玲於side
目を開けた時、ここは懐かしい天井。
なんで ちか がいるんだ…!?
ちか とは俺の元カノ。
もう、とっくに別れてしばらく会ってもなかった。
俺はあなたと買い物に来てて…
あ、俺熱出したんだっけ…
拾った…?
なんで ちか なんだ…、
あなたは、
ちか はキッチンで手を動かしながら言う。
俺はソファに移動して時計を見ると
7時…
もう作ったから って見せてきたカレー。
懐かしい。
ソファに座る。
目の前にカバンにかさばる袋を見つけた。
これって…
俺は勢いよく駆け寄ってカバンを退かした。
最悪だ。
あなた絶対勘違いしてる。
カバンと袋を持って外に出た。
あいつの行くところ…
うっ…
頭痛てぇ。
まだ、完全治ってなかった…
くそっ…
こんな時に。
俺は一旦家に帰って一度寝た。
それから探そう。
手遅れではないはず。
アイツはどこにも行かない。
時計を見ると…
10時!?
いつの間にぐっすり寝てしまっていた。
身体も楽になっていて頭も痛くない。
よし…
上を着てマスクして玄関を開けて飛び出した。
探し始めて一時間。
寒さも冬並みになってきて────
信号に引っかかった。
あ…
目の前にはカフェから亜嵐クンと出てくるあなたの姿。
なんでいるんだ。
亜嵐クン…?
むかつく。
俺は今まで感じたことのないイライラを、感じた。
そこから二人は反対に別れて
あなたがこっち方面に歩いてくる。
ニコニコしやがって。
むかつく。
目の前の信号に止まって手をこする。
すると、目が合った。
そう叫ぼうとしたら逃げ出す。
有り得ねぇ。
アイツが足遅いことぐらい分かってんだ。おれは。
捕まえた。
全くこっちを向こうとしないし態度が全く違う。
やっと、振り向いたかと思ったら
違う。
付き合ってなんかない。
電話ぐらいしてくれればいいのに。
すぐ振り返って帰ろうとする。
止めようと思ったが足が動かない…
くそ…
動け。
ほんと最低だ。
怖くて動けない。
亜嵐クンと付き合うとかないよな…?
俺は…
あなたが…
~♪
着用 : 小森隼
やっぱ、持つべきものは親友。
こういう時にいつも側に居てくれるのは隼だった。
どんなときも。
目の前に俺がいなくても絶対電話かけてくる。
どっかで見てるんじゃないかって
一瞬、怪しくなるほど。
隼に愚痴ってやる。
あなたが俺に反抗しやがったって。
あなたが無視したって。
あなたが…泣いてたって…。
俺は、あなたが好きなんだって。
隼と待ち合わせしていた店に来た。
隼はもう座っていて椅子から金髪の髪の毛が
伸びていた。
俺は隼の、向かいの席に座った。
それからたわいもない会話で盛り上がって
いつもと変わらない隼と俺の会話。
その間に思わぬ壁が挟まるとは思ってなかった。
その時、隼の携帯にLINEが入った。
隼が携帯に目を落とすと
驚いた顔して固まる。
LIVEでも当選したか?笑
俺に異様に隠したがる。
なんだよな。
携帯を隠すように自分の胸に閉まった。
ヒュッと携帯を奪うと
LINEは亜嵐クンからで。
内容は
亜嵐「俺、あなたチャンと付き合うことになった。」
ごめん、理解できない。
は?
あなたが亜嵐クンと…?
意味わかんねぇ。
あなた、やっぱり亜嵐クンの事好きだったんじゃねぇか。
あの二人はお似合いだと思う。
亜嵐クンはもうイケメンで性格も良くて
直すところないって。
あなたもあなたで美人だしかわいい。
馬鹿な所もあるけどそこが男は弱いっつーの。
目から一筋の涙。
隼は俺の肩をポンっと叩いた。
あ ~ 。
こういう時に優しくすんなよな。
空気読めないヤツ。
でも、隼がいなかったらこの事も知れなかったし
今頃、好き好き って1人舞い上がってただろう。
よかった。
隼、さんきゅ。
左手にあなたにあげた服の袋の紐をもつ力は
どんどん強くなった。
これは、もう要らねぇか。
隼が女だったらよかったのに。
隼を睨みつけた。
あ ~ 。
今の取り消し。
こんな彼女嫌だ。
夢じゃないんだな。
失恋か。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。