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第14話

ひとりは寂しい?
椿 和泉
椿 和泉
その服……。
なるほど、妹さんか
豊橋 七海
豊橋 七海
あ、借りてきたって分かりますか?
椿 和泉
椿 和泉
うん。
だって、服持ってないって言ってたし。
今日はどうするんだろうって思ってたから
豊橋 七海
豊橋 七海
なっ、やっぱり気付いてて……!
椿 和泉
椿 和泉
あはは

私が野暮ったい服で現れたら、どうするつもりだったのだろう。


それはそれで楽しもうとしていたのか、先輩は笑っている。

豊橋 七海
豊橋 七海
そういうところは意地悪なんですね……
椿 和泉
椿 和泉
ごめんって。
ねえ、その荷物は?
豊橋 七海
豊橋 七海
お弁当です。
いつもの癖で作りたくなって
椿 和泉
椿 和泉
え、やった。
じゃあ昼は噴水広場で食べようよ

私から手提げを自然に奪った先輩は、「行こう」と誘ってくれる。


その仕草があまりにも鮮やかで――先輩がモテる理由は、外見だけじゃなく、こういう振る舞いもなんだろうと妙に納得した。



***



椿 和泉
椿 和泉
これとかどう?
豊橋 七海
豊橋 七海
かわいいけど……私にはちょっと派手すぎるような

ブティックに入り慣れていない私とは対照的に、先輩は店員さんにも堂々と話すしセンスもいい。


私はどんどん気後れしてしまい、自分の好みがよく分からなくなってきた。
椿 和泉
椿 和泉
その、お出掛けっていうのは具体的にどんなことなの?

煮え切らない私に、先輩がそう質問した。


どう伝えたらいいか迷った末に、おずおずと口を開く。

豊橋 七海
豊橋 七海
えっと、水族館に行くんです
椿 和泉
椿 和泉
……え。
それってデート?
豊橋 七海
豊橋 七海
そういうわけじゃないんですけど……
椿 和泉
椿 和泉
ふーん……?

先輩は少しだけ唇を尖らせたけれど、すぐに表情を元に戻した。


そして持ってきてくれたのが、ベージュの布地に小花柄のワンピース。


それが一番しっくりきて、試着させてもらう。

椿 和泉
椿 和泉
いいじゃん、それにしよう
豊橋 七海
豊橋 七海
おかしくないですかね?
椿 和泉
椿 和泉
全然。
似合ってるし、かわいい。
俺とのデートで着てほしいかな~
豊橋 七海
豊橋 七海
だっ……でっ……!?
椿 和泉
椿 和泉
あはは

からかわれたものの、先輩が選んだものなら大丈夫だと思えて、私はそれを購入した。



***



噴水広場は家族連れやカップルで賑わっていた。


レジャーシートを広げ、二人で向き合ってお弁当を食べる。


初めて会った日は、先輩は瀕死状態でそれどころではなかったけれど、今は生き生きしていた。
椿 和泉
椿 和泉
おっ、ニラ玉炒め、好きなんだよな
豊橋 七海
豊橋 七海
そうなんですか?
椿 和泉
椿 和泉
タケノコの煮物も
豊橋 七海
豊橋 七海
それは私も大好物です
椿 和泉
椿 和泉
……いつもはほとんどひとりだからさ、誰かと一緒に食事するってほっとするんだ

その言葉に、はっと気付かされる。


家に帰っても誰もいないというのは、きっと寂しいだろう。
豊橋 七海
豊橋 七海
…………

どんどん食べ進める先輩はとても嬉しそうで、何か言葉をかけてあげたいのに出てこない。


先輩の笑顔を見ていると、胸の奥がきゅっとなる。


一緒にいて楽しいのに、時折寂しさも感じる、そんなちぐはぐな感情を持て余していた。



【第15話へつづく】