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第23話

リア獣、退却
早見藤花
早見藤花
あたしね、ずっと好きだったんだよ……
徳武伊織
徳武伊織
まい☆らいすが?
早見藤花
早見藤花
なんでそんな話になるの?あたし、本気だよ
徳武伊織
徳武伊織
ドルオタに?
早見藤花
早見藤花
なんで!なんでそんなこと言うの!あたしは……
 よし、いいぞ伊織!そのままボケ倒せ!

 気がつけば私は壁のカナポスターに耳をくっつけて拳をぐっと握りしめていた。
金剛地零哉
金剛地零哉
おい早見!そんなはしたない行動をしている場合ではないだろう!
金剛地零哉
金剛地零哉
徳武がふしだらな行動をする前に止めに入るべきだろう!
 いや、これ多分そういう流れになんないでしょ。だって伊織だよ?

 伊織、だよ。

 ……屋上でフェンスドンをキメてきたのだって……。だって……。
早見悠香
早見悠香
カナァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!
 私は音速で隣の部屋に突撃した。恥?外聞?なにそれ美味しいの?

 ……隣の部屋に入って真っ先に目に入ったのは、シャツのボタンを外され床に押し倒された伊織の姿だった。

 押し倒してるのは、当然……。
早見藤花
早見藤花
おねえ!なんで入ってくるの!?
 ボロボロ泣いている藤花だった。

 って、なんで泣いてるの!?
早見悠香
早見悠香
えっ!ごごご、ごめんね!お邪魔しました!
 急に冷静になって、藤花の部屋のドアを閉じようとする。

 ごめんね藤花。お姉ちゃん金剛地先輩を連れてお外に出ておくべきだったよ……。
徳武伊織
徳武伊織
待てよ、悠香
早見悠香
早見悠香
憎い私がいたら邪魔でしょ?ってわけで失礼しま……
徳武伊織
徳武伊織
悠香、俺が憎いって言ったのは、その、あれで……
徳武伊織
徳武伊織
とにかく!米ぬかウォーターやるから待てって
早見藤花
早見藤花
いおっち……?
 ……わかってるよ。わかりきってるよ。あの時、伊織が本当は何を言いたかったのかなんて。

 でも私と伊織はどうなればいいの?わからないよ。

 伊織の気持ちにどう返事をすればいいのかわからないよ。
金剛地零哉
金剛地零哉
……な、なんと不埒な女だ!徳武、貴様も少しは抵抗しろ!
 そうこうしてるうちに私の口先の語彙力を奪う存在がやってきた。
早見藤花
早見藤花
……結局、おねえなんだ。私じゃなくて、おねえなんだ……
早見藤花
早見藤花
さよなら
 藤花はゆっくりと起き上がって部屋から出ていった。

 パステルカラーの家具や小物だらけの、いかにも女の子といった部屋に私たち三人が取り残された。
金剛地零哉
金剛地零哉
ところで早見、俺の納豆で昼食を作ってくれ
 金剛地先輩は何がどうしてこうなったかさっぱりわかっていないようだ。そりゃそうだ。



 × × ×



 私は悶々としながら、金剛地先輩のお腹で育った枝豆納豆を納豆オムライスにした。

 伊織からの米ぬかウォーターは洗顔にでも使おうと思う。

 金剛地先輩にもうちょっと恥じらいがあれば、学校での生活や同好会の活動もスムーズに行くんじゃないかな、とか今更思う。
徳武伊織
徳武伊織
あのさ、俺にも少し分けてくれないか……?
金剛地零哉
金剛地零哉
徳武、恥知らずにもほどがあるぞ。この俺に許しを請え
 結局そういう考えも、今目の前にある問題からの逃げでしかないんだよね。

 私、伊織にどういう対応すればいいんだろう?