、謙杜!?

謙杜が大きな人たちに腕を掴まれて、囲まれて…何かされてしまう所だった。


と、とにかく助けないと!
流星
謙杜ーーっ!!
謙杜
えっ…流星くんっ!!!
た、助けてっ!!

こんな大きな人達…僕も少し怖いけど、そんなこと言ってられない。

謙杜を助けないと。

それにスポーツをする人たちなら、ちゃんと話をしたらわかってくれる…と思ったから。
九州高校
なんだお前。
友達か?
流星
そう!友達!
僕の友達が悪いことしたなら謝ります…。
ごめんなさい。だから離してあげて!

…

するとニヤニヤとする大きな人たち。

九州高校
まあ、謝られたなら…条件出してやる。
お前もバレーやるんだろ?
なら俺らと戦え。
流星
えっ…

なんで僕がバレーできるって分かるの?


あっ…

今日着てるTシャツ…
中学校のバレー部のやつだった…。

だからか。
九州高校
勝ったらこいつを許して、もう関わらない。
もし負けたら…
今日お前らの高校が使うコートを俺らが使わせてもらうから。

!?
そ、そんなの、ダメだって!
みんなに迷惑がかかるし…
練習メニューだって変わってしまう。


こんな大きな人たちとバレーなんて怖いけど…
…
でも、コートを賭けに出すなんて。

スポーツマンシップに反した、その考えが許せなかった。

ここは僕が戦わないと…解決しない。
流星
っ!!
いいよ。相手してあげる。

…さっきからニヤニヤしてる大きい人達。

何がそんなに面白いの?

流星
じゃあ、体育館に…

大吾
おい。待てよ。

卑怯じゃないか?


えっ
…!?






大吾side


合宿先について、午後から使うコートを下見しに来た時…
何やら奥から聞き覚えのある声がした。

…まさか…


そう陰から見てみると



はぁ。
やっぱり…

あの“天使”がいた。

まさかの合宿日と場所が重なったなんて。
どんな偶然やねん。


そしてあいつの目の前には体のデカいやつら。

なんや絡まれてるのか?


…
本当は関わりたくないのに、、
つい俺は気になって話を聞いてしまう。
流星
僕の友達が悪いことしたなら謝ります…。
ごめんなさい。
だから離してあげて!
九州高校
まあ、謝られたなら…条件出してやる。
お前もバレーやるんだろ?
なら俺らと戦え。


…おいおい、友達を庇うのか?

厄介やなぁ。
お前は、なんで関係ない事に首突っ込むんよ。


…そう言う仲間思いのところも
気に入らないんや。




…ん?待てよ。

お前1人で戦うのか?!

こんなデカい奴ら数人相手に
そんなの無理に決まってるやん!!


おい、まて!喧嘩を買うな!!!!


流星
いいよ。相手してあげる。




…。

友達とコートを賭けにかけられて
喧嘩を買った“天使”。


圧倒的に不利な状況に、お前は気づいていない。
その様子を見ていても腹が立っていたのだが。

それ以上にスポーツマンシップに反したあいつらの腐り切った態度が…

同じバレーボールをやる身として
俺は許せなかった。


我慢の限界で、俺から声をかける。



大吾
おい。待てよ。

卑怯じゃないか?





流星side


えっ…!!?

なんでここに西畑さんが…?


て言うか聞いてたの?
流星
西畑さん…なんでっ!
大吾
こいつ1人でお前ら全員と戦うのか?

卑怯すぎるだろ。
大吾
てか、お前もそれぐらい気づけよ。
流星
あっ…確かに…。
流星
で、でも!
こうでもしないとコート取られちゃうから!
九州高校
じゃあ、辞めるか?1人で戦うのを。
友達は1日俺らが可愛がってやるけど笑
謙杜
(…!!!)

…。


大吾
誰も1人って言ってないやん。

俺もその試合、参加させてくれ。

な、何言ってるの!?
流星
えっ…!?
で、でも西畑さんは関係ない…
大吾
いやちょうどウォーミングアップしたいと思ってたところや。
大吾
肩回しくらいにはなるやろ。
九州高校
なっ!?なんだお前っ!!
ナメやがって!!

…


…。
大吾
だから、俺とお前。
2人なら勝てるだろ?
大吾
手…抜くなよ。“天使”
流星
!!!!
はいっ!

コートと謙杜を取り戻すために…
まさかの西畑さんと2人でコートに立つ事になった。

決勝で会いましょう、なんて言ったのに。
一緒のチームで戦えるなんて。

…。
なんだろう。

賭けの試合なのに
どこかワクワクする!



絶対に…負けないんだから!!!

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