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第24話

リア充様リターンズ
 我が家のダイニングキッチンには金剛地先輩自作の枝豆納豆を使ったふわふわ納豆オムライスを奪いあう伊織と金剛地先輩がいる。
金剛地零哉
金剛地零哉
徳武、これは俺が早見に頼んだものだ!譲れという前に新たな納豆を自作するくらいの誠意を見せろ!
徳武伊織
徳武伊織
あー。……悠香、もう一つ納豆オムライス作ってくれないか
徳武伊織
徳武伊織
米ぬかウォーター、もう一本やるからさ
 追い米ぬかウォーターされても私は伊織に納豆オムライスを作る気にはなれない。

 っていうか、まともに返事をする気にもなれない。

 私は伊織からの告白を拒絶して、伊織は藤花からの告白を拒絶した。

 ずっと目をそらしてきたけど、現状はこれだ。……。うやむやにした私も悪いけど、伊織も伊織だ。
金剛地零哉
金剛地零哉
フン、物品で釣るなど下賎げせんな人間がすることだ
 背後から金剛地先輩の美声がきこえる。おおう……。

 こんな状況なのに南風野智昭~ってなって、手元が狂いそうになる。納豆ぬめるね。

 いっそ藤花に戻ってきてもらいたい。金剛地先輩、藤花の扱い上手いし。……ん?上手いっけ?

 ダメだこれ、全部現実逃避だ。実際、この状況で藤花に戻ってこられたら修羅場不可避だし!
早見藤花
早見藤花
いおっち?おねえ?
 後ろ。具体的に言うとダイニングキッチンのドア越しに声が聞こえた。

 ……は?

 あの、本当になんで今帰ってきたんですか。あれから数十分しか経ってないんですけど。
早見藤花
早見藤花
……変なことしてごめんなさい
 あっ……。思いっきり涙声だ。
金剛地零哉
金剛地零哉
貴様、ただ謝ればすむと思っているのか!
 あ、もっとダメだこれ。金剛地先輩に任せたら藤花が追い詰められちゃう。

 あの子は頭は良いはずなのに会話してるとアホの子状態になるし、イラつくこともあるけど、性格が悪いわけじゃない。

 っていうか、基本的に私が藤花に勝手に劣等感抱いてるだけだし……。なんか、姉として情けないや。
早見悠香
早見悠香
しゅこ、少しだけ、その、えー、少しだけ、だまひぇ……
金剛地零哉
金剛地零哉
あのような破廉恥な女は捨て置いて皿洗いに集中しておけ!
早見悠香
早見悠香
……でぇやま、だまっ……
徳武伊織
徳武伊織
俺が言うのもなんですけど、先輩が口を出すべき場面じゃないですよ、ここは
 例によって口先の語彙力が死亡してるから間抜けだけど、せめて姉としての矜持きょうじは守りたい。

 なんで伊織は私のそういう気持ちだけはしっかりくみ取ってくれるんだろう。

 ……わかってるけど、わかりたくないっていうか、その、でも。

 伊織、少しだけ、ありがとう。
早見悠香
早見悠香
藤花、ちょっと待ってて、これ終わったらそっち行くから
 相手が金剛地先輩じゃなければ普通に言葉が出てくるのが本当に情けない。
早見藤花
早見藤花
おねえ、でも、その……
 私はフライパンの泡を洗い流して藤花のいる廊下に向う。
早見悠香
早見悠香
藤花に涙なんて似合わないよ
 コミュ力が足りなさすぎて、実の姉妹(のハズ)なのに、ベッタベタにベタなことしか言えない。

 藤花は私に背を向けて、膝を抱えて丸くなって肩を震わせている。
早見藤花
早見藤花
うっ……ふふふ、ふふっ……はっ
 え、笑ってんの?泣いてんの?

 血を分けた姉妹(のハズ)だし?さすがにそこは泣いてるって信じたいんだけど?
早見藤花
早見藤花
おねえ、あのさぁ……おねえって、バカだよね?
 藤花が低い声で囁く。

 え、あ、あの。藤花さんどうされました?頭でも打ったんですか?

 そうだと言って。……そうだと言って!