第27話

# 26
3,082
2018/09/30 10:50
自分の職場に戻ってきたら亜嵐クンはもういて…
あなた

亜嵐クン…

白濱 亜嵐
どした!?
あなた

ほんとにいいの…?

白濱 亜嵐
何が?
あなた

私、全然玲於の事
諦めれてないんだけどさ…
これじゃ亜嵐クンが…

亜嵐クンが…
白濱 亜嵐
きて…
私の手を引っ張って部屋から出た。
あなた

亜嵐クン…!?

何も言わない。


ただ、強く強くてを引っ張られているだけ。
来た場所は空き部屋。
亜嵐クンがドアを閉めて私の方へ歩いてくる。
白濱 亜嵐
俺は、それでもいい。
あなたには笑顔に
なってもらおうって俺が考えた。
だから、俺と居る時は玲於のことなんか
忘れてさ、俺のことだけ考えて。
両手を握る。
あなた

そうしたい…

白濱 亜嵐
どうしたら俺を頭いっぱいにしてくれる?
あなた

わかんないけど…

すると、私の唇に亜嵐クンの唇が重なった。
初めてだった…
あなた

っ…!?

白濱 亜嵐
どう?
今、俺のことだけ頭に浮かんだ?
もちろんだよ…


そんなの。
あなた

うん…

そっか って笑って 行こ って手を繋いだ。
その時。


ドアが開いて
顔が見えないほどの大きなダンボールを持って


誰かが入ってきた。
白濱 亜嵐
大丈夫…ですか?
亜嵐クンがそう話しかけると


ダンボールを正面に顔だけ横向けた。
あなた

玲於…

玲於だった。
玲於は私達の空気を察したのか
佐野玲於
わり…
小声で言う。
私は咄嗟に手を離した。
佐野玲於
何で離すの。笑
苦笑いでそう言う。


だって…
あなた

いや…

佐野玲於
変なの。
ニコっと笑う玲於。


駄目だよ…


そんな顔されちゃ…
すると
白濱 亜嵐
俺、あなたチャンの事本気だよ?
そう玲於に言った。
佐野玲於
何で俺に言うの。
知ってるよ、本気なことぐらい。
亜嵐クンだから中途半端な事しないしね。
ダンボールの中身を触りながら


ちょっと笑ってて…
白濱 亜嵐
玲於は?
佐野玲於
は?
白濱 亜嵐
玲於は、あなたチャンの事好きなの?
それ聞かないで…


聞きたくない。


けど、心の端っこでちょっと期待心を…
佐野玲於
好きじゃない…
そう言った瞬間、目の奥から熱いものを感じた。
あなた

っ…

もう、嫌…


私、こんな気持ちになるなら玲於になんか


会わなきゃよかった。


高校も会社も違うところにして初めから


赤の他人だったらどれだけよかったか。
佐野玲於
何泣いてんの…
あなた

玲於のせいだから…

私は外に飛び出した。
白濱 亜嵐
あなたチャ…
亜嵐クンの私を呼ぶ声は消えて─────
非常階段に座り込んだ。
あなた

うぅっ……

好きじゃない


はっきりそう言われた。


何も言えない感覚。


でも、玲於さ私のこと


「嫌いじゃない」


って言ってくれたじゃん。


それって好きってことだと思ってた…


勘違いだったのか…


それを思い出す度にまた心臓は苦しくなる。
あなた

私だって…

玲於なんか…
あなた

大っ嫌い…!!!!

非常階段に響き渡る。
もうやだ…


玲於に会いたくない。


顔も見たくない。


声も聞きたくない。


噂話も聞きたくない。


全部…全部…。


嫌だ。
それから、結構泣いちゃって目も腫れた。
ちか からはめっちゃ心配されたけど


ただ、目にゴミ入って擦った。


って言った。
ちか
あなた ~ 。
今日、飲みに行く?
ちか …
あなた

行く…

ちか
行くわけないよ…
え!?
いいの!?
あなた

うん笑

口を開けて目も大きく開いて私みる。
ちか
やっと、行けるんだ!
あなた

今までごめんね?

ちか
ううん!?
行こいこ!
そう言って、今日7時に約束した。
ちか はちょっと今日寄るとこあるから


それから行くって。


だから


会社の入口を待ち合わせにした。
あなた

早く着いちゃった…?

腕時計を見ると


6時45分。


あと、15分もある…
あなた

ん ~ 。

最近、寒くなったし私今日薄着…


とことんついてない。
15分待つことにした。
佐野玲於
あなた…?
心臓がドクン…と鳴った。
1番聞きたくない声。
振り向くと…玲於。
あなた

なに…

佐野玲於
誰か待ってんの?
何この自然体。
あなた

友達…

佐野玲於
ふ ~ ん 。
あなた

なに。

佐野玲於
さっきはごめん。
なんか、普通に好きじゃないって言ったわ。
ごめん って軽く頭下げた。
あなた

別に…

佐野玲於
亜嵐クンと幸せにな。
意味わかんない。


なに、幸せに って。
あなた

どういう意味…

佐野玲於
なにが?
あなた

なに、幸せにって。

佐野玲於
何言ってそのままだけど。
あなた

幸せになんかなれない。
…が私の近くに居るから。

佐野玲於
何が?
あなた

私、玲於のこと好き。
玲於の事忘れられない。
だから玲於が近くにいる間は
亜嵐クンと幸せになんかなれない…!!!

あ…
佐野玲於
は…?
あなた

あ、あ…
ごめん、忘れて。

その場から逃げ出した。
ちか ごめん。


今日飲みに行けないや。


そうLINEしてパラパラ降る雨の中走った。
11月 29日。


人生壮大な失恋日。

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