朝早く目が覚める。
大貴に会いたい。
話したい。
ただそれだけで、学校に行きたいって思えるようになる。
涼介のことはもう好きじゃないって思う。
それが本当かはまだ分からない。
大貴が好きってことも勘違いかもしれない。
もしかしたら、まだ涼介となずながいる所を見ると嫌になるかもしれない。
涙が出てくるかもしれない。
でも…私には大貴がいる。
頑張れる。
大丈夫。
きっと…。
少し考えているうちに学校に行く時間になった。
教室に入る。
隣の席は誰もいない。
大貴…まだ来てないんだ…
キーンコーンカーンコーン…
チャイムが鳴ったのに、まだ大貴は来ない。
休みなのかな…?
もしかして…何かあったのかな??
何かあったらどうしよう…
結局、1時間目が終わっても来なかった。
もう来ないんだ…
そして2時間目。
授業が始まる。
大貴がいないと、隣がすごい寂しくて、静かで。
ガラララララっ…
ドアを思いきり開ける音。
振り向くと大貴がいた。
先生は笑いながら
「次は気をつけろ」
なんて。
それよりも、来たことが嬉しくて…。
やっぱり大貴がいれば楽しいって思える。
友達なんだからって…
大貴だから心配してるんだよ…。
ずっと。
この関係が続けばいいなぁ…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!