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第1話

目 覚 め 。
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2018/03/21 04:32
「きみのこと…愛してるよ。」


ぼんやりとした意識の中で誰かが囁く。


この声は…?


ぽかぽかとした陽だまりの中、私はうっすらと目を開ける。


「あっ……目、覚めたんだね。」


先程と同じ声が聞こえる。
声の主は太陽の光を浴びながら傍らに座る男性。
その男性はこちらに優しく微笑んでいた。


けれど…


「………あなたは…?」


私はその男性には覚えが無かった。
その言葉に男性はショックを受けたのか、少し目を見開いたあとに俯いた。


「あ…ごめん、そうだよね。
ボクは上村颯(ウエムラ ハヤテ)。
目覚めてすぐにボクがいても困惑しちゃうよね…」


その切なそうな言い方に、こちらも切なくなる。
そして…失ったモノの大きさに気がつく。


「ごめんなさい…私…。」

「いや、綾乃は悪くないよ。
キミは…悪くない。」


上村さんは、私のことを綾乃と呼んだ。
そう。私の名前は成瀬綾乃(ナルセ アヤノ)。


やっぱり彼は私を知っているんだ。


「上村さん。なぜ私がここにいるか…ご存知ですか…?」


彼はまた切なそうな顔をして

「綾乃は何者かに襲われたんだよ…。
夜道で後から頭を殴られて…ね」

それを言われてやっと気がつく。
頭に巻かれた包帯に。

人の体は面白いもので、気がついて初めて痛みを覚えた。


「……っ」

「あ…っ、…大丈夫!? …無理しないで」


痛みに耐えていると、すぐに彼は対応してくれた。

彼の優しさは信用出来る気がした。

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