あなたが男に襲われてるのを見て俺は
助けてやらなきゃ って瞬間で思った。
心でも体でもそう感じた。
って苦笑いするあなた。
さりげなく、自分のポケットに手を入れた。
ほんの少しだけ暖かくて
意味わかんない ってちょっと拗ねる。
あ ~ 。
これから帰るんだな。って考えると嫌だ。
そう言われた時。
心臓がドクンと鳴った。
足も止まった。
眉毛をちょっと垂れさせて困ったように笑う。
大事な事忘れてないかな って…
何も言えない顔。
限界だった。
今まで、ずっと。
あなたの頭から俺が居ない世界が広がってて
ずっと初対面扱いされて。
亜嵐クンとその他の友達は覚えてて、正直キツかった。
もし、それが友達なら。
ただの友達ならその思いは感じなかったのかもしれない。
けど、あなただから。
好きな奴に忘れられるとか一番…ね。
悲しんでるじゃねぇか。
バカやろ。
もう。
ポケットから手を出してあなたの手を掴む。
引いて歩こうとした時、グッと止められた。
暗くて見えない夜だったがあなたの目が涙が
溜まっているのは分かった。
あなたの眼差し。
それは、俺の心を満たしていく。
俺に伝わる力は徐々に伝わってくる。
けど、これでまた関係が崩れるならこのままでいいかも。
あ…
やば。
絶対、今目泳いでる。
その場から消えたくて振り返って歩く。
それからあなたは何度も聞いてきたけど俺は、無視をした。
最低だ。
その言葉に俺は、ちょっと引っかかって
動く足が止まった。
俺の事なんかわすれろ。
そう言ったつもり。
俺の頭にぱっと浮かんだのは。
俺にとっては大切な思い出。
どんな思い出よりもこの思い出は俺にとっては偉大なもの。
過去の事思い出してると自然と笑えていた。
俺もあなたも。
そう言って着いたのは可愛らしいアパート。
うん。
前にも来たことある。
ドアが閉まった。
よし。
帰ろうと振り返ると
亜嵐クンの横を通って家に戻る。
大通りに出ると人も多い。
イルミネーションとかも増えてきてカップルが
うじゃうじゃいて、これじゃ俺が浮く。
急いで家に帰った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。