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第31話

やめてよ!学校修羅場
徳武伊織
徳武伊織
よっ、悠香
 教室での朝の挨拶。いつもより穏やかな声だ。

 私の心中は勿論穏やかではない。

 恥ずかしさから勢いよく机に顔を伏せる。鼻を強打した。……ちょっと涙出た。痛い。
金剛地零哉
金剛地零哉
早見、いるか!
 え?なんでこの教室で金剛地先輩の声がすんの?
クラスメイトA
うっわ!イケメン生徒会長!
クラスメイトB
眩しっ!直視できない~!
クラスメイトC
そうかな、私は徳武君の方が……
 そっか、金剛地先輩の本性はまだ一年生には知られてないんだ。

 このまま知られずに卒業できると良いなぁ、と他人事ながら思う。

 で、なんで教室にいるんです?
徳武伊織
徳武伊織
ここは一年生の教室ですよ金剛地先輩
 声から伊織のとげとげしい気持ちが伝わってくる。

 さすがに放っておくわけにはいかない。こんなところで何か起こったら三人仲良く痛手を負うことになるだろうし。

 ……涙が引っ込んだら顔を上げよう!
金剛地零哉
金剛地零哉
早見、今日こそ俺のプロポーズを受け入れてもらう!
 は?なんでこんなところでそんなこと言うカナ?

 クラス中にざわめきが溢れる。ダメだこれさっさと顔上げて事態を収拾した方が良い!
早見悠香
早見悠香
ひっ……人ちが……
 あっ、勇気が足りない。クラス中の視線が集まってる。

 ちょっと涙出るどころじゃない、ガチ泣きしそう。カナの気恥ずかしげな笑顔を思い出して耐えろ私。

 ……尊すぎて無理!!!
徳武伊織
徳武伊織
金剛地先輩、悠香を困らせないでください
 伊織、お前がそれを言うのか。

 って言う資格は私にないから黙っておく。……今喋ったら泣いちゃいそう。
金剛地零哉
金剛地零哉
困る?圧倒的な幸福が約束された契約を提示されて?
徳武伊織
徳武伊織
金剛地先輩、悠香にどんな話をしたんですか
 あっ、ダメだこれ。私が黙ってたら自動的に最悪な方向に話が進んでいくヤツだ。

 私は意を決して、魔法の叫びを解放した。
早見悠香
早見悠香
カナァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!
 全身に気合いと尊さと痛々しさがみなぎってゆく。

 クラス中が沈黙する。廊下から忙しない無数の足音が聞こえた。
早見悠香
早見悠香
あ、っあの、蚊が、蚊がいた、ん、です……
 苦しい言い訳をする。伊織と金剛地先輩が沈黙したから目的は達成された。

 された、けど。これ以上私を見つめないでください、クラスメイトの皆さん。



 × × ×



 昼休みに、伊織に呼び出されて屋上に向った。

 もうクラスにいられないから、抜け出す理由が出来たこと自体はありがたいんだけど。

徳武伊織
徳武伊織
プロポーズって、なんだ?
 本当になんなんだろうね。あの時の先輩、契約を迫る営業さんって感じだったし。
徳武伊織
徳武伊織
……答えられないことなのか
 答えられないっていうか、答えようがないっていうか。どう説明して良いかわからないっていうか。
徳武伊織
徳武伊織
……わかった、それについては金剛地先輩に直接聞く。けど
 えっ、そっちの方が絶対にヤバくなりそうじゃん。

 って思った瞬間唇にキスされた。……あ、あれ?
徳武伊織
徳武伊織
その前に、少しだけ勇気がほしい……ってだけ
 伊織が頬を赤く染めて、私から目をそらす。

 い、一番恥ずかしいの、私、なんだけど……?