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約束通り、教室で待っていると
どこか決心したような顔つきをした、シロが来た
でも、俺とシロが初めて会った時のように
口をパクパクするばかりで、なかなか声が出ない
シロは拳をギュッとにぎりしめ、
踏ん張って声を出そうとするが、出るのは嗚咽のような音のみ
時間だけが、刻一刻と過ぎていくだけだった
この不明な、対峙の時間に堪えられなかった俺は、
シロよりも先に声を出した
スクバを肩に、だらしなくかけ、
声を出さない少女との教室を出た
シロの啜り泣きが聞こえて、
「言い過ぎた」
って、いまさら思っても遅いよな
教室に戻って、謝ろうかとも考えたが
俺の無駄なプライドが許さなかった。
From.Strawberry moon🌃
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!