カゲツが『花嵐』に来て2ヶ月ほどが経った。
その頃には随分家にも私にも慣れてくれたらしく、かつてと同じ愛らしい笑顔で微笑みかけてくれていた。
『花嵐』は妖術 … 東風に言うなら魔法が秀でた特別な家系だ。
だから幼少期から様々な術を叩き込まれる。
文字通り血反吐を吐く程のレッスンを行って。
突然謎の声を発したカゲツに驚いて、思わず尋ねる。
まだ、翳りの見えない翡翠の双眸。
これが闇の色に染まったのは彼が来てから約2年後。
もう、あまり時間がない。
カゲツと別れて部屋へ向かう。
花嵐は腐っても名家。
私が自由に使えるお金だって沢山ある。
けれど何に使ったかどれだけ隠してもバレる可能性が高い。
あの事件が起きないのがいいけど、もしその運命から逃げられないなら、最悪に備えて動くのが正解に決まっている。
事件が起きたら、きっとまた私はあの忌々しい呪いにかけられるのが明白だ。
そんなのはもうごめんよ。
いざ行かん、裏社会へ !!












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!