あなたに会えなくなってからの初めての朝。
太陽の光で目が覚めた俺は洗面台に行く。
今日も相変わらず髪の毛は凄いアート作品みたいで
すごい。
いつもなら、維持でも直して会社に向かうのに
今日はそんな気にはならなかった。
まぁ、いい
そうやって流す。
俺はいつもと変わらずテレビを付けて天気予報だけ…
俺はすぐに、リモコンでテレビを消した。
まただ。
また、蘇ってしまった。
人が死んでしまうこの苦しみを。
準備して重たい体を会社まで運ぶ。
あなたの友達…の…
ちか チャン。
前に一度だけ、ご飯を食べた記憶がある。
どうしような。
あなた、俺のこと忘れてたら…
それは、ないか。
高校生からずっといたんだから消したくても
消せない過去だって沢山作ってきた。
髪の毛を触って言う。
あ ~ 。
なんか喋る気になんねぇ。
ちかチャンは頭を下げて戻っていった。
俺らの仕事場に行く足取りはいつもより
重くて、遅い。
この会社に、あなたが居ないだけで
こんなにも変わってしまうんだ。
俺だけか。
おかしいのは。
社員さんの方たちはいつもみたいに
おはようございます って言ってくれて…
俺も返すけど。
どこか違う。
お昼になってもいつもならこなせる仕事が
まだ、4分の1しか終わってなかったり…
頭はあなたの事で埋め尽くされて
仕事のことなんて全く入ってこない。
渡されたのは、俺のデザイン。
そして、2階はヘアメイクの部署。
じゃ、よろしくね って
このデザインはあなたが好きって言ってくれた。
1番に喜んでくれた。
封筒にデザインを入れて2階に持っていく。
慌ただしく社員が動いている。
何があった…、
二人いないだけでもこんなに違う。
そう? ってリーダーさんは自分の机から
資料を出した。
渡されたのは一流企業とのヘアメイク製品の
プレゼン資料。
俺の持つプレゼン資料を受け取ろうとしてくるけど
俺は、それを避けた。
びっくりした目で俺を見る。
・
資料を持ってエレベーターに乗り込む。
封筒を強く握るとシワが入る。
【三階です。】
エレベーターのアナウンスが鳴って降りる。
あなたのためだ。
なんでもいいからあなたのためになれることを!
そう思い、資料に取り掛かった。
・
一日かかる資料を4時間で終わらせた。
多少の誤字はあるが後でリーダーさんに見てもらうから
リーダーさんに任せることにした。
尊敬されることなんか俺はしてない。
ただ、あなたの役に…
だろうな。
あなたもモテるに間違いない。
と言ってデスクに戻っていった。
時計を見ると17時。
もうすぐ、仕事の終わる時間。
みんな帰る準備が始まる。
ちらほら帰っていく社員。
俺は、まだ帰らなかった。
帰ったらあなたと離れている感じがして
いてもいられなかったから。
椅子に深くもたれ掛かってクルクル回る。
あなた、頭大丈夫かな。
痛くねぇかな。
あ ~ 。
心配で仕方がない。
うわ、
俺、究極な心配性じゃん。
自分の髪の毛を前から後ろに上げる。
寝癖のこと忘れてた…
相変わらず戻んねぇ。
リーダーが俺に話しかけてきた。
リーダーは帰っていった。
窓の外も暗くて冬って感じさせる。
雪。
降るかな。
窓まで歩いていって外を見つめる。
天気予報見るの忘れた…
ずっと見てたのによ。
~ ♪
俺の携帯が机の上で震えた。
裏向きになっている携帯を表にして表示を見た。
【 着信 : あなた 】
この表示を見た時、胸がドキッとした。
出るべきなのか…
出ないべきなのか。
震える携帯に人差し指も若干震える。
応答
久しぶりに感じるあなたの声。
電話一発目がこれとかあなたどう思う。
なになに、心配してくれたの ~ ?
心配性だなぁ!玲於は!
って言ってくるんだろうな。
けど、俺の思ったいた事とは違う発言。
言葉が見つからなかった。
社内の1部だけ照らされた俺のデスク。
その静けさが俺の心をますます怖がらせた。
嘘だろ…
夜月に照らされて俺の目から一粒の涙。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。