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第1話

高校生にして家事が日課です
クラスメイト
クラスメイト
やっと一週間終わったねー。
疲れたー!
クラスメイト
クラスメイト
よっしゃ、カラオケ行こ!

秋が深まり、肌寒さも増してきた頃。


金曜日最後の授業から解放された二年生の教室は、がやがやと賑わいを見せる。
クラスメイト
クラスメイト
七海ななみは?
今日は家のこと休めないの?
豊橋 七海
豊橋 七海
あ、ごめん。
やっぱりお母さんが忙しくて、ちょっと無理だった。
みんなで楽しんできて
クラスメイト
クラスメイト
そっかぁ。
じゃあ、また今度誘うね
豊橋 七海
豊橋 七海
うん、バイバイ

放課後、クラスのみんなはいつも、部活に行ったり遊びに行ったり、思い思いに自分の時間を過ごす。


ただ、私の場合はそうもいかない。

豊橋 七海
豊橋 七海
(いいなあ……。カラオケ、私も行ってみたい)

外へ遊びに行く友達を見送って、ひとりで帰り支度を済ませる。


ふと、誰かが近づいてくる足音がして、私は顔を上げた。

一ノ瀬 大河
一ノ瀬 大河
七海、帰るぞ
豊橋 七海
豊橋 七海
うん

同じクラスの大河たいがくんだ。


いつもながら抑揚のないぶっきらぼうな言い方だけど、それは彼のクールな性格ゆえ。


この場面だけを切り取ると、付き合っているのではないかと誤解されがちなのだけれど、そうではない。
一ノ瀬 大河
一ノ瀬 大河
今日もいつものスーパーでいいの?
豊橋 七海
豊橋 七海
うん。
タイムセールのチラシ入ってたから。
あっ、まだ間に合うかも!

学校帰りは、いつも一緒に夕飯の買い物に行く。


家族と大河くんを合わせて七人分の食材を買い込むので、大河くんはその荷物運びを手伝ってくれるのだ。


二年前からずっとこうしているせいか、事情を知っている生徒はかなり増えた。


それでも、「二人は本当に何の関係もないの?」と聞かれることはまだある。


そういう時は、「大河くんはいとこだよ」と返して終わり。


とはいえ、二年前から大河くんの保護者はうちの両親になっているので、〝一時的な家族〟という認識だろうか。


学校を出て、二人並んでスーパーを目指す。
豊橋 七海
豊橋 七海
そういえば、伯父さんと伯母さんから連絡あった?
一ノ瀬 大河
一ノ瀬 大河
あった。
今はシンガポールにいるんだと。
今度土産を豊橋とよはし家に送ってくるってさ
豊橋 七海
豊橋 七海
わ、楽しみ!
ほんと、世界を渡り歩いて凄いね
一ノ瀬 大河
一ノ瀬 大河
好きなことを自由にやってるだけだろ

大河くんの両親、つまり私の伯父と伯母にあたる二人は、貿易会社を経営している。


二人は二年前、拠点である日本の本社を信頼できる部下たちに任せ、事業拡大のために海外へと移った。


大河くんもついていくかどうか迷ったらしいけれど、高校を卒業するまでは日本に留まって勉強をしたいと、ひとり残ったのだ。


母同士が姉妹で仲が良く、私たちの家が近所だったこともあり、大河くんの毎日の夕飯はうちで面倒を見ることになった。


そしてその夕飯を作っているのは、私。


それにも、我が家の事情がある。
豊橋 七海
豊橋 七海
夕飯のリクエストは? 何かある?
一ノ瀬 大河
一ノ瀬 大河
……何でもいい
豊橋 七海
豊橋 七海
あはは。
それが一番困るっていつも言ってるじゃん
一ノ瀬 大河
一ノ瀬 大河
だって、実際何でも美味いし……
豊橋 七海
豊橋 七海
ん? ごめん、聞こえなかった。
なに?
一ノ瀬 大河
一ノ瀬 大河
……別に、何も

同い年のいとこは、いつもクールでちょっととっつきにくい。


でも、本当はとてもいい人だって知っているから、問題はない。


ただ、もう少しだけ口下手を直してくれたらいいな、とは思うけれど。



【第2話へつづく】