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第16話

火花、再び
豊橋 七海
豊橋 七海
渚……?

冷たい手の主は、きっと渚だろう。


そう思って目を開けると、椿先輩の顔がすぐ近くにあった。
豊橋 七海
豊橋 七海
……っ!
ぎゃー!
椿 和泉
椿 和泉
うわっ
豊橋 七海
豊橋 七海
なっ、な、なんで、ここに……!?

毛布をたぐり寄せて、咄嗟に身を隠す。


想定外の人物の登場に、私はすっかり混乱していた。

椿 和泉
椿 和泉
いや、昨夜から何回連絡しても返事ないし、心配になってさ
豊橋 七海
豊橋 七海
え?

自分のスマートフォンは机の上に置きっぱなしで、充電もしていない。


きっともう、電池が切れてしまったのだろう。
豊橋 七海
豊橋 七海
それは……心配かけてすみませんでした。
でも、どうして寝込んでるって分かったんですか?
椿 和泉
椿 和泉
昨日、帰る時ちょっと調子悪そうだったから
豊橋 七海
豊橋 七海
あ……

確かに、昨日の昼から胸焼けは酷かった。


必死に隠していたつもりだったのだけれど、先輩にはお見通しだったらしい。

椿 和泉
椿 和泉
家まで来てみたら、妹たちがここに入っていいって言った
豊橋 七海
豊橋 七海
渚、千波……!
椿 和泉
椿 和泉
あはは

目を白黒させて慌てる私の様子がおかしかったのか、椿先輩はけらけらと笑っていた。

豊橋 七海
豊橋 七海
はっ……! パジャマだし髪もボサボサだし、見ないでください!
椿 和泉
椿 和泉
全然酷くないよ。
こういう時に自然体じゃないと逆におかしいし。
貴重なものが見られて、俺はラッキーだった

自分の格好を失念して恥ずかしがる私を、先輩は決して馬鹿にはしなかった。


やっぱりちょっと変わった人だと、初めて会った時からずっと思っている。

一ノ瀬 大河
一ノ瀬 大河
七海、起きたか?
調子はど……
…………は?

突如開いた部屋のドアから、大河くんが入ってくる。


椿先輩がいるのを認めるなり、彼は眉根を寄せて立ち止まった。
椿 和泉
椿 和泉
どうも、大河くん
一ノ瀬 大河
一ノ瀬 大河
……なんで先輩がいるんすか
椿 和泉
椿 和泉
渚ちゃんたちが入れてくれて。
昨日七海ちゃんの調子が悪そうだったから、様子見に来たんだよ

先輩の口を押さえようにも、咄嗟には体が動かなかった。


昨日という言葉を聞いて、大河くんは眉を動かし、何かに気付いた表情を見せる。

一ノ瀬 大河
一ノ瀬 大河
は……そういうこと

大河くんがまとう雰囲気が一気に重苦しくなり、怒っているのだと分かった。

渚
お姉ちゃーん!
大河くんと一緒にみんなのお弁当買ってきたし、もう夕飯は心配ない……よ?

渚が部屋に入ってきて、私は助けを請うように視線を送った。


けれど彼女はピリピリとした空気を察知してか、後からついてきた千波たちの手を引いて戻っていく。
渚
ごめん、私たちはリビングで休憩してるね!
豊橋 七海
豊橋 七海
(渚……!!)

大河くんがなぜ怒っているのかも、先輩が興味深そうに大河くんを見ている理由も分からない。


どうすべきか困っていると、先に静寂を破ったのは大河くんだった。

一ノ瀬 大河
一ノ瀬 大河
あの。
この前から七海につきまとって、何がしたいんですか?
七海が体調崩したのだって、先輩が弁当作らせたり、ちょっかい出したりしたからじゃないんですか
豊橋 七海
豊橋 七海
ちょっ、大河くん……?
椿 和泉
椿 和泉
あはは、ストレートだね。
もちろん、迷惑はかけたくないけど、七海ちゃんには俺のことも見てもらいたいし。
無条件に近くにいられる君とは違って、こっちから近づかないとチャンスがないんだよね
一ノ瀬 大河
一ノ瀬 大河
…………
豊橋 七海
豊橋 七海
……え? え?

何も分かっていないのは、私だけだったらしい。



【第17話へつづく】