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第37話

# 36
あなたに会えなくなってからの初めての朝。
佐野玲於
ん…
太陽の光で目が覚めた俺は洗面台に行く。
今日も相変わらず髪の毛は凄いアート作品みたいで


すごい。
いつもなら、維持でも直して会社に向かうのに


今日はそんな気にはならなかった。
まぁ、いい


そうやって流す。
俺はいつもと変わらずテレビを付けて天気予報だけ…
テレビ
今朝、一人の女性が軽トラに跳ねられ
意識不明の重体です。
俺はすぐに、リモコンでテレビを消した。


まただ。


また、蘇ってしまった。


人が死んでしまうこの苦しみを。
佐野玲於
はぁ…
準備して重たい体を会社まで運ぶ。
ちか
おはようございます!
あなたの友達…の…
佐野玲於
あ、おはよう。
ちか チャン。


前に一度だけ、ご飯を食べた記憶がある。
ちか
あなた 大丈夫なんですかね。
佐野玲於
事故って軽く記憶障害があるかもしれないって。
どうしような。


あなた、俺のこと忘れてたら…
それは、ないか。


高校生からずっといたんだから消したくても


消せない過去だって沢山作ってきた。
ちか
いつから会社来るんですかね。
佐野玲於
俺もちょっとわかんないな…
ちか
玲於さん、髪の毛凄いことになってますよ。
佐野玲於
ああ…
髪の毛を触って言う。
ちか
玲於さん、何か元気ありませんか?
佐野玲於
あ、え?
ちか
目が遠い目してますよ…?
佐野玲於
まじ。わり。
ちか
いえ。
あ ~ 。


なんか喋る気になんねぇ。
ちか
じゃ、戻りますね…
失礼します。
ちかチャンは頭を下げて戻っていった。
俺らの仕事場に行く足取りはいつもより


重くて、遅い。


この会社に、あなたが居ないだけで


こんなにも変わってしまうんだ。
佐野玲於
おはようございます…
社員
おはようございます!
俺だけか。


おかしいのは。
社員
玲於さん、おはようございます!
社員さんの方たちはいつもみたいに


おはようございます って言ってくれて…


俺も返すけど。


どこか違う。
お昼になってもいつもならこなせる仕事が


まだ、4分の1しか終わってなかったり…
佐野玲於
頭はあなたの事で埋め尽くされて


仕事のことなんて全く入ってこない。
リーダー
玲於、2階でこの資料渡してきて。
渡されたのは、俺のデザイン。


そして、2階はヘアメイクの部署。
リーダー
これ、玲於のデザインだよね?
いや ~ 。センスあるね。玲於は。
じゃ、よろしくね って
佐野玲於
ありがとうございます…
このデザインはあなたが好きって言ってくれた。


1番に喜んでくれた。
封筒にデザインを入れて2階に持っていく。
佐野玲於
あの、これ…
リーダー
あ、ありがとう!
慌ただしく社員が動いている。


何があった…、
佐野玲於
どうしたんですか?
リーダー
いや、今日亜嵐もあなたチャンも
いないから人が足りなくてね…!
二人いないだけでもこんなに違う。
佐野玲於
何かしましょうか。
リーダー
大丈夫 大丈夫!
佐野玲於
でも、何かしますよ。
そう? ってリーダーさんは自分の机から


資料を出した。
リーダー
なら、これ頼める…?
渡されたのは一流企業とのヘアメイク製品の


プレゼン資料。
リーダー
あなたチャンの仕事だったんだけど
あと、1週間ぐらいかかるらしくてね。
そのプレゼン明後日なんだ。
佐野玲於
明後日!?
リーダー
ごめんね、ほんとごめん。
無理なら大丈夫だから!
俺の持つプレゼン資料を受け取ろうとしてくるけど


俺は、それを避けた。
佐野玲於
やります。
びっくりした目で俺を見る。
リーダー
ありがとう、玲於さん。
資料を持ってエレベーターに乗り込む。
佐野玲於
アイツ、こんな大事な仕事
任されてんのに…
封筒を強く握るとシワが入る。
【三階です。】
エレベーターのアナウンスが鳴って降りる。
あなたのためだ。


なんでもいいからあなたのためになれることを!


そう思い、資料に取り掛かった。
佐野玲於
はぁ…できた…
一日かかる資料を4時間で終わらせた。


多少の誤字はあるが後でリーダーさんに見てもらうから


リーダーさんに任せることにした。
社員
玲於さん、なんですかそれ?
佐野玲於
ちょっと…な…
社員
これ、2階の部署の仕事ですよね?
佐野玲於
任されてんの。
社員
凄いですね ~ !
ほんと尊敬します。
尊敬されることなんか俺はしてない。


ただ、あなたの役に…
社員
2階の部署の人事故にあったって
本当なんですかね。
佐野玲於
え?
社員
あの方、凄い綺麗で俺たちの中でも
結構な評判なんですよ!
だろうな。


あなたもモテるに間違いない。
佐野玲於
そうだよ
社員
やっぱ、ホントっすか ~ 。残念です。
と言ってデスクに戻っていった。
時計を見ると17時。


もうすぐ、仕事の終わる時間。


みんな帰る準備が始まる。
社員
お疲れ様でしたー!
社員
お疲れ様です。
ちらほら帰っていく社員。
佐野玲於
お疲れ。
俺は、まだ帰らなかった。


帰ったらあなたと離れている感じがして


いてもいられなかったから。
佐野玲於
はぁ ~ 。
会いてぇなぁ。
椅子に深くもたれ掛かってクルクル回る。
あなた、頭大丈夫かな。


痛くねぇかな。


あ ~ 。


心配で仕方がない。


うわ、


俺、究極な心配性じゃん。
自分の髪の毛を前から後ろに上げる。
寝癖のこと忘れてた…


相変わらず戻んねぇ。
リーダー
玲於、残業あるの?
リーダーが俺に話しかけてきた。
佐野玲於
あ、無いですけど…
まだいるつもりです。
リーダー
あ、そう?
なら電気とか戸締りよろしくね。
佐野玲於
あ、はい。
リーダーは帰っていった。
窓の外も暗くて冬って感じさせる。


雪。


降るかな。
窓まで歩いていって外を見つめる。
佐野玲於
今日は降んねぇか。
天気予報見るの忘れた…


ずっと見てたのによ。
~ ♪
俺の携帯が机の上で震えた。
佐野玲於
隼か?
裏向きになっている携帯を表にして表示を見た。

















【 着信 : あなた 】

















佐野玲於
あなた…!!!
この表示を見た時、胸がドキッとした。


出るべきなのか…


出ないべきなのか。


震える携帯に人差し指も若干震える。
佐野玲於
よし…
















応答


















あなた

もしもし…

久しぶりに感じるあなたの声。
佐野玲於
もしもし…!
あなた大丈夫か…?
電話一発目がこれとかあなたどう思う。


なになに、心配してくれたの ~ ?

心配性だなぁ!玲於は!




って言ってくるんだろうな。


けど、俺の思ったいた事とは違う発言。






















あなた

ごめんなさい…
私、あなたとどんな関係ですか…?

























言葉が見つからなかった。
佐野玲於
え…
社内の1部だけ照らされた俺のデスク。


その静けさが俺の心をますます怖がらせた。
佐野玲於
もしや、お前…
嘘だろ…


















あなた

貴方のこと私何も覚えてません…




























夜月に照らされて俺の目から一粒の涙。