黒く塗装された高級マンション
藍華は慣れた手つきでエントランスのキーロックを解除し、エレベーターで最上階へ向かう。
最上階に到達した藍華は一番奥にある部屋の前で立ち止まる。そして、またもや慣れた手つきでポケットの中から鍵を取り出し、カードキーでキーロックを解除した。
「お邪魔します」と呟いて中へ入る。
迷うこと無くある一室の扉を開ける。
そこには、気持ち良さそうに寝ている上司、
太宰治の姿があった。
堅苦しい程の敬語でそう云った藍華は身動ぎ1つしない太宰を見て、はぁ…。と溜め息をこぼす。
少し崩した言葉と、「太宰さん」呼びに変え、再び声をかける…も、太宰は寝返りを打って再び布団を深く被ってしまう。
藍華は太宰の寝台の前で屈み、
太宰の黒い蓬髪を撫でながら呟く。
すると、太宰さんは私の手を掴み、寝台の上に引きずり込んだ。
うん。一寸待って、これどう云う状況
私は唯、太宰さんを起こしに来ただけなのに
何故太宰さんの寝台の中に…?!
ってか、顔近い…
ふふっ…。と、笑った太宰さんはふと、真剣な表情で私を見つめた。
何時もより低いトーンで、耳元で囁かれた
頬を膨らませる太宰さん…
可愛いな、なんて思ってしまった
太宰さんが名案でも思いついた様な表情をする
…何となく厭な予感
゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。