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第35話

# 34
病院に駆け込んで手術室手前まで来た。
佐野玲於
はぁ…はぁ…
そこには、亜嵐クンは当然居てお母さんも…
白濱 亜嵐
玲於…
亜嵐クンは弱々しい声で
白濱 亜嵐
あなた、玲於の家に行くって
行ってから帰ってこなくて…
やっと電話かかってきたと思ったら
総合病院…って。
俺のせいだ。


俺が風邪なんか引いて


それから、ゲームなんか買わせに行ったから…
佐野玲於
ほんとに、ごめんなさい…
白濱 亜嵐
なんで玲於が?
佐野玲於
俺が熱出てあなたに心配かけて
俺の用事行かせたらこうなって…
白濱 亜嵐
お前…
そしたら、亜嵐クンが俺の胸ぐらをぐっと持ち上げた。
白濱 亜嵐
ふざけんなよ…!!!
玲於のせいであなたが
死んだらどうするんだ…!!!
今までに見た事のない目付き。


言葉遣い。


力加減。
佐野玲於
ほんと…ごめん…
俺を思いっきり突き放すと椅子に頭を抱えて座った。

















白濱 亜嵐
もう、あなたには会わせない…
















俺が一番恐れていた言葉。
佐野玲於
そのつもり…
あなたのお母さんは何か言いたげに俺を見つめた。
佐野玲於
最後に…1回だけ。
1回だけ会わせて下さい…
亜嵐クンとお母さんに頭を下げた。
これが、最後。


そう考えたら頭は真っ白になって涙が出てくる。
白濱 亜嵐
うん
佐野玲於
ありがとう…ございます…
深く深く頭を下げた。
俺は、そこから離れて違うところで


あなたの手術を待つことにした。
お願い…


無事に終わって…
いつもなら短く感じる



1分



1秒



が長く長く感じる。
佐野玲於
お願い…
あ ~ 。


クラクラするし。


こういう時に、熱出るとか…
佐野玲於
もう、死なせない…
俺には壮大な過去がある。















5年前 …


俺が高校3年生の時。





















母を亡くした。




















佐野玲於
母さん…
俺の言った言葉で母はビルの屋上から飛び降りた。
隣で、親父と親戚が泣いている。


けど俺は、泣けない。


俺が殺したみたいなもんだから。


あの時、俺が母さんに言わなかったら
死ななかった。
親父
玲於、行くぞ…
親父も俺の言った発言で母さんが


死んだことは知っている。


けどあえて言わなかった。
佐野玲於
はい…
だから、もう怖くなった。


テレビで流れる事件も。


新聞の記事も。


全部全部、怖くなって何もかもが


俺を否定しているように見えて立ち直れなかった。
もう、俺のせいで誰かが悲しんだりするのもして欲しくない。
けど、そう簡単にはいかなかった。


また一人、人を傷つけた。


あなた。
佐野玲於
俺に生きてる意味なんてない。
母さんが飛び降りた屋上に来て街を見下ろした。


こんな気持ちだったんだ。


母さん。
1歩ずつ…


1歩ずつ…


屋上の脇まで歩いて飛び出す瞬間。
町田 ちかこ
何してるの…!
俺を屋上の脇から下ろさせた。
力も入らなくなってその場に倒れ込んだ。
佐野玲於
俺は、生きてても無駄なんだ…!!!
町田 ちかこ
無駄なんかじゃないわ!
貴方はしっかりと生きてる人間!
この世に無駄な人間などいないの!
と、ある女性に言われてハッとした。
佐野玲於
なら…母さんだって…
死ななかったんじゃないか…
町田 ちかこ
え?
佐野玲於
母さんは俺が殺した。
俺のせいで飛び降りた。ここで。
そういうと女性は何も言えなく黙り込んだ。
佐野玲於
…ありがとうございました…
止めてくれて。
貴方のおかけで生きる希望を
見つけました。
そんなの嘘に決まってる。


生きる希望など俺にはこれっぽっちもない。
町田 ちかこ
嘘だ。
俺は、振り返った。
町田 ちかこ
希望なんかそう簡単に見つかるもんじゃない。
女性の真剣に話す眼差しに吸い込まれそうになる。
町田 ちかこ
沢山の努力を積み重ねて
それが達成出来る手前まで来れる事が
できてからの 希望 でしょ。
だからそう簡単に見つけれるものじゃないわ
この人、何者…


俺の弱った心をゆっくり修復していく。
佐野玲於
貴方…誰…
町田 ちかこ
町田 ちかこ。
ここで働いてる。
と言って渡されたのは一枚の名刺。


ファッションやヘアメイクなど沢山の結構な好成績を


持ってないと入れない会社。


この屋上で俺は、何をしようと…


いわゆる、ファッションの掛け持ちリーダー。
佐野玲於
凄いですね。
町田 ちかこ
大したことないわ。
ちゃんと努力すれば
夢は実るものよ。
その一言を残して町田さん屋上から出ていった。
その時、思った。


ここで働きたい。


そして、沢山の人を笑顔にできる


デザイナーになる。
佐野玲於
努力すれば夢は実る…
町田さんの残した一言を胸に俺は、


新たな道を進んだ。








白濱 亜嵐
大丈夫か…!
亜嵐クンの声で意識がハッキリした。


あなたが手術室から出てきた。


それを見て亜嵐クンも叫んでる。
病院
成功しました…
佐野玲於
良かった…
次、医者から告げられた言葉は
病院
しかし、多少の記憶障害が
あるかもしれません。
記憶障害…?
病院
普通に覚えてるんですが、その
一部の記憶だけ忘れてしまうって事です。
そういうことか。
医者は頭を下げて戻っていった。
そして、俺はあなたのいる病室に足をゆっくり進めた。
そこに、頭に包帯をつけて目を瞑って眠っているあなた。
佐野玲於
あなた…
そう呟いた。


いつもみたいに なに? って笑えよ…


無視するなよ…
静まり返っている病室は機械音が鳴り響いている。
この音…


あの時…
白濱 亜嵐
玲於、最後なんだから…ほら。
そうだ。


最後なんだ。


あなたとこうやって会えるのも。
重たい足を引きずってあなたに近づく。


遠くからは見えなかった顔の傷は


痛々しく残っている。
佐野玲於
あなた…ごめんな…
ほんと、ごめん。
ちょっと指の関節が曲がっているあなたの手を握った。
冷たい…


いつものカイロはどこいった…


熱いの って俺に不満ぶつけてくるあなたは。
これで最後だ。


ありがとう。


あなた。
佐野玲於
それじゃあ…失礼します。
2人に頭を下げて病室を後にした。
俺の足音だけが鳴り響く廊下。


それは、長い長い廊下で迷路みたい。


俺の今の心。
壁にもたれて壁を叩く。
佐野玲於
くそっ…
なんで、あなたなんだ。


あなたじゃない他の悪い奴がなればいいのに。


俺の周りで良い奴ばっか痛い目にあっていく。
悔しくて。


心は張り裂けそうだった。

病院を出るとチラホラと降る雪。


言ってたな。


天気予報で。


今日は、雪がちらつくって。


いつからだろう。


俺がテレビを見るようになったのは。


母さん以来、何があってもニュースだけは


見ないようにしていた。


けど、アイツが変えてくれた。
あなた

ちゃんと世の中のニュースを
知らなきゃ何もついてけないよ!
だから、天気予報ぐらいは見なよ!

って。
佐野玲於
はぁ…
俺のため息と共に出るのは白い息。


ほんとに会えねぇのか。


やになるわ。


アイツの


笑った顔。


怒った顔。


泣いた顔。


驚いた顔。


不貞腐れた顔。


呆れた顔。

















全部全部、俺の宝物だ。
















佐野玲於
仕方ねぇか…
俺が悪いんだから。
冷える手をポケットに不器用に突っ込んで


雪の中、ゆっくり歩いて帰った。