無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第12話

デート? 其の弐
それから数日が経って、再び金曜日。
豊橋 七海
豊橋 七海
(椿先輩に出会って、今日でやっと一週間か……)

この数日間の変化があまりにも濃く、既に一ヶ月くらい経ったんじゃないかと錯覚するほどだ。


先輩には弁当を渡す度に「行きたいとこ決まった?」と聞かれているが、まだ首を横に振っていた。


大河くんと出かけることは言わない方がいい――そうなんとなく感じて、黙っている。


しかし、目下もっかの悩みと言えば、水族館に出かけるための服がないこと。

豊橋 七海
豊橋 七海
はい、今日のお弁当です。
栗の炊き込みご飯が入ってます
椿 和泉
椿 和泉
うわ、やった! 楽しみ!

校門から少し離れた歩道橋で、こうして手渡すのが恒例になってきた。


椿先輩は言ったとおり、弁当箱を洗い替えも含めて二つ準備してくれて、毎朝時間通りに受け取りに来てくれる。


寝坊しないために、〝本体を五十回以上振らないと音が鳴り止まない爆音目覚まし時計〟を買ったらしく、うまくいっているとのこと。


それだけ、私の作る弁当を楽しみにしてくれているのだ。

椿 和泉
椿 和泉
ねえ。
弁当のこと、負担になってない?
豊橋 七海
豊橋 七海
いえ、全然。
食材が余らなくなって助かってます
椿 和泉
椿 和泉
そっか。
なら、いいんだ

何やら心配そうに聞かれたけれど、私が否定すれば、安堵の表情に変わる。

豊橋 七海
豊橋 七海
あの……。
なんで、そんなに私を気に掛けてくれるんですか?
椿 和泉
椿 和泉
んー。
なんか、このところ気を張り詰めすぎてるように見えるから、つい甘やかしたくなるんだよね
豊橋 七海
豊橋 七海
…………

それはきっと、私の中で、大河くんと椿先輩の存在をどう処理していいか戸惑っているから。

椿 和泉
椿 和泉
って、弁当を作らせてる俺が言うことじゃないか

椿先輩は私の微妙な反応に笑い、私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

豊橋 七海
豊橋 七海
わっ、な、なんですか!?
椿 和泉
椿 和泉
いつもお疲れさま。
妹と弟もすごくいい子だったし、君のこと、自慢のお姉ちゃんだって言ってたよ
豊橋 七海
豊橋 七海
へっ?

労いの言葉と優しい手のひらに、困惑する。


歳の近い相手に頭を撫でられたのなんて、初めてだ。


びっくりして、ドキドキして、訳が分からない。


俯いて頬を赤くしていると、先輩がずいっと覗き込んできた。

椿 和泉
椿 和泉
かわいい
豊橋 七海
豊橋 七海
……! な、な……!
椿 和泉
椿 和泉
あはは、照れてる
豊橋 七海
豊橋 七海
あ、あー!
思いつきました、行きたいとこ!

どうにかこの流れを誤魔化したくて、私はついそう叫んでしまった。


先輩の表情がぱあっと明るくなる。

椿 和泉
椿 和泉
どこどこ?
豊橋 七海
豊橋 七海
私、お出掛け用の服を全然持ってなくて……。
でもどういうのを買ったらいいのかも全然分からないし
椿 和泉
椿 和泉
なるほど。
そういうことなら一緒に行こうか
豊橋 七海
豊橋 七海
いいんですか?
あ、でも日曜日はだめで……

というより、日曜日が本番なのだが、これも濁しておくしかない。

椿 和泉
椿 和泉
じゃあ明日の土曜日だったらバイトもないし、空いてるけど、どう?
豊橋 七海
豊橋 七海
私も大丈夫です。
それなら、明日行ってもらえると助かります
椿 和泉
椿 和泉
分かった。
時間はまた後で調整しよう
豊橋 七海
豊橋 七海
はい、お願いします

先輩はもう一度私の頭を撫でて、恥ずかしがる私を笑って見てから、一足先に学校に入っていった。
豊橋 七海
豊橋 七海
(日曜の水族館はデートじゃないけど、明日は……デート?)

デートの定義が、よく分からなくなってきた。



【第13話へつづく】