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第9話

いつもと違う感覚
豊橋 七海
豊橋 七海
先輩……!?
椿 和泉
椿 和泉
よかった。
迎えに行かなくて正解だったかも

先輩は私を見つけるなり、ふんわりと微笑む。


弁当箱を返しに来たのだと分かって、私は両手を差し出した。

椿 和泉
椿 和泉
……? なに?
豊橋 七海
豊橋 七海
え? 弁当箱を返してくれるんじゃないんですか?
椿 和泉
椿 和泉
ああ、そっか。
あれは俺がちゃんと洗って返すから。
それよりも、今日は迷惑かけちゃったし、弁当のお礼もしたいし、何か手伝いたいんだけど
豊橋 七海
豊橋 七海
えっ

ついさっき女子たちの誤解を解いたばかりなのに、またこの場面を見られて面倒なことにならないだろうか。


そういう心配はあるのに、先輩の申し出を無下にするのもできない。


やんわり断る方法を考える。

豊橋 七海
豊橋 七海
お気持ちはありがたいんですが、弁当箱だけ受け取って帰ります
椿 和泉
椿 和泉
やだ。
渡さない。
これは俺が洗う

先輩は両頬を膨らませて、首を横に振った。


綺麗な顔でそんなことをするものだから、心臓が一瞬跳ねる。


女子に人気がある理由が、分かった気がした。

豊橋 七海
豊橋 七海
あの……。
一応、弁当以外でのやりとりは減らした方が……
椿 和泉
椿 和泉
周りの目を気にさせてしまってごめん。
でも、俺は君と喋りたいから。
もっと知りたいし、仲良くなりたい
豊橋 七海
豊橋 七海
……!

胸の奥が、きゅっと詰まる感覚。


うまく言葉にできないけれど、変な感じがした。

椿 和泉
椿 和泉
でも、本当に何もないなら、今日はおとなしく帰る……
豊橋 七海
豊橋 七海
あ、あのっ。
それなら、買い出しの荷物持ちを手伝っていただけると……
椿 和泉
椿 和泉
やった!
お安いご用

先輩は張り切っているのか、ガッツポーズをして見せる。


大河くんの代わりに、という安易な考えだったのだけれど、すぐに後悔する羽目になった。




いつのもスーパーに足を踏み入れるなり、「男の子が違う!?」と言いたげな視線が集まる。
豊橋 七海
豊橋 七海
(は、早く買い物を済ませて出よう……!)

食材の位置はほぼ把握している。


ナスと舞茸とシメジ、それから手羽先と豚肉を先輩が持つカゴに放り込み、そこに牛乳パックと卵パック、ハムとレタス、食パンも入れていく。

椿 和泉
椿 和泉
……すごいな。
頭の中でメニューが決まってるの?
豊橋 七海
豊橋 七海
はい。
いつもこんな感じです

隣で先輩が感心して驚いているけれど、私はそれどころではない。


一秒でも早く帰りたいと、会計を済ませて逃げるようにスーパーの外へ出た。

豊橋 七海
豊橋 七海
あの、やっぱりここまでで大丈夫です。
荷物持ってもらって、ありがとうございました
椿 和泉
椿 和泉
何言ってるの。
ちゃんと家まで持っていくよ
豊橋 七海
豊橋 七海
え、でも……
椿 和泉
椿 和泉
それにしても、家族の食事管理を一手に引き受けるとかすごいな。
だから、あんなに愛情のこもった美味しい料理ができるのか……
豊橋 七海
豊橋 七海
先輩? 聞いてますか?
椿 和泉
椿 和泉
うん、聞いてる聞いてる。
ほら、帰ろう

椿先輩について、分かってきたことがある。


ちょっとお茶目で、時々強引な人だ。



【第10話へつづく】