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第4話

神様の使い
サァァァアアアアアーーーーーーー・・・・・





部屋にある唯一の窓から入ってきた
緩やかな風が、桃香の頬を撫でる。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
(・・・気持ちいいな…)




・・・時は、真冬の深夜。



普通であれば風の冷たさに凍えるはずである。





しかも今の桃香が着ている服は薄く、
粗末で、血で薄汚れたものだった。



決して、「気持ちいい」と言える
格好はしていなかったのにーーーーーー
桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・♪



・・・いや・・・彼女が「気持ちいい」と
言ったのはーーー・・・













・・・・・・・きっと、ずっとずっと
言いたかったことを、言えたからなのだろう。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・・・・・ふふっ…
ーーーーーーーーーその事実に
小さく、だが満足げに笑みをこぼす桃香。

はたから見れば、異様な光景だろう。



狭く、ほとんど何もない監禁部屋のような場所で
唯一ある窓から、白髪と赤目の少女が月を
仰ぎ見ているのだ。






しかもその少女はーーー血だらけになりながらも、小さな笑みを浮かべて・・・









己の最後を薄々感じ取ったからなのであろうか。
今の桃香の心は、今までで、一番晴れやかだった。


・・・心残りがあるとすれば
それは、夢の中に度々出てきた女の人だろう。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・名前くらい、知りたかったなぁ…
物心ついた時には、もうこの部屋に入れられていた。




だから、その女の人に会ったことも
ないはずなのに・・・と、桃香は思う。
名前も知らない、誰かも分からない・・・
桃香(幼少)
桃香(幼少)
(ーーーーーでも。。。)






自分と同じ、雪のような白い髪でーーーーーー

自分と同じ、ルビーのような赤い瞳でーーーーーー





・・・嬉しかった。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
(まるで、お母さんみたいでーーー)








・・・安心した。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
(まるで、友達みたいでーーー)


















・・・・・・・・幸せだった。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
(・・・・・・いつも、
心の支えになってくれて…)


















・・・・・・






























桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーーーありがとうーーー・・・






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








・・・・・・




ーーーーーーガァンッ・・・!!!
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーーー・・・!!!
後ろから、重いドアを蹴ったような音。











・・・振り向かなくても分かる。



ーーーーーーあの、男だ。


親代わりの人
親代わりの人
ーーーーーーて、やる…
殺して、やる・・・・・・・!!!!
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーーーひ…




・・・あまりの、その男の剣幕に、
悲鳴のようなものが出かかった。





それもそうだろう、男の目は真っ赤に血走り、
顔はまるで鬼のような形相になっていたのだ…
さっき、立て続けに桃香を殴っていたため
赤い血で染まった手にはーーーーーー・・・





刃渡りが20cmくらいはある・・・長い・・・

大きな、大きな、包丁が、握られてーーーーー
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーーっ?!


ーーーーーー思わず後ずさる桃香。

しかし、もう遅い。
親代わりの人
親代わりの人
ふ、ふふ・・・あは、ははは、
あはははははーーーーーーっ!!!
男は狂ったように嗤い、奇声を上げながら
こちらのほうに、走って、来てーーーーーー
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーひっ・・・!!!
親代わりの人
親代わりの人
死、ねぇぇえええーーーーーー!!!


男が、血で濡れた手持った包丁は、そのまま大きく・・・

















































その時だった。





































ーーーーーーーガギィィイインッ・・・!!!!













・・・・・桃香の耳に、
金属どうしが擦れたような音が響いたーーーーーー












ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー














ーーーーーー桃香には、時が、
スローモーションのようになって見えていた。





さらに。

目の前に映像のようなものが高速で
ちらつき、現れては消え、消えては現れる。









ーーーーーー走馬灯だ。








「ーーー気持ち悪ぃ目の色だ」
「ジジィババァみたいな髪しやがって・・・」
「くそが!うぜぇんだよ!!」
「てめぇなんざ、死んじまえ!!」
「そんな目で俺を見るんじゃねぇ!!!」
「・・・て、やる、殺して、やる・・・!!」




ーーー男から日々言われていた言葉が、脳裏に蘇る。



桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーーー





・・・今だからこそ、反論しようとしても。








口は、上手く動かない。









かひゅ、と息を飲んだだけだった。


























ーーーーーーーーーやがて。




走馬灯も終わりを迎える。








永遠にも一瞬にも思えたその時間は、くしくも
男が桃香に言った、あの言葉で最後なのだったーーー

































『・・・なぁ?ーーーーーー“ア・ル・ビ・ノ”…』








































わたし、は・・・




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー














親代わりの人
親代わりの人
死、ねぇぇえええーーーーーー!!!





ーーーーーー走馬灯は終わりを迎えてしまった…







そのことを悟った桃香に迫るのは、
大きく振りかぶられた包丁でーーーーーー
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーーーひ・・・っ!!!






・・・桃香は、絶望する。

自分の最後が、こんな男に殺されてしまうだなんて。





覚悟なんて、できたとしても結局は無意味だ。




死ぬことへの恐怖。

それが消えるわけでは、ないーーーーーー










































男が大きく振り下ろす包丁のその切っ先の
向こうには、私がいてーーーーーー・・・・






























桃香は全てを、諦めた。








この男を、今生を、この世を。















ーーーーーー全てを、諦めた。













そして。


























・・・・・・・





































ーーーーーーガギィィイインッ・・・!!!!






・・・シャラン…








桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーーー?!
己の耳に響いてきたのは、自分の最後の悲鳴など
ではなく、金属どうしが擦れたような音だった。




恐怖で固く閉じていた瞼を
おそるおそる、開けてみるとーーーーーー・・・





























桃香(幼少)
桃香(幼少)
(・・・・・・・・しろ・・・)






目の前が、真っ白に染まっていた。





・・・いや・・・これはーーーーーー

























ーーーーーー白い和服、白装束の、しろーーー・・・









???
???
ーーーーーー・・・






そこには、真っ白の、お狐様がいたのだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

















助かった。


ーーーそのことだけは、状況があまり
分からない頭でもよく分かった。
親代わりの人
親代わりの人
ーーーーーーなっ、なんだテメェ?!
親代わりの男は勿論驚き、慌てて離れた。








ーーーーーーいや…それよりも。
???
???
・・・
私を・・・助けてくれた…ひ、人?
ーーーーーーを、見上げてみる。




・・・まるで歌舞伎か能の舞台から、
出てきたようだーーーそれが、第一印象だった。



まず目についたのは、歌舞伎などで見たことの
ありそうな、長い髪だ。


しかも色は、私の髪と同じような真っ白。



さらに、身につけている服は和服・・・

その中でも“白装束”と言われるものだった。




ーーーだからといって、江戸時代、侍が
腹切りをするとき、着ていそうなものではない。
上は普通の着物だ。

下は侍が着ていたような袴ではなく、
忍者が着ているような動きやすいものだ。




さらにーーー手には修行僧が持っていそうな、錫杖。
銀色に輝く錫杖が、握られていた。

おそらくそれで刃物を受け止めたのだろう。



それに・・・
桃香(幼少)
桃香(幼少)
(きつねの・・・お面?)





・・・そう。助けてくれたその人は、
なぜか、狐のお面をつけていたのだ。



それに、狐の尻尾も。
親代わりの人
親代わりの人
お…おい、お前!
いきなり入って来やがるなんて…

ーーーふ、不法侵入で訴えるぞ?!



不法侵入。



確かに、普通に考えればそうだ。


だが・・・今の状況を他の人が見たとしても、
その発言はおかしなものであることが
分かるだろう。



中からはあまり分からないが…おそらく頑丈な
コンクリートづくりの建物に、一人の男と少女。
男は血に濡れた手で刃物を持ち、そのそばには
顔が血だらけの少女ーーー私がいるのだ。
家に入ってこんな状況だったら、
不法侵入で訴えられるどころではない。

むしろ、男を訴えるべきだ。




ーーーーーーそんな、男はというとーーー
親代わりの人
親代わりの人
おい、なんか言いやがれ!
そんな変な格好しやがって…
本当に、何なんだよお前!?
???
???
・・・・・


何も言わず静かに佇むーーー


あ、名前分からないや・・・
何て言えばいいんだろう…お狐様?




ーーーーーーそのお狐様は、私を背に…男から
守るように、真っ直ぐ前を向いて立っていた。



男は、そんなお狐様の行動に怒りを覚えたようだ。
親代わりの人
親代わりの人
おい、てめぇ!聞いてんのか?!










ーーーーーーシャラン…


窓から入ってきた強めの風が、錫杖の輪を揺らす。

???
???
・・・


お狐様は答えない。


私の前から動くこともなく、
静かに佇んでいるだけだ。
親代わりの人
親代わりの人
くっ・・・どきやがれ!!
ーーーーーーギラリ。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーっ!!
怒りが頂点に達したのか、男はついに
お狐様にまで包丁を向けた。
???
???
・・・
桃香(幼少)
桃香(幼少)
(いやだ・・・!
私の…私のせいで、他の人まで
巻き込んでしまうなんて…!)
お狐様は、それでも動じない。
私は、別に死んでしまったとしてもいいのだ。
ーーーーーー私の…私の人生で、責任なのだから。




でも…他の人には、その人の人生がある。



私なんかのせいでその人生を
失くしてほしくはないーーーーーー

親代わりの人
親代わりの人
どきやがれぇぇぇぇぇーーー!!!
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーー!!!
男がいきなり、お狐様に向かって
包丁を振り回しながら走ってきたのだ。
???
???
・・・
動かないお狐様に、包丁の鋭い切っ先が迫る。
親代わりの人
親代わりの人
ーーーうおぉぉぉぉっ!!!!
そして勢いのままに、降りおろされーーー






ーーーーーーガキィンッ…!!
ーーーなかった。

桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・っは…
ポカンと、してしまう私。
???
???
・・・・・・
お狐様は最小限の動きで包丁をかわし、
私がいる方向とは違う、離れた方へはじいたのだ。




思わず息を止めてしまっていた・・・


いや、お狐様が突然助けに来てくれたことに
驚いた私は、口を手で押さえていただけなのだが。
そんなことを考えている間に、
お狐様は反撃に出ていた。





持っていた包丁を弾かれたため、体勢を崩した男の
後ろに素早く周り、腕を捻り上げる。
親代わりの人
親代わりの人
ーーーっぐぁぁっ?!




ーーーーーーこれまでが、あっという間だった。


実際の時間としては5秒もない。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーーーっ・・・ほ…
安心したからか、ほっと息をつく私。

桃香(幼少)
桃香(幼少)
(よ、良かった・・・)


しかし、男は諦めていなかった。



お狐様に背後を取られたことが悔しかった
のか、顔を真っ赤にして暴れていたのだ。
親代わりの人
親代わりの人
くそ、くそくそくそっ・・・!!
おい、てめぇっ!離せやコラァ!
???
???
・・・・・




だが、お狐様はじたばたと暴れている
男をものともせず、押さえつける。




そして、、、



ーーーーーートッ…
親代わりの人
親代わりの人
ぐ、ぁ…
桃香(幼少)
桃香(幼少)
な・・・


しゅ、手刀で気絶させた・・・?!
桃香(幼少)
桃香(幼少)
(す、すごい・・・)




狐のお面といい、普通の人ではありえないさっきの
今の技といい…何者なんだろう、このひと…


???
???
・・・
倒れた男を寝かせると、
お狐様は私の方へ近づいてきた。



・・・なっ…何をされるんだろう・・・?
桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・っ




すると…お狐様は、座り込んでいる
私の頭に手を伸ばしーーーーーー





桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーーーえっ・・・?あ、あの…?


私の頭を、わしゃわしゃと撫でたのだ。






そして・・・


???
???
ーーーーーーお前の髪や、瞳は美しい
???
???
胸を張って生きろ、少女…




・・・まだ成人していない若い男の人の声。


だが、聞いていて落ち着く凛とした
優しい声が、私の耳に届いたのだーーー




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




???
???
・・・



そう言い終わると、私から離れ
窓の方へ帰っていくお狐様。






だが・・・






なぜだろう、離れたくないーーー
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーーーま、待って!
???
???
・・・!






・・・私は、気づいた時には、傷が痛む身体を
引きずりながらお狐様の服を掴んでいた。

桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・い、行っちゃうの・・・?・・・

独りになりたくない。


離れたくない。


この人の側にいたい。





ーーーそんな一心で言った言葉は、
夜の静けさにサアッ…と、飲まれていく。




???
???
・・・・・・・・・・
・・・・・・お狐様は、答えない。



私に背を向けたまま、黙っている・・・


桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・独りに、しないで…

呟くように小さな声も、
静かな夜の闇に飲まれていくーーーーーー













???
???
・・・




ーーーゆっくりと、お狐様が私の方へ顔を向ける。


横からしか見えていなかった狐面が月の光に
照らされ、はっきりと目に見えた。
ピンと尖った三角の狐耳。
つり上がった細い狐目。
長く、黒い鼻。
引き結んだ口元・・・



目元には、雫のような形の紅い模様が描かれていた。
ーーーまるで、血の涙を流しているかのように・・・
桃香(幼少)
桃香(幼少)
(・・・・・あ、れ・・・?・・・)





その狐面の模様を見た瞬間、頭の中で
映像が流されるように、”何か”を僅かに思いだした。



なにか…懐か、しいようなーーーーーー












ーーーそう、思ったが…やはり思い出せない。。。



・・・それからハッと我に返った時、
桃香に、異変が起きた。

桃香(幼少)
桃香(幼少)
(な、なに…これ・・・・)


頭が、くらくらとして気持ちが悪い。


私はお狐様から目を反らし、
服を掴んだまま倒れこんでしまった。
???
???
ーーーーーー!?



倒れこんでしまった私を、
優しく支えてくれるお狐様。



桃香(幼少)
桃香(幼少)
おきつね、さま・・・
桃香(幼少)
桃香(幼少)
わたし、も・・・・
ついて行っちゃ、ダメ、ですか・・・?
???
???
・・・・・・・
お狐様のその動きが、ピタリ…と止まる。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
あ・・・

・・・それだけで、分かってしまう。

桃香(幼少)
桃香(幼少)
やっぱり、何でもない、です・・・



ふいっ、と顔を俯けてしまう。





ダメ、だよね・・・・やっぱり・・・



???
???
ーーーーーーー・・・・








ーーーーーーカサ。



桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・?


紙のこすれる音に、俯けていた顔を上げる私。


???
???
・・・




お狐様を見ると、一枚の小さな紙を
私に差し出していた。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
これは・・・・?
おずおずと受け取り、
四つ折りになっているそれを開いてみると
日本画に似た絵が、描かれていた。








・・・一匹の、狐の絵だった。



尻尾は九つに分かれており、
その狐は炎を吐いている。


???
???
ーーーーーーお守りだ


お狐様の方を見ると、いつの間にか
移動したのか、窓のふちに座っていた。



目をぱちくりとさせる私。

桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・え、あ、ありがとう・・・っ!






ーーーーーー嬉しかった。



名前さえ知らない人からもらったのに、
すごく・・・すごく、嬉しかった。

桃香(幼少)
桃香(幼少)
(何でだろう、すごく嬉しい・・・!)






そう、名前さえーーーーーー・・・
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーーーあっ・・・!



私の笑った顔を確認したかのように
頷いたお狐様が背を背け、立ち上がったのだ。


ーーーーーー帰って、しまう・・・!
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーあっ、あの!
???
???
・・・?

振り返るお狐様。


桃香(幼少)
桃香(幼少)
あの・・・あ、あなたの名前は・・・?

そう・・・名前を、まだ聞いていなかったのだ。
???
???
・・・・・


私は、耳を澄ますことに集中する。










ーーー聞き間違えることのないように。


聞き逃すことのないように。















後悔しないようにーーーーーー

???
???
ーーーーーー・・・







ほんの少しの間、お狐様はただ静かに…
私を、見下ろしていた。






私もお狐様を見つめ返す。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・・・




・・・狐面の奥。

ーーーーーーふと、縦に開いた獣の瞳孔が見えた。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
(・・・・・っ!?)



ーーーーーー赤い・・・瞳だったのだ。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
(私と・・・同じ…?!)
私は驚きつつも、納得する。


お狐様は、着ている服や髪も、真っ白だ。



私の、ように…アルビノの、ように。







・・・と、いうことは。
瞳が赤くても、なんら不思議ではない。



ーーーーーーその時、お狐様が私に背を向けた。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
あっ・・・!



ーーー行ってしまう。



ーーー離れたくない。



ーーー名前を、知りたい…






様々な思いが渦巻く中
お狐様の発した言葉で、我に返る。
???
???
・・・・・・・・・・シロだ
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーーーえ…?


目を見開いて、驚く私。





・・・お狐様は被っていた仮面を、
少しだけ上に上げた。


口元だけが、かろうじて見える。
???
???
・・・元気で


シャラン…









最後に響いたのは、鈴の音にも似た
金属どうしが擦れた音だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






ーーーそう、言い残したお狐様は、フッ・・・と
まるで幻だったように、いなくなってしまった。

桃香(幼少)
桃香(幼少)
あっ・・・・










静寂が、場に満ちる。




































桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・シ、ロ・・・ーーーーーー
ぽつりと呟いた言葉は、あの人の名。


それは、助けてくれた人の名で…私と、
同じーーーーーー・・・








ーーーーーーガタン!・・・
その時、遠くから音がした。




あの男のせいで、ついてしまったのだろう・・・
反射的に身体がビクッ…!と震える。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
な、なに・・・?…



男はこの部屋のドアのすぐ側に倒れている。


まだ、気絶したままだ。





さらに。

足元が聞こえ始め、
その音はだんだんと大きくなってくる。










ーーーーーードタドタドタドタドタ…



ーーーーーードタドタドタドタドタドタドターーー






こっちに・・・私がいる方に、来ているようだ。

しかも、複数人。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・だ、だれーーー


ーーーーーーガタッ!

???
ーーーーーーいたぞ!



その言葉が入ってきた男から発された途端、
開けっ放しにされていたドアから5~6人の
青系の服を着た男性たちが、次々に入ってきた。
ーーーーーー警察だ。

警察
警察
1時17分!容疑者確保しました!
警察
警察
よし、他にも誰かいないか探せ!
警察
警察
「「「はいっ!」」」


目まぐるしくやり取りが交わされていく目の前。
警察
警察
大丈夫かい?
・・・いや、怖かったよね

ーーーでも、君を傷つける人は
もういなくなったから安心してね!

突然のことに呆けていた私に、
優しそうなタレ目の警察官が話しかけてきた。

深くて落ち着いた声は、無意識に身構えていた私を
安心させようとしていることが分かる。

桃香(幼少)
桃香(幼少)
は、はい・・・
警察
警察
もう大丈夫だからね…
ーーーっと、君、怪我をしているね

顔が血で汚れていることに気がついたのだろう。



その警察官は、急ぎ足で暫くどこかに行っていたと
思うと、薬箱を持った女の人と共に戻ってきた。



女の人
女の人
今から、応急処置・・・えっと…痛い
ところを痛くなくするからね


その女の人も警察官のようだ、同じ服を着ている。


女の人
女の人
痛いところ、教えてくれるかな?
桃香(幼少)
桃香(幼少)
あ、はい…
ニコッ、と笑いかけてくるのは
やはり私を、安心させるためなのだろう。





ちょっと触るね、と言って
傷を手早く消毒し、応急処置を施していく女の人。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
(警察官の人・・・初めて見たけど…

すごい、こんなことまで出来るんだ)



今まで監禁されていたので、警察官というものを
知ってはいたが初めて見る桃香。



ちなみにその情報源は、
この部屋に元からあった本である。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
(ーーーーーーあ・・・)
何かに気づく桃香。





ーーー処置をしていく女の人の向こうに、
目を覚まし暴れ出した親代わりの男がいたのだ。



手錠をかけられた男は、屈強な警察官たちに
抑えられ、連れていかれるのが見えた。
親代わりの人
親代わりの人
ーーーっくそ・・・!!!・・・
ギリリと歯ぎしりをし、桃香を睨み付けながらーーー


憎悪のこもった視線を向けられ、
体をすくませる桃香。
そんな桃香を気遣ってか、
優しく声をかけてくる女の人。
女の人
女の人
大丈夫よ・・・もう貴方が
痛い思いをすることはないわ
桃香(幼少)
桃香(幼少)
は、はい
女の人
女の人
ーーーーーーよし、終わったわ…

でも、あくまでも応急処置だから
骨折は治せないの・・・ごめんなさいね
申し訳なさそうに言ってくる女の人。


当たり前のことを言われ「?」を浮かべた
私だったが、あることに気づき、納得した。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
(さっきからも感じてた違和感・・・

そういえば、この人たちは私が
色々なことを知ってたりする
ことは知らないんだっけ…)




今まで監禁されていた桃香。


この人たちは、
そんな「今まで監禁されていた少女」にも
分かるように接してくれていたのだ。


桃香(幼少)
桃香(幼少)
(・・・なんか、申し訳ないなぁ…)
自分でも何でなのか分からないけど、
色々と理解はできるのに・・・


「そう」思われているせいで、実年齢より
小さい子どもに教えるように接されるのはなんかね…
と、複雑な心境の桃香。

警察
警察
ーーーちょっと、いいかな?お嬢ちゃん
モヤモヤとそんなことを考えていると、
今度は別の警察官が話しかけてきた。


なんだか・・・話し方からして、偉い人なのかな?
女の人
女の人
ちょっと、先輩!この子が
怖がってるじゃないですか!
威圧しないでください。。。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
警察
警察
うぐ・・・す、すまん…

女の人に注意されて、
しょんぼりとしてしまった警察官の人。


とりあえず、その人がやっぱり
立場が一番偉い人だったみたい。

見た目は中年で、先輩って言われてたし。



・・・見えないけど。
警察
警察
こほん。。。
警察
警察
えっと・・・お嬢ちゃんの
お名前を教えてくれる?
桃香(幼少)
桃香(幼少)
と、桃香・・・
桃の香りって書きます…
警察
警察
ふむふむ。・・・じゃあ、
桃香ちゃんはいくつかな?分かる?
桃香(幼少)
桃香(幼少)
多分、11か12です…
警察
警察
ふむふむ。じゃあーーーーーー





・・・そんな感じで、いくつかの質問をされていく。
警察
警察
ふむふむ・・・じゃあ、
これが最後の質問だ。

ーーー君は、どうして助かったの?
桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・えっ?









・・・「どうして」って、どういうこと?



警察
警察
俺たちがここに来たのは、
ここをたまたま通りかかった人が
通報してくれたからなんだ。

「家の中から男性の怒声が
聞こえてくる」「こんな夜中に、
尋常じゃないくらいに叫んでいる」
「独り暮らしのはずなのにおかしい」

・・・ってな。
淡々と説明していく警察官の人。



私…それよりも、隣でその人のことを
睨んでいる女の人の方が気になるんだけど…
警察
警察
それで来たら、家の前に
こんなものが落ちていてなーーー

そう言って警察官の人が取り出したのは、
私も見覚えのある紙だった。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
あっ…
警察
警察
ん?
桃香(幼少)
桃香(幼少)
これ・・・

握りしめていた一枚の紙を広げて見せる。


お狐様がくれた、あの紙だ。
警察
警察
ーーーーーーやっぱり、か
警察官の人が見せてきたのは、
私がもらった紙と全く同じものだったのだ。
警察
警察
ここに、狐のお面を被った人が
誰か来なかったか?
桃香(幼少)
桃香(幼少)
! き、来ました!
桃香(幼少)
桃香(幼少)
私が殺されそうになってた
ところを助けてくれて・・・
警察
警察
何、殺されそうになった?あの男にか…
一瞬驚いた顔をした警察官の人。

それから苛立ったように額に青筋を立てると、
取り出したメモ帳に今私が言ったことを
さらさらと書いていく。
警察
警察
殺人未遂か・・・
災難だったな、お嬢ちゃん
桃香(幼少)
桃香(幼少)
あ、あの・・・
警察
警察
ん?
桃香(幼少)
桃香(幼少)
狐のお面を被っていた
あの人って、一体何者なんですか?
普通に考えれば、助けてくれたお狐様って?とか
聞いたりしないのかな・・・?


そう尋ねると、警察官の人は
うーん・・・と考えてこんでしまった。
警察
警察
それは・・・あー・・・
俺にも分からねぇなぁ…
警察
警察
ーーーただ、これだけは言えるな。

あの狐さんはな・・・
「神様の使い」なんだよ
急に真面目な顔をして話し出した警察官。


冗談、なんてことはなさそうだーーー
桃香(幼少)
桃香(幼少)
神様のーーーーーー使い?
警察
警察
あぁ…
警察
警察
昔から…危ないことや
悪いことが起きたりすると、
気まぐれに現れて、助けてくれるのさ
警察
警察
そういう存在だよ・・・あいつらは


うんうん、と頷く警察官は嬉しそうにも見えた。

警察
警察
実は俺も、ガキの頃に
助けられたことがあってなぁ…

いやぁ、かっこよかったぜ!
桃香(幼少)
桃香(幼少)
へぇ、そうなんですか?


それで俺も警察官になったりしてな、と
笑う警察官の人の話を聞いていると
色々なことが分かった。



この警察官の人は、お狐様が
特に現れる地域の生まれなんだそう。
警察
警察
・・・しかし、変だな…?

ここからはだいぶ、
離れてるはずなんだが…


ハテナを浮かべる警察官。


そこで、若い警察官が
話していた警察官に報告しに来た。
警察
警察
ーーーーーー失礼します!
警察
警察
容疑者、海原和久の
素性が分かりました!

へえ、そんな名前だったんだ…あの男。
警察
警察
おう、分かった!

ーーーすまんなお嬢ちゃん、
また話してやるから…後でな!
桃香(幼少)
桃香(幼少)
はい!
申し訳なさそうに言った警察官に、
笑顔で頷く桃香。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーーーよぉし…!












・・・去っていく警察官たちの姿を見送りながら、
桃香は、ある決意をしていた。





桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーまた、お狐様に会おう・・・!




何もできなかった私だけど、
お狐様に恩返しがしたい。





私と同じ、髪が白くて瞳が赤い、あのお狐様に。
















・・・それにーーーーーー









桃香(幼少)
桃香(幼少)
(お礼・・・次に
会ったら、絶対に言うんだ!)


私は、助けてもらったのに
お礼の一つもしていなかったのだ。






























ーーーーーーだから。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
待っててね、お狐様ーーー






ーーーーーー絶対に、会いにいくから。



































この日から私は、「白」という色が大好きになった。




『アルビノ』という、言葉と共にーーー・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー










作者
作者
はいはいどーも!作者でっす🌟
(↑テンション解禁ww)
作者
作者
いやー、長くなってますね(笑)_(^^;)ゞ
作者
作者
しかもついに、疾駆していた獣こと
アルビノお狐様が登場でございます!
ヘ(≧▽≦ヘ)♪イエーイ!
作者
作者
さ・ら・に!
作者
作者
私が投稿していなかったうちに、
デイリーなんちゃらがなんと
ひゃくさんじゅう…いち、位?

に、なっておりました!

あざっす!(*T^T)
作者
作者
さて!次のお話ですが…
桃香(幼少)
桃香(幼少)
私、高校二年生になってます!
(⚠️今回の話では11~12歳)
作者
作者
おや
桃香(幼少)
桃香(幼少)
お気に入り・❤・フォロー
コメントなどなど、よろしくね!
ヾ(≧∀≦*)ノ〃
作者
作者
よろしくね!(←便乗)
作者
作者
って、ことで・・・皆さん、
作者
作者
See you again🌟