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第18話

問に解
早見悠香
早見悠香
カナァ……カナァ……(カナの部屋のソファになりたい)
金剛地零哉
金剛地零哉
納豆……納豆色のペンライトは……?
徳武伊織
徳武伊織
ありません
 だめだ、伊織以外まともな奴がいない。……伊織以外まともな奴がいない?

 私!私の方がまとも!……と言い張りたいけど言い張るための材料がない。カナァ……。
徳武伊織
徳武伊織
悠香、金剛地先輩、はぐれないでくれよ
 やめて!私の手まで引いて追い打ちやめてくれないカナ!



 × × ×



 家に帰った私は早速ネバッターに感想を書き込みまくった。カナ!カナ!カナ!カナ!

 そしてカナ、夏焼、奏というワードのミュートを外し、カナ推しさんたちの書き込みを検索しに行った。行った。けど見つからない。

 調べたらブロックされていた。……そういえば。
早見悠香
早見悠香
リア充始めますので今日でカナ推しもオタクも卒業します。さようなら
 私が1か月前にした最後の書き込み、これだった。

 ……カナァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!

 私のバカ!バカ!カナァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!



 × × ×



 自業自得とはいえオタ友を一気に失った悲しみを抱えて私は登校した。

 いつもの教室は私に関係ない話であふれている。
徳武伊織
徳武伊織
よっ、悠香!
 伊織がまい☆らいすの歌を歌っていないのがなおつらい。
早見悠香
早見悠香
歌って
徳武伊織
徳武伊織
は?
 完全に虚を突かれたといった表情で伊織が立ち止まった。

 クラスメイトが固まった。私も固まった。

 今、何考えた?何言った私?
徳武伊織
徳武伊織
……いいのか?
 伊織が神妙な面持ちになっている。いいのかもなにも普段から自分勝手に歌ってたくせに今更何を……。

 そして、なんで私は伊織にペンライトを向けているのカナ?
徳武伊織
徳武伊織
そうか。……本当に、いいんだな
 心底嬉しそうに笑って、伊織は口を大きく開いた。そのまま息を吸う。

 そして伊織は再び停止した。
徳武伊織
徳武伊織
いや待て、本当になんでだ?さっきから考えてるけどわからないんだよ
徳武伊織
徳武伊織
なんで今更ドルオタの俺を求めるんだ?ただのオタ友でよくね?
 人に聞かせる言葉ではなく、自分の考えをまとめるための独り言といった調子だ。

 わからないって感情だけが伝わってくる。

 その問いに明確な理由をつけて返答することはできないけれど、私は普段の伊織を求めている。
クラスメイトA
なんでくっつかないんだろ、あのバカップル
クラスメイトC
そういう話やめようよ!
クラスメイトB
何ムキになってんの?まさか……
クラスメイトC
そういうのやめて!
 クラスメイト達はいつもの調子を取り戻していく。

 自業自得だけれど、私の調子はいまだにすこぶる悪い。



 × × ×



 よりによって今日は金剛地先輩のバイトの時間が早いため、納豆同好会の活動はない。

 納豆同好会の活動がないことをこれほど残念に思ったことは初めてだと思う。
徳武伊織
徳武伊織
なぁ、俺をどう思う
 屋上。フェンスを背に。

 私は伊織にフェンスドンをキメられていた。めっちゃ顔近い。これオタ友の距離じゃない。

 死んじゃう!死んじゃう!助けてカナァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!