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第38話

# 37
あなた side


ただ、着信があって掛け直してみたところ


私はこの人を覚えてない。


知らない人。
あなた

私貴方のこと覚えてません…

そう告げたら
佐野玲於
あ…そう…
あなた

ごめん、なさい…
どういう関係でした…

佐野玲於
言うまでもない関係だったよ。
ただの友達。
いや、友達って言えるのかな。
そう、鼻で笑う。


そうなのかな。


だったら、なんで二回も電話掛けてくれたの…?
あなた

そうですか。

佐野玲於
うん。
だから、俺の事なんか
気にしないで頭治して。
頭のこと知ってるの…?


あ、亜嵐クンのお友達。


だから、知ってるんだ。
あなた

ありがとうございます。

うん、じゃ って切れた。
私、忘れちゃいけないこと忘れちゃった…?


人を傷つける程のこと。
あなた

何忘れたの…!!!

頭はいっぱいいっぱいで破裂しそう。
髪の毛を掴んでボサボサになる。


悲しそうな声だったな。


亜嵐クンに聞いたら思い出せるかもしれない…


あ、でも


無理に思い出すな って言ってた…


心配かけちゃうかな。
外は、暗くて雪は降ってない。


そうえば、天気予報見てないな。


ずっと美桜チャンと話してたし…


天気予報…
あなた

天気予報…?

なにか最近、言葉に対してひっかかる。
あ ~!


思い出せない。


私、平凡な会社員で…


特にいいことも悪いこともない


ただ


ただ


普通な生活を送ってたと思う。
あなた

わかんない…

その日はもう寝て明日を迎えることにした。
俺は、電話がきれたあとでも動揺が隠しきれない。
佐野玲於
嘘だろ…
照らされた俺の机の椅子にドサッと音を立てて座る。
机に肘を着いて頭を抱える。
本気で忘れたのかよ。


アイツ。


ドッキリとかじゃねぇの。
むしゃくしゃしてるとまた


目から熱いものがこみ上げてきて最後に堕ちた。
佐野玲於
ふざけんな…って…!!!
なんで俺なんだよ。


他に消えてもいい過去だってあるだろ。


意味わかんねぇ。
神様のお告げだ。


もう、諦めろってことだ。


何回も告白したって恋は実らない。


そういうお告げ。
佐野玲於
もういい。帰ろ。
カバンを取って夜の寒い道を一人で歩く。
佐野玲於
はぁ…
白い息が俺の視界を邪魔する。
あなたが復帰したとしても俺を覚えてないんだ。


だったら意味無い。


この仕事を任せられることも。


誰かわからない人に自分の仕事任せられてて


いい気分はしないはずだ。
でも、これは俺のせいだ。


責任もってやらせてもらう。
佐野玲於
よし。
あなたのいない世界ってだけ。


何も周りには変化はない。














そう。















でも

















俺には支障がある。
忘れられない。


あなたのこと。


忘れる事なんて出来ないんだ。


俺には。
佐野玲於
隼…
俺はいつの間にか隼に電話をかけていた。
小森 隼
はい?
佐野玲於
付き合え
小森 隼
俺達男だぜ?
電話の一言目がそれとか
玲於さん男前。
佐野玲於
馬鹿ちげぇ。
飲みにだわ。
ほんとに、馬鹿じゃねぇの。


誰がお前なんかに!
小森 隼
分かってますよ ~ 。
俺ん家くる?
佐野玲於
行く。
小森 隼
ほ ~ い
電話は切れた。


隼と居る時が一番自分で居られる。
ほら、あなたがいない世界でも


俺はやっていける。


いや、やっていかないと駄目なんだ。
隼の家遠いなぁ。ぼそっと呟いて向かう。
小森 隼
いらっしゃい
佐野玲於
お邪魔します
相変わらずコイツの部屋は汚い。


おいおい。


コンビニ弁当ばっか散乱してる。
佐野玲於
片付けろよな。
小森 隼
面倒くさくなってやめた。笑
佐野玲於
やめんな笑
そして俺らは座って乾杯。
佐野玲於
はぁ…
小森 隼
なに、玲於元気無いね。
佐野玲於
あなた、アイツ事故あっただろ。
小森 隼
聞いた聞いた!
佐野玲於
そっから、記憶障害になって
俺の事覚えてないらしい。
ビールの入るグラスを見ながら言った。
小森 隼
え、まじで?
佐野玲於
終わってんな。俺の人生。
後ろにあるソファに頭をもたれかけた。
小森 隼
思い出せないの?
佐野玲於
無理になんて出来ねぇだろ。
小森 隼
そうだけど…!
佐野玲於
もういい。
あなたのいない人生を
これから歩んで、アイツも
俺の居ない人生を送ってく。

ただそれだけの事。
ビールが喉にしみる。
小森 隼
そんなのわからない。
明日、お見舞い行くぞ!
佐野玲於
俺の言ってたこと聞いてた?
小森 隼
もちろん
だからこそ。
佐野玲於
行かねぇ。
小森 隼
なんで、行くの。
佐野玲於
嫌。
小森 隼
なら、俺一人で行って玲於のこと
思い出すまで帰らない。
コイツ、こんなことまで言う。


もう…!
佐野玲於
行くからやめろ。
小森 隼
了解致しました ~ 。
佐野玲於
無駄なことすんなよ。
小森 隼
分かってるって。
俺だって流石にそんな
面倒な男じゃないっすから。
お得意の企んだ顔。


コイツの心は読めねぇな。
今日は隼の家に泊めてもらった。


俺は、ソファの上で寝る。


そして、明日にお見舞い行く。


どんな顔して会えばいいんだ。



初めまして…?

佐野玲於です。



って


言えばいいのか?


訳わかんねぇ。
ジリジリジリジリジリジリジリ…
佐野玲於
なんだよ…
目が開くと目の前に時計を持つ隼の顔。
小森 隼
朝です。
いや、昼です。
隼の顔から時計に目を写すと
佐野玲於
12時!?
びっくりして反射で目が覚めた。
小森 隼
何やってんすか。
佐野玲於
起こせよ!
小森 隼
あのね、俺5回は起こしたかな。
携帯を操作しながらニコニコ笑う。
佐野玲於
あ、そうなの。
小森 隼
起きない玲於が悪い。
やっば。


寝癖…!
急いで洗面台に駆け込むと
佐野玲於
やっちった…
前髪が上に反り上がっている。
名ずけるなら クジラの尻尾 だ。
小森 隼
何その イルカの尻尾 みたいな前髪。笑
笑いやがって。
佐野玲於
クジラだけど。
小森 隼
いや、イルカでしょ。
それより、直さねぇと。


ワックス…
小森 隼
はい。
渡されたのは俺の探してるワックス。
佐野玲於
さんきゅ。
ワックスを開ける俺の横に


歯ブラシをくわえて立つ隼。
小森 隼
俺、2センチ伸びた。
ボソッていうもんだから
佐野玲於
そういうのは俺のいねぇ所で言えや。
小森 隼
うん。そうする。
佐野玲於
うざっ!
小森 隼
牛乳買ってこようか?
佐野玲於
要らねぇわ。バカ。
コイツいちいちうぜぇな。笑


背のことについて馬鹿にするしよ。


俺だって悩んでんだよ。
小森 隼
玲於 ~ !
準備できた?
佐野玲於
うん
反り上がっている前髪も上手くまとまった。
小森 隼
行くよ。
佐野玲於
おう。
俺らは、あなたのいる病院へと足を運んだ。
受付の人にあなたの病室を教えて貰って


エレベーターに乗り込む。
小森 隼
玲於、辛くなったら言って。
俺何とかするから。
佐野玲於
おう…
なんだよこいつ。


朝あんなけ言ってきたくせに急に優しくなってよ。
【 4階です 】
扉が開く。
小森 隼
行くよ。
隼の背中について行って


あなたの病室の前まで来た。


この先には、俺を知らないあなたがいる。
小森 隼
大丈夫だから。
隼が扉の取手に手をかけて開いた。


その瞬間、あなたの顔が見えて─────────

















笑った。





















あなた

隼!
いらっしゃい!























俺じゃない。


隼に微笑んだんだ。
あなた

あ、それと…
隼のお友達?

やっば。


俺、今日もつかな。


なんか目がやばくなってきたんだけど。
小森 隼
そう!
俺の親友の玲於!
隼が言うとあなたは ハッとして
あなた

玲於…さん…って…!

佐野玲於
前に電話したよね。
その玲於。
理解したみたいで、ムカつくぐらいに可愛く笑う。
あなた

あ ~ !
なら、面と向かって
話すのは初めましてですよね?
私、牧村あなたって言います。

佐野玲於
うん…
あいつの記憶は変わってしまったが


あいつの笑顔や言葉は変わらない。


俺の好きになったあなただった。
佐野玲於
思い出してくんねぇかな…
隼の横でボソッと呟く。
小森 隼
2人で頑張ろうぜ。
佐野玲於
おう…!
ガラガラガラ…
白濱 亜嵐
お、隼…!
と…玲於…

















忘れてた。




















あ、俺会っちゃいけなかったんだ。