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第6話

大河の真意
豊橋 七海
豊橋 七海
(「俺が……」なんだろう?)

もしかして、大河くんもお弁当が欲しかったのだろうか。


伯父さんと伯母さんから毎日の夕食費はもらっているのだけれど、お願いされたのはそれだけで、弁当までは作っていない。


大河くんも自分でやりくりしている様子だったので、あまり気にしていなかった。
千波
千波
俺が?
雷太
雷太
俺が?

言葉の続きを待っていると、キッチンカウンターの向こう側から、千波と雷太が顔を覗かせた。


二人とも話を聞いていたのか、口角を上げてニヤニヤしている。

豊橋 七海
豊橋 七海
こらっ。
宿題に集中しなさい!
千波
千波
きゃーっ!
雷太
雷太
もう終わるもーん!

二人ははしゃぎながらリビングへと逃げていった。


大河くんの方を確認すると、頬から耳にかけて、やや赤くなっている気がする。
豊橋 七海
豊橋 七海
ごめん、話の途中だったね
一ノ瀬 大河
一ノ瀬 大河
いや、なんでもない。
余計なこと言った。
やっぱ俺が口出すことじゃないわ
豊橋 七海
豊橋 七海
……?
分かった

大河くんが何を言いたかったのか、知りたい気持ちもあったけれど、本人がいいと言っているのだ。


それ以上は私も聞かないことにした。



***



夕飯の準備は着々と進み、かぼちゃの甘い香りと、鮭とバターの合わさった香りがする。
渚
ただいまー! お腹空いた~!
風太
風太
あ、めっちゃいい匂いする!

次女のなぎさと長男の風太ふうたが、部活を終えて帰ってきた。


渚は中学三年生、風太が一年生。


二人とも家のことは進んでやってくれるし、部活も頑張ってほしいという私の希望も聞いてくれて、文句も言わず両立している。


その代わり、平日の帰りは遅い。


だからやっぱり、料理は私の十八番になりつつあった。

豊橋家・母
豊橋家・母
遅くなってごめんね~!
七海、いつもありがとう

母も仕事から帰ってきたら、豊橋家の夕食の時間だ。


宿題を終えて大河くんに遊んでもらっていた千波と雷太も、配膳を手伝ってくれて、準備は完了。

豊橋家・母
豊橋家・母
今日のかぼちゃの煮物も甘くて美味しい~。
もう私より七海の方が料理上手ね

母がそう言って笑い、渚と風太が頷く。

渚
多分そうだよ。
お母さんの手料理も好きだけど、私、お姉ちゃんのに慣れちゃった
風太
風太
お姉ちゃん、高校に入ってからますます上手になったよね
豊橋 七海
豊橋 七海
そんなに褒めなくても……

家族にまで褒められるのは、照れるというよりも恥ずかしい。


毎日いろんな料理を模索しているうちに、少しずつこなれてきただけだ。


鮭の骨がうまくよけられない千波と雷太を、私と大河くんでそれぞれ隣で手伝っていると、母が笑う。

豊橋家・母
豊橋家・母
こうしてると、なんだか家族みたいね。
大河くん、本当にうちの子になる?
一ノ瀬 大河
一ノ瀬 大河
……えっ?

それはつまり、雷太たちも言っていた〝結婚〟のことだと分かり、私と大河くんは困惑した。
雷太
雷太
僕もそう思う! お姉ちゃんと結婚すればいいのに
渚
そういうのやめなって。
二人にそれぞれ恋人ができたらどうすんの?
私らに言いづらくなるでしょ
雷太
雷太
はーい……
豊橋家・母
豊橋家・母
お母さんも、ごめんなさい……

渚の注意に、母も雷太と一緒になって反省している。


私は苦笑いを浮かべ、複雑ともなんとも言えない胸中だった。


好きな人なんていないし、色恋沙汰とも縁遠い。


確かに、クラスメイトが恋愛話をしているのを羨ましく思うことはあるし、自分にももっと自由な時間があれば、現在進行形で恋愛していたかもしれない、そう考えることがある。


でも仮定の話で、現実は違う。


今はそれよりも、家族のために動くのが私にとっては大事なこと。


この先しばらくは、きっと同じ生活が続いていくのだろう。


変わらない日常を嘆くよりは、少しでも美味しいご飯を作れるよう、頑張ろうと思った。



【第7話へつづく】