外はすっかり暗くなり、冬の訪れを益々感じる。
隣を歩くのは亜嵐クンで私の手を繋ぐのも亜嵐クン。
次はどこ行こうか、とか今後の計画を練った。
現在、12月2日。
もうそろそろ、恋人の日に近づく。
そう、言い遅れてたけど亜嵐クンは
リーダーの下のサブリーダー。
入社一年目でここまでこれるのは
相当優秀じゃないと出切っこない。
下向き加減で苦笑いをした。
亜嵐クンと初めて迎えるクリスマス。
今までにないクリスマスになる予感。
それが的中するとはこの時は思ってもなかった。
亜嵐クンとの思い出は今日で沢山増えたのに
また、これからいろいろ増やしてかなきゃいけない。
楽しい日々に塗り替えていくの。
ハッと驚く亜嵐クン。
何を忘れたか聞くと、ゲームのなんからしい。
よくわかんないけど取りに行くことに。
ゲームね。
意外と男の子。
ゲームとかやらなさそうな亜嵐クンも
新作ゲームって言葉が亜嵐クンの口から聞けるとは
思ってなかった。
亜嵐クン…も…
首を縦に降って亜嵐クンは
エレベーターに乗り込んでいった。
やっぱ、寒いなぁ。
ここの管理どうなってんの。
夏は暑いし、冬は寒い。
しっかりして欲しい。
椅子に座って亜嵐クンの帰りを待つ。
腕の時計は
pm.8:40
を指していた。
" 一階です "
あ、来た。
振り返って笑った先には亜嵐クンじゃない。
玲於だった。
二人の間にできるこの重い空間。
そういうとちょっと不機嫌に答えた。
つい、口走った。
言い合いはヒートアップした。
私も玲於も止まんない。
…
そう言ったら玲於は、俯いて私を睨んだ。
別に って顔で会社を出ていった。
ほんと、最低。
こんないいもの選んでくれて私の好みもよく知ってる
彼女のことよくわかってる人って
彼氏にしたい人ナンバーワンだよ。
走ったのか息が切れてる亜嵐クン。
お目当てのものはちゃんと見つかったらしく
左手にぎゅっと握り締めている。
かわいい。
亜嵐クンが外に出た時。
私は、地面にチラシを見つけた。
『新作ゲーム発売、12月3日!!!』
あ、これかな。
亜嵐クンの言ってる新作ゲームって。
それに、端に500円割引!ってのがあって
これも割引券。
でも亜嵐クンのではない気がして
玲於落としてった…?
飛び出して走った。
玲於の元へ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!