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第3話

その獣、疾駆。
ーーーその日は特に、寒い冬の日だった。





フローリングの固く冷たい床から起きてすぐ、
カーテンも閉めていた唯一の窓が白くなって
いることに気づいた。

そして、僅かな光も。




一枚の薄い毛布から抜けだし、自分の背より
高い位置にある窓のカーテンを開ける。



・・・部屋に置いてある長い棒で。

手をのばしてもカーテンにかすりもしないから
当たり前といえば当たり前なんだけど。。。





カーテンを開けると、夜だった。


光は、月明かりが差し込んできていたようだ。





窓を開ける。


星が、月が、綺麗に見える。























ーーーーーー・・・・・・・・・



















満天の星空は、私が許された唯一の楽しみ。









真夜中なのだろう、耳をすませても
虫の鳴いているのしか聞こえてこない。



ーーーーーーそんな感じのことを考えながら、
体をゆっくりと動かす。
















そして、また自分を見つめる。


そんな一日が、私の一日。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



         トウカ
ーーー私の名前は、桃香。


名字は知らない。親も見たことなんてない。




今、自分が何歳なのかも分からない。



学校になんて、行ったことない。

それどころか、あの男以外の人を見たことがない。








そして、この部屋から出たことも。













ーーーーーーそれは私が、今の今まで
監禁されているからに違いなかった。




私がいる部屋には小さな机と大きな本棚、一枚の薄い毛布、壁で隔てられたトイレ、そして窓を開け閉め
する長い棒しかない。


・・・これが自分の部屋だったらまだマシだが、
部屋の外側には大きな南京錠がかけられている。


これを監禁と言わずしてなんと言うのか・・・






・・・監禁されていることに
なぜ気づけたのかは分からない。





普通であれば、監禁されていることを受け入れ、
この状況に疑問すら抱かなくなるはずなのだがーーー


いや、「監禁されている」という意識さえ、
知識や知るべき情報がないから不思議だとも
思わないはずなのだ。


私の「知識」なんて、
この部屋にある本棚の本数冊だけなのに・・・





だからなぜ、「監禁されている」ことが
わかったのかも分からない。

ここまで考えることが、できることもーーー





・・・何にせよ、それに気づけただけでも、
今までの人生で最大の幸運であることは
間違いなかった。






それに気づいてから、私は4年、
少なくとも3年は監禁されていた。

今の年齢ははっきりとは分からないが、
おそらく11歳~12歳くらいだろう。






あの男、私を流石に殺すつもりはないらしく、食事は残飯のようなものを与えられていた。


・・・言いたいことはたくさんあるが、
生殺与奪をあの男に握られている以上
何も言うことはできない。







そして、人生最大の不運はーーー






ふと、あの男が言い捨てた言葉が蘇る。


『なぁ?ーーーーーーーー“ア・ル・ビ・ノ”』








ーーーーーこの、白い髪と赤い目をもってうまれた
ことなのだろう。







別に、雪みたいな真っ白な髪色や
ルビーのように紅い瞳の色が嫌いなわけではない。

むしろ、綺麗だと思っている。





あの男が言うには、これは生まれつきらしい。




まぁ、そのせいで両親に捨てられてこんなところに
監禁されているのだと言われると、何も思うところが
無いわけではなかった。



勿論この状況にも、今まで自分の心は数えきれない
ほど折れそうになった。





「寂しい」



「悲しい」



「痛い」



「もう嫌だ」



「助けて」




「・・・死にたいーーーーーー」



何度も、考えた。何度も、涙を流した。






・・・でも、そのたびに夢を見るのだ。


自分と同じ、真っ白な髪の女の人。




その人が何度も、何度も私に一つのことだけを
叫んで、必死に伝えようとする夢をーーー・・・
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーーっはぁ・・・
ふと、まるで氷の塊のように冷たくなって
しまっている自分の手のひらに息を吹きかける。


桃香(幼少)
桃香(幼少)
あんまり、意味ないんだけどね・・・
そう言ってふふっと小さく笑う自分の
手のひらからは、わずかなあたたかさが逃げていく。






・・・この手には何も、残らない。




残るとすれば、また戻ってきた肌を刺すような
冷たさだけなのだろうーーーこの、人生みたいに。








またあの夢を見るんだろうな、などと考えながら
私は美しく輝く月を仰ぎ見るのだった。。。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー















考え始めて、どれくらいが経っただろうか。



ーーーーーーーーーーーーバタン!
桃香(幼少)
桃香(幼少)

急にドアの音がした。


男が、帰ってきたようだ。





しかもいつもより帰ってくる時間が早いような・・・
桃香(幼少)
桃香(幼少)
(・・・嫌な、予感がする・・・・・)
昔から、私の勘はよく当たる。



ーーーでも、当たるからといって何か
いいことがある、というわけではない。




当たるのは、基本的に自分に及ぶであろう
悪いこと、または危険なことぐらいである。



俗にいう、虫の知らせとでもいうのだろうか。







・・・私はこの勘が当たることが嫌いだった。






ーーーーーータ、ドタ、ドタ、ドタ、・・・ガンッ!
ーーードタ、ドタ、ドタ、ドタ、ドタ、ドタ・・・
・・・ピタリ。
ーーーーーーチャリ・・・

ガチャ・・・ガチャガチャガチャ、
ガチャガチャガチャーーー
桃香(幼少)
桃香(幼少)
(あぁ・・・やっぱりーーー)
・・・ガチャリ。













ーーーーーー嫌なくらい、当たるからだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







親代わりの人
親代わりの人
ーーーーっらぁ!!!
ーーーーーードガッ!!
桃香(幼少)
桃香(幼少)
かはっ・・・!!
親代わりの人
親代わりの人
ーーークソクソクソ、
クソがぁぁぁあああーーー!!!
ドガッ、バキィッ、バシッ、ゴッ、ゴキィッ!!!
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーうぐっ、がはっ、っが!、がっ、
ぐはっ・・・・・・!!!




今日は一段とひどい日になりそうだーーーーーー


頭から流れてきた血で見えなくなった目を
閉じながら、そう考えた。
親代わりの人
親代わりの人
クソ・・・あのマリアの野郎・・・っ!
男は苛立っているようで、
ぎりりと歯ぎしりをしている。


何かあったのだろうか。







それにしても・・・マリア?



初めて聞く名だ。



というか、この男は自分自身の個人情報や
環境、周りの人達の名前を私に一切知られたく
ないらしく、いままで一度も教えられたことはない。


だから、こんなふうに個人の名前を呼んでいるというのは、かなり珍しいことだった。




名前、といえば・・・

私がこの男を「この男」と呼んでいるように、
この男もまた、私の名前は知らない。


・・・いや、単に興味がないというか、
どうでもいいだけなのだろう。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・










ーーーーーーでも。
私はアルビノ・・・なんかじゃーーーー・・・


親代わりの人
親代わりの人
・・・あ?んだよ見てんじゃねぇ、
このアルビノ野郎!!!

















・・・・・・・・


















『アルビノ』・・・










頭のなかでその言葉が反芻するように、
何度も何度も、流れていく。。。

















『ア ・ ル ・ ビ ・ ノ。』













何度も、何度も。























ーーーーーーそう言われた瞬間、
何かがはじけてしまったような気がした。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーズキン…



あぁ・・・なぜだろう、頭が焼けるように痛い。



桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・わたし、は・・・・・
親代わりの人
親代わりの人
ーーーーーーあぁ?





あまりの痛みに理性がとびそうになる。


今までずっと蓋をしていた心の叫びを、
口に出してしまうくらいに。







桃香(幼少)
桃香(幼少)
わたし、は・・・っ!・・・








心の奥底に押し込めてきた今までの怒りが、
ふつふつと、ぐらぐらと、
煮えたぎってくるーーーーーー
親代わりの人
親代わりの人
・・・おい。
てめぇ、聞いてんのかよ?あ?








顔を背け続け、知らないふりをしてきた悲しみが、
ドクドクと、ギリギリと、
胸を蝕んでくるーーーーーー





親代わりの人
親代わりの人
珍しくてめぇから口を開いた
と思えば・・・「わたしは」だぁ?
親代わりの人
親代わりの人
てめぇが何なんだよ
桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・っ、、、うぅ・・・
段々とひどくなってくる痛みは、ずっと
言いたかったことを誘っているかのようだーーー





言うまいとしていた理性はすでに
吹き飛んでしまっている。






















ーーーーーーーーーそして、ついに。











桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・わたしは・・・アルビノ
なんかじゃ・・・ない!
親代わりの人
親代わりの人
・・・はぁ?





・・・口からこぼれたのは、ずっとずっと
一番言いたかったことだった。











だが、訳が分からないという馬鹿にしたような
渇いた笑いと共に、返ってきたのはそんな一言。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・っ!
そんな男の反応に対し、痛みで理性がなくなった
今の桃香の口を止めれる者はいなかった。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ばかに、しないで・・・
親代わりの人
親代わりの人
ーーーーーーあ?
桃香(幼少)
桃香(幼少)
馬鹿に、しないでよ・・・!
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーっわたしは!「アルビノ」なんか
じゃ、ない!わたしは・・・わたしの
名前は、桃香だ!
止めていたもの理性なんてものは、もうない。


溢れだす思いは、止められる訳がなかった。


そして流れてくる、涙もーーー・・・
桃香(幼少)
桃香(幼少)
あったかいご飯が食べたい、
きれいな服が着たい、
広い外に出たい、
空の下を走り回りたい、
もっと人に会いたい・・・!!
親代わりの人
親代わりの人
は・・・
桃香(幼少)
桃香(幼少)
痛い、辛い、怖い、
悲しい、寂しい、苦しいーーー
桃香(幼少)
桃香(幼少)
こんな思いは・・・もう嫌だ!!!!


はぁはぁ、と言い切った桃香。


男といえば、いきなり狂ったように
叫びだした桃香を見てぽかんとしていたが、
やがて我にかえったのか激昂して再び暴力を
ふるいだした。
親代わりの人
親代わりの人
ーーーーんだと、てめぇ!?
ガッ・・・!
男がふるった拳は、桃香のみぞおちに入った。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーーーがフッ・・・っ!!!!
続けて殴られ、蹴られ、罵倒される。
親代わりの人
親代わりの人
てめぇが・・・っら!
・・・小せぇ頃から、わざわざーーー
育ててやってたのは・・・オラァ!
ーーーこの、俺だぞ・・・・・・?!
親代わりの人
親代わりの人
あったけぇメシが食いたいだ、
キレーな服が着たいだぁ?
親代わりの人
親代わりの人
ーーーふざっけんじゃねぇ!!
今まで生かしてやってたのは誰の
おかげだと思ってやがる・・・?!!




ーーーーーーまずい。




言い切ったことで少し理性が戻った桃香は、
男の危険な雰囲気を読み取った。



・・・が、時はすでに遅かった。



男から離れようとすると、胸ぐらを掴まれ、
そのまま押し倒されて馬乗りで殴られる。

桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーーーーーーーーー!!!!
声にならない。
親代わりの人
親代わりの人
ふざーーけんーねーー、
ーめーーなーーーまなんーーよ…!!
殴られた衝撃のせいか、耳が聞こえづらい。




















・・・しばらくして。




ーーーーーーふと、男の殴る手が止まった。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
ーーーーーー・・・
桃香の顔は血で汚れ、
紡ぐ言葉も出ないほどになっていた。


静かな空間に響くのは、男の荒い息づかいだけ・・・






親代わりの人
親代わりの人
ーーーて、やる、殺して、やる・・・!
・・・そう言って男は入ってきたドアを
開けっぱなしにしたまま、どこかに行ってしまった。
あぁ・・・と、桃香は諦めにも似た、
かすれたため息をつく。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
(ごめんね・・・
あんなに励ましてもらったのにーーー)
夢のなかの女の人に、詫びる桃香。
のそり・・・と痛みで悲鳴をあげる体を起こし、
血で見えなくなっていた目をこする。




桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・・・・星が、綺麗だな・・・























・・・・・・・・

























・・・どうせ、その時がくるのは分かってた。








あの夢の女の人のおかげで、
私は今まで生きることができていたのだ。








あの男のおかげなんかじゃない。


















ーーー少なくとも、私はそう思っている。

















桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・・・・・・
窓から差し込んでくる、明るく優しい月の光が
まるで、天国に誘っているように思えた。






・・・ふと、握りしめていた手の甲に
ポタリと何かが落ちる。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・・・?
涙だった。
そのことに気づいた瞬間、
目の前は涙で歪み、見えなくなってしまう。
桃香(幼少)
桃香(幼少)
・・・っ・・・っく、う・・・
ーーーーーー涙が溢れて、溢れて止まらない。




今までの悲しみは、全て流したと思っていたのに。

今までの苦しみは、もうこれで終わるというのに。
涙を拭っても、流れ出てくるのはまた涙。











・・・優しい光を放つ満月の下で、私は泣いた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



























・・・桃香が監禁されている家の地域から、
少し離れた場所。

満天の星が広がる夜空の下で。




獣のように、「何か」が、疾駆した。








ーーーーーー疾駆する、疾駆する、疾駆する。
きっと、端から見れば、疾駆しているのは
“白い獣”に見えたことだろう・・・


















しかし・・・
獣ではあるが、獣ではない。






また、人ではあるが、「人」という言葉
だけでは、言い切れない者だった。














・・・・・・・・。





















「それ」はただただ、疾駆する。


ーーーその理由は、己でも訳も分からぬままに・・・




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作者
作者
はいどうも、作者です
作者
作者
かなり今回も暗いですね…
作者
作者
少し長くなってしまったのですが・・・
作者
作者
長すぎて主人公と「何か」は、会わせる
ことができませんでした…すみません…
作者
作者
・・・一応、まだ話の流れ的に
雰囲気を壊したくないので、少々
真面目になっています。
(↑テンションのことです)
作者
作者
次こそは、主人公と「何か」が
ちゃんと会えると思い・・・ます
作者
作者
・・・あ、できればでいいのですが…
これを見ていただいた方から感想などを
頂けたらな…と思っています。
作者
作者
ーーーーーーあと。
ボク、最近は学校のテスト関係で凹んで
いるので、純粋に励ましてもらえると
嬉しいです…
作者
作者
・・・すいません、
今のは愚痴りました。忘れてください
作者
作者
では、そろそろ終わります…
作者
作者
皆さん、次も見て下さいね
作者
作者
See you again…