生徒会室に突入した私は伊織と金剛地先輩に睨まれて凍結しかけたが、気合いの叫びで打ち破る。
その程度の視線、今更だ!って心の中で格好つけておく。
黄色ペンラを金剛地先輩に向けたまま、伊織が叫ぶ。
気合いの叫びでおかしなことになってるけど、この人達も今更そんなことに突っ込まない。
私たち最初から似たもの同士だったのかも。……リア充になりたいなんてハナから無理だったんだな、理解。
茨城産藁納豆を伊織に向けたまま、金剛地先輩も叫ぶ。
うっ!良い声で放たれる美しい叫び!気絶しそうになるが私はすかさず吠える。
開き直ってやる。情けなくても何かに縋っても、私は私でいる!カナァ!
あいかわらずだっさい。最高にだっさい。
しかもかなり無責任に聞こえる。
それでも精一杯、そこそこある胸を張る。張ってやる。
愛しげに寂しげに、目を細めて伊織が言う。
出たな、ムードブレーカー。もとい俺様気質。
本当にびっくりするほどいつも人の話を聞いてませんね。
外見や声にやられて金剛地先輩とまともに話が出来なかった自分も悪いんですけど!
これもけじめだ。何が出てくるかわからなくて正直滅茶苦茶怖いけど、けじめだ。
あっ、そんな文化あったんですか。金剛地先輩のお母様、日本人っぽくない名前だったし、お母様の国での話かな?
なんか全校生徒とか魂とか、ばかでかい規模の発言がバンバン飛んでくるんですが。
……私、もしかして今日が命日なの?この世にさよならバイバイカナァ??
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!