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第13話

現実のデートとは
豊橋 七海
豊橋 七海
服を買いに行く服がない……

私は馬鹿なのか。


どうしてこれに気付かなかったのか。


先輩は、もしかして気付いているのだろうか。




次の日の早朝、私はクローゼットを開いたまま青ざめ、立ち尽くしていた。


午前中のうちに椿先輩と出かけることになり、それならとお弁当を準備するべく早起きしたのだけれど、もっと大事なものを忘れていた。
豊橋 七海
豊橋 七海
うーん……。
一番マシなのってこれ?
いつから服買ってないんだっけ……

普段の休日は掃除と買い出しと料理で終わることが多く、買い出しも実にシンプルな服で出かけている。


そのため、おしゃれ着と言えるものが一着もなかった。
渚
お姉ちゃん、こんな朝っぱらからどしたの……?

部屋でバタバタしていたせいか、次女の渚が私の部屋に顔を覗かせた。

豊橋 七海
豊橋 七海
あっ、ごめんね。
起こした?
渚
んーん。
喉渇いて目が覚めただけ……。
どこか出かけるの?
豊橋 七海
豊橋 七海
うん。
そうなんだけど、全然いい服がなくて
渚
あ、じゃあ私の服貸そうか?
豊橋 七海
豊橋 七海
いいの!?

渚は寝ぼけ眼のままへらっと笑い、私を手招きして自分の部屋へと入れてくれた。

渚
私とお姉ちゃんだったら、身長も体型も変わんないし、ちょうどいいでしょ。
これとかどう?
豊橋 七海
豊橋 七海
えっ。
渚、こんなおしゃれな服持ってた?
渚
何言ってんの。
いつもお姉ちゃんが洗ってくれてるでしょ?

洗うことに必死で、服自体を見ていなかった。


コバルトブルーのロングスカートに、真っ白なトップス、それにバッグまで。
豊橋 七海
豊橋 七海
(中三なのに、意外に大人っぽい服を持ってるんだ……)

お小遣いを貯めて、必死に選んで買ったのだろう。


汚さないよう、大事に使わなければ。

渚
今まで黙ってたけど、お姉ちゃんもそろそろおしゃれした方がいいなとは思ってた
豊橋 七海
豊橋 七海
うっ……!
気をつけます……
渚
千波から聞いたけどさ、イケメンな先輩を連れてきたんだって?
やるじゃ~ん。
それがきっかけだったりするの?
豊橋 七海
豊橋 七海
さ、さあ……。
じゃ、ありがと!
渚
あ! 帰ったら詳しく聞かせてよね?

優しい妹に感謝しつつも、今の心境まではさすがに話せない。


からかいを振り切って自室に戻り、着替えて支度を済ませ、急いで家を出た。


こんな格好、まだ日曜でもないのに大河くんに見られでもしたら、絶対に変に思われる。
豊橋 七海
豊橋 七海
はあ……時間ギリギリかな
一ノ瀬 大河
一ノ瀬 大河
え? 七海?
豊橋 七海
豊橋 七海
!?

何も言わないでおこうと決めていたのに、歩道に出た瞬間、大河くんに出くわしてしまった。


タイミングが悪すぎる。

一ノ瀬 大河
一ノ瀬 大河
どうしたんだ、その格好?
豊橋 七海
豊橋 七海
え、あ、これは……!
一ノ瀬 大河
一ノ瀬 大河
あ、渚の服か。
見たことある。
どっか行くの?
豊橋 七海
豊橋 七海
ちょ、ちょっと数時間だけ、買い物に行ってくるね!

濁してはいるけど嘘は言わないで、走って逃げた。


なぜ誤魔化さなきゃいけないのか分からないけれど、なんとなく、本当のことを言ったら大河くんの機嫌が悪くなるような気がするのだ。




待ち合わせ場所の時計塔の下には、既に椿先輩が待機していた。


通りすがりの女の子たちが、ちらちらと彼を見ては、はしゃぐような会話をしている。

豊橋 七海
豊橋 七海
(モテるって本当なんだ……。何やってるんだろう、私)

急に場違いな気がしてきて、気後れしてしまう。


一歩後ずさりしたところで、先輩が私に気付いて手を振った。

豊橋 七海
豊橋 七海
(なんか、ドラマで見るワンシーンみたいだ……!)

逃げようにも、先輩の方から駆け寄ってきてしまって、私はそこから動けなかった。



【第14話へつづく】