ジリリリリリリリ…
6:00A.M
カーテンの隙間から朝日が差し込む。
私は重い体を起こして仕事へ行く支度をする。
いつもと同じ。何も変わらない。
ただ、起きて、仕事行って、帰って、寝る。
その繰り返し。
唯一変わったといえば就職した時に独り暮らしを始めた事だ。
自炊なんて気が向いた時にしかしない。
実家から送られてくる仕送りでなんとかなるし。
そんなもんでしょ?
『行ってきます』
誰もいない部屋に挨拶をして私は家を出た。
…………………………………….....
珍しく早く仕事が終わった。
今日はいつもとは違う事がしたくて遠回りをして帰る事にした。
いつもとは違う道、違う風景。
たまにはいいかもな。
そんな事を思っていると、小さな可愛らしいカフェを見つけた。
普段なら寄らずに通り過ぎるけど、今日は寄ってみよう。
カランカラン…
「いらっしゃいませ」
そこにはちょっとチャラそうな店員さんがいた。
「今誰もいないんで、好きな席にどうぞ」
『はい、じゃあ、お言葉に甘えて…」
私は一人で真ん中に座るのは流石に出来ないので日の当たらない端っこに座った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!