【西宮高校】
流星side
季節は夏になり、高校も夏休みに突入していた。夏休み中はやはり部活三昧。来月行われる準々決勝にむけて…朝から晩までコートに立って練習に励んでいたのだった。
そんな時に監督から集合をかけられて、告げられた合宿の開催。
中学校では合宿というものを経験してこなかったため、初めての部活の合宿に少しドキドキする気持ちもあった。
合宿…。
みんなは大変、大変って言うけど…。
“大変”って言う漢字は“大きく変わる”って意味だから、きっと僕も今以上の自分に変われるはず。
その自分に出会える事が…
凄く楽しみでもあった。
【大阪難波】
大吾side
夏恒例の合宿が始まろうとしていた。
俺ら3年生にとっては3度目の合宿であり、最後の合宿でもある。
高校生の合宿と言うとどこか“夏の思い出”を作るというイメージがあると思うが…
そんなものいらない。
寝て起きてバレーをして、己の技量を磨く。
この環境があればいい。
来月の準々決勝に向けての準備なんやから…そんな楽しい事やってる暇なんてないんよ。
特により一層、今年は妥協は一切許さない。
まあ、俺の前に現れたあの一年が
その原因となっているのだが。
この合宿で磨いて磨いて…驚かせてやる。
大西side
あれから僕らは合宿に向けていろいろ準備をして。あっという間に当日を迎える。
場所は山奥にある関西スポーツ生涯学習センター内。
この時期は複数学校がこの施設を使うらしく、今日も僕らの他にも様々な高校、部活が合宿へと訪れていた。
ブロロロロロ…
…。
タイムスケジュールも事前に組まれていて、その時程に沿って僕らの合宿は行われていく。
僕はレギュラー組はまずは敷地内を走ってウォーミングアップをし、その後Aコートでパスやスパイク、サーブのプレー練習。午後の最後は試合形式の練習。
それを全てこなして行く。
いつもなら時間に追われて行なう練習も、今日は夜まで気にせずにできる事がすごく嬉しかった。
バァァァーーーーンッ!!!
そんな感じで…僕と先輩たちは休憩をとりつつも、思いっきり気の済むまで練習に取り組んで行った。本当に高校生の部活動って楽しいっ!
そして…あっという間に夕飯時。
レギュラー組は他の部員よりも遅れて夕食に合流する。
謙杜とみっちーは先に会場に着いていて、僕の夕飯も準備してくれていた。
そんなことを話しながら夕飯を食べる僕たち。
その後のお風呂も、夜のミーティングも、寝る部屋も。同級生のみんなと一緒に過ごす僕。
普段は先輩とばかり一緒にいたから、同級生と一緒に過ごす時間が…すごくすごく楽しかった。
多分合宿って練習以外にも沢山いい意味があって。こう言う共同生活でしか分からない、みんなの良さにも気づけるし、そしてその良さを…プレイに繋げていける気がしたんだ。
次の日…
2日目の合宿が始まって行く。
朝食会場にて今日のタイムスケジュールが伝えられた。
…
プロロロロロ…
…
謙杜side
タッタッタッ…
高校のバレー部ってこんなに辛いのか?
俺、中学の時ビーチバレーしかやったことないから分からないって…。
確かにバレーは楽しいけれど…こんなにも体力のいるスポーツだなんて知らなかった。
俺はただ、早く楽しく試合がしたいだけなのに!
走ってばっかり!
どうしても走るのが嫌な俺は…
宿舎の裏で壁打ちの自主練をする事にした。
そう思って体育館裏にバレぬよう一目散に走って行く。
すると
バァァンッ!
うわっ!!!
いきなり向こうからガタイの大きい人たちが俺にぶつかって来た。
あまりの強さに跳ね返されてしまう僕の体。
!!??
大きい…大きすぎる…。とても高校生とは思えない…。
九州高校バレー部って書いてあるジャージを着てるし。
ここで合宿してる人達!?
そう逃げようとしたら…
ガッと腕を掴まれてしまった。
け、喧嘩なんて売ってなしっ!!!
そっちから、ぶつかって来たのに!!
どどうしよう…。
誰か助けてっ…!!
流星side
朝食後、ウォーミングアップ前に昨日忘れたタオルを取りに体育館へ向かうと…
何やら騒がしい。
ガヤガヤしてる…。
喧嘩?
そう思って覗いてみると…
謙杜が大きな人たちに腕を掴まれて、囲まれて…何かされてしまう所だった。
と、とにかく助けないと!
こんな大きな人達…僕も少し怖いけど、そんなこと言ってられない。
謙杜を助けないと。
それにスポーツをする人たちなら、ちゃんと話をしたらわかってくれる…と思ったから。
…
するとニヤニヤとする大きな人たち。
なんで僕がバレーできるって分かるの?
あっ…
今日着てるTシャツ…
中学校のバレー部のやつだった…。
だからか。
!?
そ、そんなの、ダメだって!
みんなに迷惑がかかるし…
練習メニューだって変わってしまう。
こんな大きな人たちとバレーなんて怖いけど…
…
でも、コートを賭けに出すなんて。
スポーツマンシップに反した、その考えが許せなかった。
ここは僕が戦わないと…解決しない。
…さっきからニヤニヤしてる大きい人達。
何がそんなに面白いの?
えっ
…!?
大吾side
合宿先について、午後から使うコートを下見しに来た時…
何やら奥から聞き覚えのある声がした。
…まさか…
そう陰から見てみると
はぁ。
やっぱり…
あの“天使”がいた。
まさかの合宿日と場所が重なったなんて。
どんな偶然やねん。
そしてあいつの目の前には体のデカいやつら。
なんや絡まれてるのか?
…
本当は関わりたくないのに、、
つい俺は気になって話を聞いてしまう。
…おいおい、友達を庇うのか?
厄介やなぁ。
お前は、なんで関係ない事に首突っ込むんよ。
…そう言う仲間思いのところも
気に入らないんや。
…ん?待てよ。
お前1人で戦うのか?!
こんなデカい奴ら数人相手に
そんなの無理に決まってるやん!!
おい、まて!喧嘩を買うな!!!!
…。
友達とコートを賭けにかけられて
喧嘩を買った“天使”。
圧倒的に不利な状況に、お前は気づいていない。
その様子を見ていても腹が立っていたのだが。
それ以上にスポーツマンシップに反したあいつらの腐り切った態度が…
同じバレーボールをやる身として
俺は許せなかった。
我慢の限界で、俺から声をかける。
流星side
えっ…!!?
なんでここに西畑さんが…?
て言うか聞いてたの?
…。
な、何言ってるの!?
…
…。
コートと謙杜を取り戻すために…
まさかの西畑さんと2人でコートに立つ事になった。
決勝で会いましょう、なんて言ったのに。
一緒のチームで戦えるなんて。
…。
なんだろう。
賭けの試合なのに
どこかワクワクする!
絶対に…負けないんだから!!!











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。