本家からの命でぼくは今日から『花嵐』の子になることになった。
こんなん納得いく訳が無い。
今すぐにでも他の子供殺して僕が当主候補筆頭に上がってやる。
当主になれたらきっと、村に大手振って帰れるし、ぼくみたいに本家の都合で苦しまなあかん子やってみんな救えるようになる。
やから
懐にしまっておいた苦無をそっと握る。
ええとこの令嬢は自分ではドアを開けへん。
ドアが開いた瞬間に投げればきっと当たるはずや。
扉越しに聞こえる二つの足音。
片方は成人を幾許も過ぎた女 … 老人か?
もう一つはよくわかる。小さくて軽く、ヒール ? のついた上質な靴の音。こちらが目標だ。
足音が部屋の前で止まった。
獲物をもう一度しっかりながら見据える。
ふと、頬に汗が伝った。
扉が開く。
光が全て届く前に、真っ直ぐ心臓を狙って苦無を投げた。
指一本でそれを止めた天使が、そっと僕に笑いかけた












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。