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第21話

パーフェクトリア充様
 私と金剛地先輩は一言もしゃべらずに帰路についた。

 金剛地フーズ。十中八九、金剛地先輩のお父さんの会社だったんだろうけど、聞けないよなぁ。



 × × ×


 無言で電車に揺られて、ようやく最寄り駅についた。

 お昼時だけど遠征代がかさんだからまっすぐ帰るしかない。

 生徒会長主催の同好会なのに活動費用を貰えないってつらいね!
金剛地零哉
金剛地零哉
……一応お前を送っていく
早見悠香
早見悠香
えっ!あっ!はっ!……はい?(カナァ?)
 いろいろありすぎたおかげか、一周回ってまともになった語彙力。なんでこんな時に……。
金剛地零哉
金剛地零哉
いいか、俺は決して一人になるのが嫌とかではない。そう、お前という唯一の同胞を失うのが……
金剛地零哉
金剛地零哉
って!待て、早見!
 家にまでついてこられるのはちょっと気まずいので走り出した。

 だが納豆のごとき粘り強さの金剛地先輩を撒けるほど、私には体力がなかった。

 よりによって家の前で追いつかれた。どうしよう、これ。
金剛地零哉
金剛地零哉
何を逃げる必要があるのだ。お前の家にはご両親も妹君いもうとぎみもいるのだろう
金剛地零哉
金剛地零哉
そも俺にやましいところはない!
 あ、一応そういう思考も存在するんですね。脳の髄まで納豆かと思ってました。

 ……なんて現実逃避をしている場合ではない。ピンポンを押すのも家のカギを出すのも怖い。

 ほ、本当にどうすればいいの?
金剛地零哉
金剛地零哉
む、貴様徳武!今までどこに潜んでいたのだ!
 は?今なんて言いました?とくたけ?何のことカナ?
徳武伊織
徳武伊織
潜むも何も普通に学校に通っていましたよ
金剛地零哉
金剛地零哉
そういうことではない!なぜ納豆同好会に……
 何か言いあってるし、これチャンスじゃない?と思って鍵を鍵穴に刺した瞬間、勢いよくドアが開いて私は盛大におでこを打った。
早見悠香
早見悠香
っあー!痛いんだけど!
早見藤花
早見藤花
いおっちいらっしゃい!……と、そこのダサい人は?
 さすがナチュラルボーンハイパーリア充様は積極的でいらっしゃる。その前に私に謝るとかなしかよ。

 かわいいを寄せ集めるとこうなるって感じの顔をした妹、藤花とうか様のお出ましだ。

 同じ親から生まれてきたはずなのに、実はこの子だけ異世界転生してきたって言われても余裕で信じるほどハイスペック。

 おしゃれなのは当然のこと。コミュ強、文武両道で料理上手。中学校では人気者で、引く手あまたのスーパーアイドル。

 こいつに落とせない男は、大体いない。怖い。マジ怖い。
金剛地零哉
金剛地零哉
だ、ダサいだと!
早見藤花
早見藤花
ん~、でも顔はかっこいいねっ!あたしが服選んであげようか?
 スーパーリア充様は金剛地先輩の納豆サングラスを外しながら極上の笑顔で言う。大体の男はこういうのでコロッと落ちる。

 おぞましい。ナチュラルボーンリア充おぞましい。マジ悪夢。

 私がこんなのになれるわけないじゃん。無理ゲーじゃん。っていうか私に謝れ。まだ頭痛いんだぞ。
金剛地零哉
金剛地零哉
突然現れて何様のつもりだ!お前にだけはラフランス納豆はやらん!大豆をかじることすら許せん!お前の暦から節分を剥奪する!
 胸がすっとした。ありがとう金剛地先輩。あなたが大体の男じゃなくてよかったと思ったのは今日が初めてです!
早見藤花
早見藤花
え?何の話?納豆好きなの?おもしろ~い!
徳武伊織
徳武伊織
藤花ちゃん、呼んだ相手を放置すんのはどうなんだ
 あ、すっとしてる場合じゃなかった。気まずい関係の伊織がそこにいるんだった。

 いやでも、憎いとか言ってきたのあっちだし、私が縮こまる必要ないんじゃない?

 それに!伊織は藤花に呼ばれたみたいだし。
早見藤花
早見藤花
ごめ~ん、いおっちぃ~!あたしの部屋、行こ?
金剛地零哉
金剛地零哉
若い男女が部屋で二人きりとは!徳武!とことん見下げた男だ!
徳武伊織
徳武伊織
一緒に飯食って勉強見るだけですよ。なにスケベな妄想巡らせてんですか
金剛地零哉
金剛地零哉
破廉恥はお前だ徳武!
 はぁ、伊織が藤花の勉強を見る?今までの人生にそんなイベントありましたっけ?藤花が伊織に勉強教わる必要なんてあったっけ?

 っていうか藤花だけじゃなくて伊織も私に謝ってくれないカナ?