誰もいない私の家。
鍵を置くとその音だけが響く。
玲於…
大丈夫かな…
私は連絡しようと携帯を手にした。
あ…
玲於のLINEを開く前にベッドに携帯を投げた。
なんで言ってくれなかったんだろう。
私が可哀想とでも思ったの…?
彼氏ができない私を見て。
彼氏なんてできるわけが無い。
だって私の好きな人は玲於なんだもん。
彼氏作りたくても、玲於がいるから…!
玲於は私の好きな人だから…
裏切ることなんて出来ない。
本当に好きなの。
って思っても
私はまだ気待ちを伝えてない。
なのに嫌だとか言える資格なんてないのに。
どうしよう。
やっぱり伝えた方がいいのかな。
玲於が好きだって。
ベッドに携帯を取りに行って亜嵐クンのLINEを開く。
あなた「亜嵐クン、ちょっと相談があります。」
送信。
先にお風呂入りに行った。
亜嵐クンなら何かいいアドバイスをしてくれる。
私の憧れの先輩だもん。
間違いない。
お風呂から上がると
2件の通知。
亜嵐「お?どうした?」
亜嵐「恋愛話なら俺じゃない方がいいぞ笑」
恋愛話だからこそ亜嵐クンがいい。
あなた「その通りなんですが…」
亜嵐「仕方ないから聞いてあげる。」
あなた「私…玲於が好きです…」
亜嵐「だろうね笑気づいてたよ。」
あなた「え。恥ずかしい…」
亜嵐「ねぇ、LINEじゃ打つの大変だし…」
亜嵐「会って話そうよ。」
亜嵐クンからきた返信は会って話そうと言うこと。
けど、お風呂入っちゃったし…
ま、いっか。
あなた「分かりました。」
亜嵐「駅前のカフェでいい?」
あなた「向かいますね!」
急いで支度。
今日はちょっと肌寒いから何か…
あ…
玲於から貰ったプレゼント。
あの時、女性に飛ばされてプレゼントも
下に一緒に落ちてしまった。
そこから私は受け取ることも出来ず帰ってきた。
今にでも涙が出てきそう…
視界が滲む。
暗い窓の外が蛍光灯の明かりで
白くなっていく。
これをお気に諦めようかな。
彼女サンいるなら私迷惑だし。
準備して駅前のカフェに向かった。
中に入ると亜嵐クンはもう居て、
それに気づいたみたいで私に手を振る。
かっこいいし。
かわいい。
亜嵐クンはメニュー表を取って
珈琲を選んだ。
私に 何にする? って聞いてくれて
私も亜嵐クンと一緒の珈琲にした。
そう考えるだけで頭はいっぱいで目も熱い。
ちょっと困った様子。
亜嵐クンの言う通り…
私、なにも玲於に聞いてない。
それなのに勝手に決めつけて喚いているだけ。
直接会って話したい。
本当に彼女サンと付き合っているのか。
確認したい。
ただそれだけ。
よし って私の頭を撫でてくれた。
ちょっと髪の毛くしゃくしゃになったけど…
急に言い出すもんだからびっくりして…
携帯にメモった。
亜嵐クンの、言うことは大体合ってる。
優しく笑う亜嵐クン。
ドキってして…
面白いし…
性格も良くて、最高なのに。
かっこいいな。
亜嵐クンに悩みを話してスッキリした。
1 . 玲於にちゃんと聞く。
2 . 大人っぽくなる。
外に出るとやっぱ肌寒い。
差し出してきたのは亜嵐クンの手。
そんな顔で見ないで…/////
繋がれたのは私の左手と亜嵐クンの右手。
大きくて包み込むような手。
関心そうに空を見上げる。
すごい、大切にしそう。
亜嵐クンは私を覗き込んで立ち止まる。
涙が勝手に出てくる。
玲於にアタックなんてもう、無理かもしれないのに…
真剣な目で私を見る亜嵐クン。
私の手を強く握って歩き出す。
私には、それしか聞こえなくて
頭を下げた。
1人にしてほしい。
今はそういう気持ち。
信号の点滅を待っている。
早く…
青にならないかな…
そう思った時。
目の前にマスクをした玲於が立っている。
その時に、目が合ってしまった。
会いたくない。
今だけは。
いつもとは違う道に走った。
まだ、青にならないで。
まだ、、
お願い…
しまった…
私、足くそ遅い…
あ ~ 、もう。
追いつかれた。
私の右手を掴んだ。
私は後ろを向いたまま振り向けなかった。
思わず、玲於を見てしまった。
なんで玲於にそんなこと言われなきゃいけないの。
私だって、好きでこんなに悩みたくないのに。
戸惑った玲於の顔は頭に焼き付いたまま。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!